9月の生産者物価は予想外に強い。インフレ圧力はまだまだ鈍化しない。

米国のインフレ圧力は健在です。昨日発表された9月の生産者物価は市場予想を大きく上回る結果となり、未だインフレが力強く居座っていることが確認されました。エネルギーや食品価格は引き続き上昇を続けており、今後の展開もますます読みづらくなってきています。

9月の生産者物価も引き続き強い

昨日発表された9月の生産者物価指数は市場予想を上回る結果となり、未だインフレは収束には程遠い状態であるということが確認されました。

9月の米生産者物価指数(PPI)は市場予想を上回る伸びとなった。エネルギーコストの上昇が影響し、持続的なインフレ率低下への道筋が引き続き不安定になっている。

  ガソリンのコストは前月比5.4%上昇した。食品とエネルギーを除くコアPPIは前月比0.3%上昇(市場予想0.2%上昇)、前年同月比では2.7%上昇(予想2.3%上昇)した。

  財の価格は堅調なペースで上昇した。エネルギーコスト高のほか、食品価格がほぼ1年ぶりの高い伸びとなったことが背景。ただし、両項目を除いたベースの財価格は0.1%上昇にとどまった。サービスのコストは0.3%上昇。金融サービスなどでの伸びが目立った。

  原油価格は9月に約1年ぶり高値に達した。生産者段階のインフレは数カ月にわたって抑制が進んでいたが、原油高がそうした状況を脅かしている。イスラエルとイスラム組織ハマスの戦闘は原油価格を高止まりさせるリスクがある。

  ポートフォリオ管理やヘルスケアなどPPI統計のカテゴリーのいくつかは、連邦準備制度理事会(FRB)がインフレ指標として重視する個人消費支出(PCE)価格指数の算出に使われる。FRBやウォール街のエコノミストは特にこれらの項目に注目している。

  9月はポートフォリオ管理のコストと介護施設の費用が低下。一方、外来医療費は上昇した。

  米金融当局は12日に発表される9月の米消費者物価指数(CPI)も精査することになる。次回の連邦公開市場委員会(FOMC)会合は10月31日-11月1日に開催される。

  ブルームバーグ・エコノミクスのエコノミスト、イライザ・ウィンガー氏は「9月のPPIは市場予想ほどの伸び減速とならなかった。原油価格の変動は今後の物価上昇圧力となる可能性がある。供給ショックのマイナス要因があり、また前年同月比でのコアPPIが当局の2%インフレ目標を大きく上回っている中、同当局は慎重に政策運営を進める可能性が高い」と述べた。

  食品とエネルギー、貿易サービスを除いたPPIは前月比0.2%上昇と、2カ月連続で同率の伸びとなった。

引用:bloombergより

このように米国のインフレは未だ落ち着く様子はありません。中身を見るとエネルギーや食品といった値動きの激しいものの影響が大きいため、見た目ほどは厳しくはないかもしれませんが、それでも楽観できるものではないでしょう。特に突如として始まった中東での戦争は今後のエネルギー価格を大きく引き上げる可能性があります。また、ウクライナ情勢はエネルギーや食品等に与える影響も大きく、今後もこれらが価格の不安定要因となる可能性が非常に高いです。そういう意味では現状でも厳しい内容と言えますが、今後は戦争の行方によってはさらなるインフレの進行も考えられるということを頭に入れておいたほうがいいのかもしれません。

インフレ圧力は更に継続される見込み

インフレが予想以上に厳しい状態であるということはまず間違いないのかなという感じがします。以前のような急上昇をするようなことはありませんが、2%へと下落する感じが今のところ全く見られません。そこへ来てウクライナや中東での問題は今後もインフレ圧力として大きく影響を与えることになるでしょう。特にエネルギーや食品価格は大きく上昇していく可能性があると思います。そういう意味ではインフレが落ち着くまでにさらなる時間がかかる可能性も考慮すべきでしょう。今後は消費者物価の発表も控えており、まだ確定的なことは言えませんが、状況はあまり芳しくはないのかなという感じです。

まとめ

今日は9月の生産者物価について見てきました。物価はなかなか落ち着く様子を見せません。そこへ来て中東情勢も不安定化しており、インフレ圧力のさらなる高まりはほぼ間違いなく起こることでしょう。そういう意味ではインフレとの戦いは想定よりもさらに長く続くことになりそうです。それまで経済や労働市場が持ちこたえられるのか非常に疑問が残るという感じです。