債務上限問題はまだまだつづく

これまではインフレや金融不安が市場の大きな話題となっていましたが、最近では債務上限問題も大きな関心ごととして取り上げられることが多くなったような気がします。個人的にはデフォルトになるということはないと思いますが、その可能性もゼロではなく、無視することはできません。最近は思いもよらない出来事に振り回されるということも多く、もしかしたらと思うことも時々あります。そういう意味ではさっさと解決してほしいところです。

共和党側は一切の妥協なし

今週も債務上限問題についての交渉は色々と行われてきたようですが、解決への道のりはまだまだ険しそうです。

バイデン米政権と共和党の交渉担当者は現地時間19日夜、米政府によるデフォルト(債務不履行)を回避するための協議を再開した。話し合いは週末も続く見込みだ。

  債務上限を巡る政権と共和党による交渉は同日午前、開始から間もなく共和党側の交渉担当者が突然退席したことで中断された。妥結が近いとの楽観は後退し、この日の米株式相場は下落した。協議に詳しい関係者1人によると、交渉担当者らは20日に再び会合を行う予定。

  1時間半にわたる19日夜の会合終了後、マッカーシー下院議長に近いマクヘンリー下院金融委員長(共和)は、デフォルト回避で双方が合意する見通しに自信はあるかとの質問に対し「ない」と答えた。

  共和党から交渉に参加しているグレイブス下院議員は、同会合は交渉ではなかったと説明。「現実的な数字と現実的な前進に向けた道筋、この国の歳出と債務の軌道を真に変えることに関する率直な議論だった」と述べた。

  マッカーシー議長は午前の交渉中断から数時間後、夜の協議再開を発表。政権側の交渉担当者もその後、協議のため議会議事堂に戻った。

  マッカーシー氏はFOXビジネスとのインタビューで、午前の交渉中断について「歳出が過大であることをホワイトハウスが認めないことを巡るいら立ちから中断した」と説明した。

  この議長発言から数分後、ヤング行政管理予算局(OMB)局長とリケッティ大統領顧問は議会議事堂に戻った。マクヘンリー、グレイブズ両氏やマッカーシー氏の補佐官ダン・マイヤー氏らが待つ会議室に入る際、無言だった。

  ジャンピエール大統領報道官は、主要7カ国(G7)首脳会議(広島サミット)が開催されている広島で記者団に対し、「これら問題を巡り双方の間に実質的な違いが依然としてある」と発言。意見の隔たりの詳細には触れなかった。

  同報道官はさらに、バイデン大統領は引き続き「前進に向けた道筋があると確信」しており、協議に関する報告を受けていると説明した。

  バイデン大統領は日本時間20日に広島で、債務上限交渉の状況を懸念しているかとの記者団からの問いに、「全然」と回答。「デフォルトを回避でき善処できるとまだ確信している」と述べた。

  19日の協議の早期再開は、歳出削減を巡る共和党とホワイトハウスの攻防の激しさを物語っている。

  マッカーシー議長は前日、交渉が今週末にも原則合意に達する可能性があるとの楽観的な見通しを示し、下院が来週に合意を審議・採決することを見込んでいると述べていた。

  同議長は、ホワイトハウスが求めているよう歳出増は「実現しない」と述べ、ホワイトハウスが協議で歳出拡大を引き続き求めていることにいら立ちを覚えていると述べた。

引用:bloombergより

このように野党共和党側はこの問題に対して一歩も引かないという姿勢を見せています。共和党は常日頃からいわゆる大きな政府の役割に対しては否定的な正当です。対して民主党はより大きな政策を実行するために歳出が大きくなる傾向があります。そういう意味ではこの様な論争というのは昔からあることであり、珍しいことではありません。そして今回も共和党側はバイデン政権が求める大幅な歳出像に対して反対すると言った姿勢を崩しておらず、その交渉の行方は依然として不透明です。バイデン大統領は問題解決に対して自信を見せているようですが、内心どの様な気持ちでいるかわかったものではありません。おそらくはかなり神経質になっているでしょうし、だからこそG7を欠席しそうになったり、豪州でのクアッドをキャンセルするなど外交日程を大きく変更したのだと思われます。そういう意味ではまだまだ不透明な要素が多くあるのだろうと思われます。

最悪の事態もありえないことはないのだろう

先日は壮大なプロレスだと述べましたが、その気持ちには何ら変わりはありません。結局のところは無難な落とし所に落ち着くのだろうと思います。ただ、それまでには大きな混乱が起きるのだろうと思いますし、予想外の展開にもなるのだろうなと感じています。それだけ今の米国の政治は混沌としており、全く予想できないと言ってもいいような状態です。そういう意味では本当に以前のように期限を迎えても予算が成立しないというような状況も起こるかもしれない覚悟は持っておいたほうがいいでしょう。

まとめ

今日も引き続き債務上限問題について見てきました。相変わらずだなという印象であり、結局は大したことにはならないだろうというのが本命であることに変わりありません。しかし、そうならないことも十分に考慮して置かなければならないのだろうと今回の記事を見て思いました。日本もそうですが、米国の政治もかなりおかしくなってきています。これまで当たり前であったことがこれからも当たり前である保証はどこにもありません。そういう意味では本命ではないにしろ頭の片隅には最悪の事態も入れておく必要はあるのでしょう。