市場の利下げ期待は再び否定される。

強い雇用統計の結果を受けて、今後の金融政策についての発言が相次いでいます。その多くは6月の利下げに対して否定的な発言であり、紙上の基体はまたもや裏切られる形となりそうな感じです。

サマーズ氏の利下げ否定発言

元財務長官のサマーズ氏はメディアのインタビューにて以下のような発言をしています。

サマーズ元米財務長官は、3月の米雇用者増加は金融当局が中立金利の見通しを大きく見誤っていること表していると述べ、6月利下げに対する動きに警戒感を示した。

  サマーズ氏は5日、ブルームバーグテレビジョンに「今回はどちらかといえば経済の再加速を示唆する重要な統計だ」と述べ、金融環境の「歴史的な」緩和といった他の要素とともに「中立金利は米当局の想定をはるかに上回るという圧倒的な証拠があるように私には思える」と続けた。

  中立金利は景気を過熱させず冷やしもしない理論上の金利水準を意味する。米政策当局者による先月の予測中央値に基づけば2.6%程度とみられている。サマーズ氏の見方では中立金利は4%以上だ。現行フェデラルファンド(FF)金利の誘導目標レンジは5.25-5.5%となっている。

  米雇用統計発表後にインタビューに応じたサマーズ氏は、「6月の金融政策について処方箋を出したいとは思わないが、現在の事実とトレンドを踏まえると、利下げは不適切な行動だと言えよう」と語った。 

引用:bloombergより

このようにサマーズ氏は述べ、現在の中立金利について否定的な見解を示し、6月の利下げについては不適切だと発言しました。先日発表された雇用統計の結果は非常に強いものであり、インフレの再加速の懸念を持った人も多くいるようです。サマーズ氏もその一人のようで、インフレが再び加熱することへの警戒感を述べています。その上で、早期の利下げというのは全くの間違いであり、するべきではないという発言をしています。

マーケットの期待はことごとく否定され続ける

雇用統計の結果を受けて、多くの専門家や当局の人間の発言が出てきましたが、その多くは利下げに対して非常に消極的なものばかりだったように思います。特に当局の人間からは利下げに対する警戒感を表す発言が多く、とても早期の利下げが行われるような状況ではないと言っていいでしょう。雇用統計の結果を受けて私自身もそうですが、今後の金融政策についてはマーケットの期待どおりには行かないとかんじていた人は多いのではないかと思います。そして今回、サマーズ氏のような発言や当局から相次ぐ利下げ否定論により、その可能性は更に高くなったのかなという感じです。

まとめ

今日は雇用統計を受けて専門家や当局の動きについてを見てきました。やはりというか当然というか、利下げには非常に慎重な意見が多く、とても6月に利下げが行われるというような雰囲気ではありません。そういう意味ではほぼ間違いなく市場の利下げ予測は修正されることでしょう。もちろん全ては今後の経済指標次第であり、どうなるかはわかりませんが、その可能性は日に日に小さくなってきていることは事実です。