9月の消費者物価も強さを見せる

インフレの減速はまだまだ先の話となりそうです。昨日発表された9月の消費者物価指数は市場予想を上回る結果となり、未だインフレが落ち着く気配を見せていない事を確認する内容でした。これによってFRBの金融政策も厳し目なものが維持される可能性が高くなったような気がします。

9月の消費者物価も強さを見せる

昨日発表された9月の消費者物価指数は市場予想を上回る結果となりました。

9月の米消費者物価指数(CPI)統計では、変動の大きい食品とエネルギーを除くコア指数が前月比ベースで8月と同率のやや高めの伸びとなった。政策金利を高水準に維持する方針を掲げる金融当局の論拠が裏付けられた格好だ。

  エコノミストらは、基調的なインフレを見る上では総合指数よりもコア指数の方が適していると考えている。総合指数の前月比での伸びはコア指数を上回った。エネルギーコストが押し上げた。

  最近発表されたインフレデータは、力強い労働市場がいかに消費者の需要を支えているかを浮き彫りにしている。こうした状況から、インフレ率が金融当局の目標を上回り続けるリスクが生じている。9月の連邦公開市場委員会(FOMC)会合では、需要を冷やしインフレ率を向こう2年間で当局目標の2%に近づけるためにあと1回の利上げが「おそらく適切」との認識を参加者の「過半数」が示した。

  ただ今週に入り複数の金融当局者は、次回10月31日、11月1日に開かれるFOMC会合での金利据え置きの可能性を示唆している。

  プリンシパル・アセット・マネジメントのチーフ・グローバル・ストラテジスト、シーマ・シャー氏は「インフレは徐々に低下しつつある一方、労働市場が力強いことからインフレ再燃のリスクを無視するわけにはいかず、金融当局としては油断できない状況が続く」と指摘。「あと1回利上げがあるかどうかという問いについて、答えはまだ出ていない」と述べた。

  9月のCPIには、住居費や自動車保険、スポーツイベントのチケットといった娯楽サービスの価格上昇が反映された。中古車は今年の早い時期以来の大幅な低下、自動車部品は過去最大の下げとなった。

  総合CPIの約3分の1を占める住居費は、上昇率が前月比ベースでの伸び全体の半分余りを占めた。ホテル宿泊費がここ2年で最大の伸びとなったことが影響した。帰属家賃は上昇ペースが加速し、2月以来の高い伸び。今後を見通した場合、コアインフレが下向きの軌道を描くためにはこの分野の伸びが継続して鈍化することが極めて重要となる。

  ブルームバーグの算出によれば、住宅とエネルギーを除いたサービス価格は前月比0.6%上昇と、1年ぶりの高い伸び。パウエル米連邦準備制度理事会(FRB)議長をはじめとする金融当局者は、インフレの軌道を精査する上でこの指標に注目しているが、金融当局は別の指数からインフレ軌道を算出している。

  ブルームバーグ・エコノミクスのアナ・ウォン、スチュアート・ポール両氏はリポートで「9月のCPIでは、大半の金融当局者は政策金利が十分に景気抑制的だと確信できないだろう。FOMCは年内金利を据え置くというのがわれわれの基本シナリオだが、追加利上げが実施されるリスクは無視できない。このリスクについては市場は恐らく織り込みが不十分だ」と記した。

  生活必需品の多くは価格が高く、消費者は依然として苦しい状況が続いてる。医療サービスのコストは今年に入り最大の伸び。入院費が大きく上昇した。電気料金も今年最大の上昇。ガソリン価格も上昇が続いた。

  一方、食品は価格上昇ペースが鈍化し、3カ月ぶりの低い伸び。衣料品は2020年5月以来の大幅な低下となった。

引用:bloombergより

このように米国のインフレはまだまだ落ち着く気配を見せません。先日の生産者物価と同様に、インフレが未だ健在であることを確認する内容であり、金融当局もこの結果を受けて政策を軟化させるということはまずないのかなという印象です。ただ、実際問題どのような力加減で引き締めを行えばいいのかというところは意見が別れているところであり、年内にもう一段階の利上げが行われるかどうかというのはまだ確実なことは言えないのかなという感じがします。

今後の金融政策は非常に不透明

やはりというか消費者物価もまだ落ち着きを見せるものではありませんでした。ややインフレが落ち着いてきたのかなと感じたときもありましたが、今回の生産者物価や消費者物価の値、労働市場の状況を考えればまだまだインフレ圧力は強いと判断せざるを得ないのかなという感じがします。そのためおそらくはさらなる金利の引き上げを主張する声も大きくなってくるとは思います。しかし、最近では金利据え置きを主張する声も多く聞こえてきており、その力加減というのは非常に微妙な感じがすることも事実です。そういう意味では現時点において今後の金融政策がどのようになるのかはなんとも言えないというのが正直なところではないでしょうか。

まとめ

今日は9月の消費者物価について見てきました。インフレ圧力は未だ健在です。インフレとの戦いはまだまだ続くと見たほうがいいでしょう。しかし、今後の金融政策については一段の引き上げが行われるのか、現状維持となるかは非常に判断が難しい状況のような気がします。そういう意味ではあまり安易な結論は出さずに待っておくのが良いのかなと思います。