米国の消費者はかなり苦境に立たされる

米国の消費者は依然として厳しい現状を嘆き、暗い未来を予想しているようです。先日発表されたミシガン大学の消費者調査にて、長期のインフレ期待が非常に高水準に達していることがわかりました。また、消費者マインドも低下し、消費者が非常に苦境に立たされている実態を明らかにしています。

消費者マインドは低下傾向

昨日発表されたミシガン大学の消費者調査により、インフレ期待の高止まり、そして消費者マインドの低下が明らかとなりました。

米ミシガン大学が発表した11月の消費者調査(速報値)では、長期のインフレ期待が2011年以来の高水準となった。消費者マインド指数は高金利と景気見通しへの懸念から低下した。

  ガソリン価格の見通しは短期、長期ともに年初来の高水準となった。これは、9月下旬から着実に下落している現在のガソリン価格のトレンドとは相反する。

  消費者マインド指数は6カ月ぶり低水準となり、ブルームバーグが実施したエコノミスト調査の全ての予想を下回った。家計に対する見方はやや明るくなったが、購買状況や経済見通しの指数は悪化した。

  ミシガン大の消費者調査ディレクター、ジョアン・シュー氏は発表文で「物価の高止まり、借り入れコストの高騰、労働市場の低迷が重なり、個人消費と経済成長は継続的な力強さが期待できない」と指摘した。

  調査対象となった消費者の2割近くが、今後1年間はインフレよりも失業の方が苦難をもたらすと回答した。10月の雇用統計によると、雇用は一部の業種に集中しており、失業率は2022年初頭以来の高水準に上昇した。

  耐久消費財の購買状況を示す指数は、昨年11月以来の大幅な落ち込みとなった。悪い自動車購入条件の理由として、借り入れコストの高さや信用状況の厳しさを挙げた消費者は36%と、過去最高に達した。住宅や耐久消費財の購入状況の悪さについても、同様の要因を指摘した消費者の割合は、1982年以来の高水準となった。

  シュー氏は「耐久消費財、自動車、住宅の高い価格に対する懸念は、年央のピークを経て2022年には着実に低下したが、23年には価格懸念が消費者にとって依然として強く、これらの改善傾向はすべて停滞した」と指摘した。

  現状指数は65.7と6カ月ぶりの低水準。期待指数は56.9と5月以来の低水準に落ち込んだ。

引用:bloombergより

このように米国の消費者はインフレと物価の高止まりによってかなりの疲弊をしているようです。各インフレ指数も最近は伸びが鈍化してきているとはいえ、まだまだ高く、2%への物価目標へ向かうのには相当の時間がかかるものと思われます。また、雇用についても以前ほどの力強さはなく、消費者も実感として労働環境が悪化していることを感じているのでしょう。そういう意味もあって消費者マインドも低下傾向が止まらないといった感じです。

しばらく米国経済は停滞

米国経済は今のところは予想よりもよいのかなという感じはしています。労働市場もここまで強く維持されるとは思っていませんでしたし、経済も最悪リセッションという可能性も懸念されていたことを考えれば、まずまずと行っていいのではないかと思います。ただ、そうは言っても以前ほどの好循環が生まれていることもなく、実感もそれほど良いということもないでしょう。その中で長期的にインフレや雇用の悪化により希望が持てないという消費者が多く生まれてきているのかなと感じています。物価の動向や雇用環境などを考えればそう感じるのもよくわかりますし、中東情勢などを考えるとこの先も明るい兆しが見えてこないということにも納得がいくところです。そういう意味ではやはり来年は米国経済にとって非常に厳しいものになるのかなという感じがします。

まとめ

今日は昨日発表された消費者調査の結果について見てきました。やはり米国経済はしばらくは明るい兆しが見えてくることはないのかなという印象です。もちろん大きくリセッションに陥るとかはないとは思いますが、しばらく停滞を続けるような気はします。そういう意味では今は辛抱のときかなと覚悟しておいたほうがいいでしょう。