先行きが明るくなるがやることは変わらない

米国経済の先行きについては引き続き明るい見込みが出てきています。最近はインフレの落ち着きなどにより、当初よりも良い方向への予想の変更が相次いでいます。おそらくは今後もその流れは続くと思われますが、非常に良い傾向だと言えるでしょう。もちろんこれが確定したわけではなく、また悲観論にあふれてくる可能性も十分にありますが、とりあえずは良しとしましょう。

景気後退の可能性が減少する

先日、今後の景気後退の予測が見直され、当初よりもそのリスクが軽減されたことがわかりました。

米国のリセッション(景気後退)を当初から見込んでいたエコノミストの一部は、インフレが弱まる一方で、経済がなお底堅さを示していることから予想を見直し始めている。

  ドイツ銀行のリサーチ担当バイスチェア、ピーター・フーパー氏やファニーメイ(連邦住宅抵当金庫)のチーフエコノミスト、ダグ・ダンカン氏は現在、米国がリセッションに突入するか、ソフトランディング(軟着陸)に落ち着き、成長を維持するかは事実上、五分五分の確率とみている。フーパー、ダンカン両氏はその上で景気低迷の可能性は高いと考えている。

  ブルームバーグが今月実施エコノミスト調査でもこの傾向が示された。4-6月(第2四半期)と7-9月の国内総生産(GDP)見通しは上方修正されたが、今後12カ月間に米国がリセッションに陥る確率は依然として60%と見込まれている。

  ダンカン氏は住宅着工件数と住宅価格が予想以上の強さを示し、景気を下支えしていると指摘した。

  逆説的だが、フーパー氏は米金融政策当局による急ピッチの利上げがリセッションリスクを軽減したと評価する。インフレ期待をあらためて抑制する一助となり、深刻な景気悪化を招かなくてもインフレが緩和し得る可能性を高めているという。

  調査に回答したエコノミストの間では楽観的な見方が強まっている。米金融当局が重視するインフレ指標である個人消費支出(PCE)価格指数は2024年第4四半期に2.2%上昇と予想されている。前月調査では2.3%上昇だった。

  今回の調査はエコノミスト73人を対象に7月14日から19日に実施された。この直前には6月の米消費者物価指数(CPI)が発表され、米国のインフレ率は約2年ぶりの低水準となった。多くのトレーダーは、想定されている来週の利上げが現在の米国の引き締めサイクルで最後になると予想している。

引用:bloombergより

このように多くの専門家の間では今後の米国経済の先行きについての見通しが上方修正される動きが目立っています。予想外に良いインフレ指標など先行きに対して明るい話題が相次ぎ、期待が高まっていることの現れでしょう。実際問題、インフレは確実に落ち着きを見せており、これまでのような急激な上昇はもうありません。そしてまだ高いとはいえ落ち着く傾向も見せ始めており、その期待というのは徐々に高まっていると言っていいと思います。

成長見通しも上方修正

そして2023年の成長見通しも上方修正されています。

モルガン・スタンレーは2023年の米実質国内総生産(GDP)の平均成長率予想を1.3%と従来予想の0.6%から引き上げた。

20日付けのメモで「入手されるデータは、インフラへの公共投資と非住居用の建設投資がけん引し、予想以上に快適なソフトランディングを示唆している」と指摘。非住居用の建設投資は第4・四半期までに12.9%、州および地方の投資は4%増加すると見込んだ。

米金融大手ゴールドマン・サックスのチーフエコノミスト、ヤン・ハツィウス氏は17日、今後1年以内に米景気後退が始まる確率を20%とし、従来予測の25%から下方修正した。

引用:ロイターより

このように米国の成長見通しはインフレの落ち着きに伴い上方修正される動きが目立ってきました。これまでは強いインフレによって2023年に成長見通しは非常に低いものであり、日本よりも低くなっていたほどです。それがここへ来て急速に上方修正される動きとなっています。それだけインフレの鈍化が予想外であり、かつ良い結果であったということでしょう。もちろんこれで将来が決定されるわけではありませんが、非常に良い兆候であると言っていいでしょう。

一喜一憂しない

予想外に鈍化したインフレによって多くの専門家が今後の先行きについてポジティブに予想を修正してきています。たしかにこれだけインフレが鈍化していることが確認できればそのようになるのも当然かなという感じがしますし、歓迎したいところです。ただし、これらの予想は簡単に覆ります。ちょっとインフレ指標が悪化するだけで180度反対の意見を言ってくることになるでしょう。そういう意味ではあんまり深く考えすぎないほうがいいのかなという感じがします。悲観論が蔓延していたときにも言いましたが、先行きについては誰もわかりません。悲観的なときであっても楽観的なときであっても変わらず投資を続けていくことが重要です。その状況によって投資スタイルを変えるということはやってはいけないとまで言うつもりはありませんが、やらないほうが結果的に良いものになるはずです。そのようなことを出して結果を出せる人はごくごく一部の人だけであり、我々素人にはできないことだということは認識しておくべきでしょう。

まとめ

今日は相次ぐ米国経済の上方修正の動きについて見てきました。インフレが落ち着き、米国経済の復活が見えてきたことは非常に良いことです。しかし、我々投資家がすることは何も変わりません。悲観的なときでも楽観的なときでも変わらず淡々と投資を続けることこそが30年、40年後に勝者となる方法なのです。そのことはきちんと頭に入れておいたほうがいいでしょう。