インフレ期待は大きく後退

米国の消費者のインフレに対する期待感というのは確実に減少してきているようです。最近行われた調査によれば、消費者のインフレ期待というのは予想外に低下していることがわかってきました。雇用も安定し、今後の物価見通しもそれほど悪くはないということであれば、経済にとって悪いことにはならないでしょう。

短期的なインフレ期待は後退

先日行われたニューヨーク連銀によるインフレ期待の調査は一段と低下し、消費者のインフレに対する見方はより緩やかになっていることがわかりました。

ニューヨーク連銀の調査によると、米消費者の短期インフレ見通しは7月に4カ月連続で低下し、2021年4月以来の低水準となった。

  14日発表された調査結果によれば、1年後のインフレ期待(中央値)は7月に3.5%と、前月の3.8%から低下した。3年、5年後のインフレ期待値はいずれも2.9%。前月の3%から若干の低下となった。

  短期的なインフレ見通しの改善はあらゆる層で「幅広く」見られ、食料品や医療費、家賃といった必要不可欠な生活費は今後1年間でより小幅な上昇になると見込まれている。

  調査によれば家計や労働市場に対する楽観も強まった。回答者は失職の不安が軽減されたと答えたほか、1年後の失業率が今より上昇している可能性は低くなったと回答した。失業しても再就職できると考える回答者の比率も増加した。

引用:bloombergより

このように、消費者の短期的なインフレ見通しは確実に低下してきています。これまで急激に上昇してきた物価ですが、ここへ来て落ち着きを見せてきています。もちろんまだ物価の上昇は続いていくでしょうが、これまでのような異常な物価上昇というのはそろそろ終わりを迎えるのかもしれません。

ニューヨークだけではない

このような傾向はニューヨークだけに限りません。ミシガン大学が行った調査でも同じような結果が出てきています。

米ミシガン大学が発表した8月の消費者調査(速報値)で、1年先のインフレ期待が市場予想に反して低下した。ガソリンや食品の価格が上昇しているにもかかわらず、6月と並び、この2年余りで最も低い伸びとなった。

  8月の消費者マインド指数(速報値)は71.2で、市場予想と一致。前月の71.6から低下した。

  ミシガン大の消費者調査ディレクター、ジョアン・シュー氏は、短期のインフレ期待は「3カ月連続で顕著な安定」を示していると発表文で指摘。「消費者はインフレが短期、長期の両方で確かに減速し続けるとの確信を強めている」と分析した。

  耐久財の購入環境に関する指数は2021年6月以来の高水準。ただ、回答者の3分の1余りは高い物価が生活水準を損ねているとの認識を示した。

  消費者マインド指数は依然、新型コロナ禍前の水準を下回っているが、米国がリセッション(景気後退)を回避できるとの楽観の強まりを背景に、このところ総じて改善してきている。

  現況指数は77.4と、21年10月以来の高水準。期待指数は67.3に低下した。

引用:bloombergより

このように米国の消費者のマインドは確実に改善してきています。インフレの収束が少しずつ現実味を帯びてきており、またリセッションリスクも楽観はできないとはいえ少なくなっているのは事実です。そういう意味でもマインドの改善は当然のことなのかもしれません。

考えるよりも米国経済は悪くない

米国の経済は考えられているよりも悪くはないのでしょう。少し前にはインフレはまだまだ強く、リセッションも避けられないという意見も多く聞かれていましたが、そのような考えを述べる人はかなり少なくなったように思います。有名な悲観論を述べる人でもリセッションリスクについてはかなり後退したと、発言するまでになってきています。そういう意味ではやはり米国経済は考えるよりも早く、そして力強く成長するのかもしれません。

まとめ

今日は今後のインフレ期待について見てきました。やはり米国経済はそれほど悲観するようなことはないのかなという感じがします。もちろん楽観はできませんが、過度な悲観というのも間違っているのだろうというところです。うまく行けば年内にも株式市場は成長を先取りした動きを見せるのかなと考えたりもします。