住宅着工件数も大きく減少

米国の不動産市場はまだまだ低迷が続きそうです。8月の住宅着工件数は大幅に減少し、不動産市場の不調さを表した形です。金利が未だ高水準にあることを考えれば当然の結果のような気がしますが、不動産市場が停滞するようであれば景気の回復にも影響が出てくることも十分に考えられるところであり、注意が必要なのかなという感じです。

住宅着工件数は大幅に減少

昨日、8月の住宅着工件数の発表があり、金利の高止まりを背景に住宅市場が低迷していることを裏付けるような内容となっています。

8月の米住宅着工件数は2020年6月以来の水準に減少し、住宅の値ごろ感低下を浮き彫りにした。

  着工件数の減少は集合住宅の落ち込みが主因。一戸建て住宅の建設許可件数は22年5月以来の水準に加速し、将来の需要に対する楽観を示唆している。

  住宅ローン金利の最近の上昇を受け、住宅取得能力が過去最低水準に落ち込んでおり、需要を抑制している。住宅購入のための住宅ローン申請は1990年代半ば以来の水準に低下しており、借り入れコストがいつ落ち着くかは不明だ。

  住宅取得に手が届かなくなる人が増えており、建設業者のセンチメントは5カ月ぶりの低水準に悪化している。とはいえ、中古住宅在庫は依然として極めて限られており、建設業者にとってはより多くの見込み客を取り込むチャンスがある。

  ブルームバーグ・エコノミクスのエコノミスト、イライザ・ウィンガー氏は「住宅ローン金利が7%を超え、多くの購入希望者が一戸建て住宅市場から撤退する中、8月の住宅建設許可件数の増加をけん引したのは集合住宅だった」と指摘した。

  集合住宅の着工件数は、新型コロナウイルスのパンデミック(世界的大流行)以来の最低水準に落ち込んだ。一方、集合住宅の建設許可件数は16%近く増加し、約1年ぶりの大幅な伸びを示した。

  地域別では、北東部を除く全地域で住宅着工件数が落ち込み、特に西部の減少が目立った。

引用:bloombergより

このように米国の不動産市場は相変わらず元気がありません。この原因としては色々とあるとは思いますが、やはり住宅ローン金利などの諸費用の高騰が足かせとなっていることは確かです。そこが軽くなれば住宅市場も元気が出てくるとは思いますが、今のところその可能性というのは小さいと言わざるを得ないといったところでしょう。そういう意味で低調な不動産市場というのはまだまだ続きそうな感じがします。

経済の回復はまだまだ先

米国経済における不動産市場の重要性というのは今更言うまでもありませんが、とても無視できるものではありません。不動産市場が低調であれば米国経済の回復はありえないと言っても過言ではないでしょうし、ここが回復すればその影響は多方へと波及するのは間違いないのかなと感じています。しかし、インフレが高い現在において、不動産市場を加速させるようなことをすればインフレが再加速する懸念も出てくることが考えられます。そういう意味でもインフレが落ち着くまでは金融政策等で不動産市場を後押しするようなことはまず考えられないと見ておいたほうがいいと思われます。そういう意味でも不動産市場が回復するのはまだ先の話だろうと考えておいたほうが良さそうです。

まとめ

今日は米国の不動産市場について見てきました。まだまだ不動産市場には元気がありません。かと言って、インフレが高い現在においてはなかなか支援も期待できないというのが正直なところです。そういう意味ではとりあえずはインフレの落ち着きが確認できるまではあまり期待はできないでしょうし、してはいけないのだろうという感じです。