第3四半期のGDPは大きく増加。米国の成長は止まらない。

米国経済は力強く成長を続けています。昨日発表された第3四半期のGDPは急激な増加を示し、インフレ下においても米国は全く衰えていないことが確認されました。この結果をFRBがどのように見ているのかはわかりませんが、インフレ抑制を目指す当局にとってはもしかしたら悪材料かもしれませんし、ソフトランディング経向けて順調と見ているのかもしれません。いずれにせよ、インフレは米国経済を減速させることはできなようです。

第3四半期のGDPは大きく成長

昨日発表された第3四半期のGDPは市場予想を大きく上回る結果となりました。

7-9月(第3四半期)の米経済はほぼ2年ぶりの急速なペースで成長した。勢いを増した個人消費が寄与した。

  米金融当局が重視するインフレ指標である食品とエネルギーを除いた個人消費支出(PCE)コア価格指数は、前期比2.4%上昇と2020年以来の低いペース。予想の2.5%上昇を下回り、前四半期の3.7%上昇から減速した。

  FHNファイナンシャルのチーフエコノミスト、クリス・ロウ氏は「強い経済成長は来週の連邦公開市場委員会(FOMC)での利上げを強いるものではないが、FOMCは利上げをなおも検討していることを示唆するだろう」とリポートで分析。「成長がこれほど強くインフレが依然として目標を上回っている状況で、連邦準備制度理事会(FRB)が引き締め終了を宣言することはあり得ない」と述べた。

  米経済は物価高や借り入れコストの急激な上昇にもかかわらず、成長の勢いを維持した。エコノミストの予想は繰り返し裏切られ、リセッション(景気後退)不安は和らいだ。この強靱(きょうじん)性を支えている最大の要因は雇用市場の衰えない強さであり、それが家計の需要を押し上げ続けている。

  米金融当局者らが特に注視するようになった住宅とエネルギーを除くサービス価格の指標は、年率3.6%上昇と前四半期から小幅にペースが加速した。

  9月の個人消費支出および価格指数は27日に発表される。

  GDP寄与度では、個人消費のほかにも在庫が1.3ポイントのプラス。政府支出も貢献した。

  一方で設備投資は2年ぶりの前期比減少。機器が大きく減少した。純輸出はマイナス寄与に転じた。住宅投資は約2年ぶりに増加した。

  基調的な需要の強さを測るインフレ調整後の国内民間最終需要は、前期比年率3.3%増加した。

  家計での需要の強さは、堅調な雇用や賃金の着実な伸び、記録的な家計の純資産増加といった複数要素の組み合わせが支えている。サービス支出は2年ぶりの大幅増加。財の支出も伸びが加速した。

引用:bloombergより

このように米国経済は高いインフレ下においても順調に成長を続けています。この要因というのはいくつかあるとは思いますが、大きいのはやはり雇用の安定でしょう。米国のGDPの約7割を占める個人消費にとって雇用の安定というのは非常に重要です。雇用が安定しないのであれば当然ながら消費者は消費を絞るようになるでしょう。逆に雇用が安定しているというのであればとにかく消費にお金を使うというのが米国の消費者です。そういう意味では雇用が安定している限り、米国の成長というのはそう大きく落ち込むことはないのかなという印象です。

FRBはどのような結論を出すのか

本当に米国経済は強いです。その強さというのもやはり労働市場の影響が大きいというのが個人的な感想です。これまで何度も労働市場の軟化を予想してきましたが全て外れています。それだけ今は労働市場が鈍化せず、強さを見せ続けています。そういう意味では米国経済も成長を止めることはないのだろうという印象です。問題はこの結果を受けてFRBがどのような結論を出すのかということです。強すぎる経済指標が続けば当然ながら引き締めを強める可能性が出てきます。しかし、いくつかの経済指標は鈍化の傾向を示し始めており、現状維持を望む声も多くなってきているのも事実です。GDPが強いということは引き締めをする口実にもなるとは思いますが、今回の結果がそのままそのような結論になるかは未知数です。そういう意味では今後の関係者の発言というものに注目が集まるのかなと思います。

まとめ

今日は第3四半期のGDPについて見てきました。相変わらずの強さを見せる米国経済です。おそらくは労働市場が堅調であるうちはこの傾向が変わることはないでしょう。そしてその結果をFRBがどのように捉えるのか。経済が強すぎるとして引き締めを続けるのか。それともソフトランディング経向けて順調と見るのかはなんとも言えないのかなという感じです。