パウエル議長が6月の利上げ停止を示唆

今後の金融政策の行方が非常に重要な状況となっていますが、その中でパウエル議長の発言が注目されています。パウエル議長は現在の状況下では金利の引き上げについてやや緩やかになる可能性を考えていることがわかりました。これは今後の金融政策の流れについて大きな影響を与えそうです。

パウエル議長は利上げ一旦停止を示唆

先日、FRBのパウエル議長が6月の利上げについての見解を述べました。

パウエル米連邦準備制度理事会(FRB)議長は19日、銀行システムの緊張から生じる信用状況の引き締まりを指摘し、そうでない場合よりもピーク金利は低くなるかもしれないとの認識を示した。6月の利上げ休止に傾いているとの明確なシグナルを送った。

  パウエル氏はワシントンで開かれた連邦準備制度の会合で、「政策引き締めを長く続けてきた。いまや政策姿勢は景気抑制的で、これまでの引き締めによる遅延効果や、最近の銀行業界のストレスによる信用引き締まりの度合いを巡る不透明性に直面している」と指摘。「ここまで政策を進めてきたので、データや変わりつつある見通しを注視して慎重に分析する余裕がわれわれにはある」と述べた。同氏の発言は会合の準備原稿で明らかにされた。

  今月の連邦公開市場委員会(FOMC)ではフェデラルファンド(FF)金利の誘導目標レンジが0.25ポイント引き上げられて5-5.25%となり、利上げ停止の可能性が示唆された。次回のFOMCは6月13-14日に開かれる。

  パウエル氏はまた、「金融安定の政策ツールは銀行セクターの状況緩和に寄与したが、一方でこの展開は信用状況の引き締まりを促している。経済成長や雇用、インフレを圧迫する公算が大きい」と分析。「結果として、われわれの政策金利はそうでなかった場合ほど大きく引き上げる必要はないかもしれない。当然、その度合いは極めて不確かだ」と語った。

引用:bloombergより

このようにパウエル議長は次回のFOMCにて利上げを行わない可能性について言及しました。これまではやや利上げに対して積極的な姿勢を見せていたように思いますが、今回はやや強気の発言は少なめだったような気がします。今日に至るまでFRBは積極的に利上げを勧めてきました。その効果が十分に出ており、柔軟な金融政策を実行していく余裕があるのだということのようです。特に今は金融不安が市場を席巻しており、非常に不安定な状況であることは間違いありません。その様な中、金融政策でも支援していくという姿勢を見せたのは良かったのかもしれません。

やや流れが変わったのかな

今回パウエル議長は明確に金融政策変更の可能性を示しました。これは大きなことと言っていいでしょう。これまでは金融政策をこれまで通り維持し、引き締めを継続するという意見と、金融不安など経済が危機的な状況にあるため一旦利上げは停止すべきという緩和停止派の意見に分かれていました。その中がパウエル議長が利上げ停止の意見を述べたということは非常に大きいと思います。これによって6月は利上げが一旦停止される可能性が高くなったと言っていいでしょう。もちろんこれはあくまでパウエル議長の意見であり、FRBの総意というわけではありません。まだ引き締めるべきだという意見も多く存在し、活発な議論が行われることは間違いないと思います。更に決定にはまだ時間があり、それまでの状況によってはこの考えも変わる可能性は十分にあるでしょう。パウエル議長を始め、多くの指揮者の意見はデータ次第というところでは一致しています。そういう意味では今後の経済指標次第でどうとでもなるのだというところは抑えておきたいところです。

まとめ

今日は今後の金融政策についてのパウエル議長の発言を見てきました。今回の発言は今後の金融政策を占う上で非常に重要なものとなったのは間違いありません。おそらく今のところFRBは6月の利上げは一旦停止ということを想定しているのでしょう。そういう意味では今回の発言の意味は非常に大きかったのかなと思います。ただ、あくまで今の段階ということであり、決定ということではないことは頭に入れておきたいところです。