消費者物価指数は予想外に強いものとなる。インフレ収束まではまだまだ時間がかかることを認識知る必要があろう。

昨日は市場が注目する12月の消費者物価の発表がありました。結果としては市場予想を上回る結果となり、マーケットが期待するほどインフレは鈍化していないことがわかりました。わかってはいた事ですが、今回のインフレは非常に粘着性が高く、鈍化するのには時間がかかる可能性が非常に高いと当初から思われていました。それが改めて確認された形ですが、マーケットにとっては過剰な熱を覚ますいいきっかけになればいいのかなという感じがします。

消費者物価は今も力強い

昨日発表された昨年12月の消費者物価の結果は以下のようになり、マーケットの金融緩和期待はやや後退したのかなという感じがします。

昨年12月の米消費者物価指数(CPI)統計で、総合指数は前月に比べて伸びが加速した。米金融当局が近く利下げを開始するという市場の見方が後退した。

  12月は住居費や電気代、自動車保険などが上昇。中古車は2カ月連続の上昇となった。

  年末に伸びが加速したとはいえ、昨年は1年を通して労働市場に大きな打撃を与えることなくインフレが広範囲に緩和した。米金融当局が今年、利下げに転じる土台が整いつつある。

  住居費は前月比0.5%上昇。前月に低下していたホテル宿泊費が上昇したことなどが影響した。

  ブルームバーグの算出によれば、住宅とエネルギーを除いたサービス価格は前月比0.4%上昇と、11月に比べてやや伸びが鈍化した。

  サービスとは異なり、財価格の持続的下落がここ数カ月、消費者に一定の安堵(あんど)感をもたらしてきた。食料品とエネルギーを除いたコア財価格は6カ月連続で低下した後、12月は横ばいとなった。低下が続くとの見方が優勢だったが、中古車価格が予想外に上昇したことが主として影響した。

  11月に急低下した衣料品は小幅に上げた。自動車保険は前年同月比ベースで1976年以来の大幅上昇となった。

  ブルームバーグ・エコノミクスのエコノミスト、アナ・ウォン氏とスチュアート・ポール氏は「12月CPIが驚くほど強かったことは、金融当局の目標であるインフレ率2%への持続的回帰が一筋縄ではいかず、最後の1マイルが困難となり得ることを示す」と指摘。「コア財価格のディスインフレは、過去数カ月にわたって物価上昇圧力を緩和する主な要因だったが、一部で推進力を失った。インフレ率を2%目標に下げるには、待ち望まれている家賃のディスインフレ以上のものが必要となるだろう」と分析した。

  CPIと別に発表された統計によれば、インフレ調整後の実質平均時給は12月に前年同月比0.8%増加。賃金の伸びがインフレ率を若干上回る状況が数カ月にわたって続いている。

引用:bloombergより

このように消費者物価は鈍化傾向にあることは間違いないですが、市場が期待するほどには軟化してはいないようです。そのため今年の早い段階での金融緩和期待がされていましたが、その期待はやや期待先行ということになりそうです。このことはこのブログでも述べてきましたし、多くの専門家も警鐘を鳴らしていましたが、やはりそこまで早期の金融緩和はなかなか厳しいのかなという感じがします。

そう簡単にはインフレは鈍化しない

今回のインフレは何度も言っていますが非常に粘着性が強いです。そういう意味ではこの結果も想定内かなとは思いますが、マーケットにとってはやや想定外だったのかなという感じがします。以前からマーケットは早期の金融緩和を期待した動きを見せていました。それはやや楽観的すぎるのではないかと思っていましたが、今回の消費者物価の結果はそれを裏付けることになったような気がします。インフレはそう簡単に落ち着くことはないでしょう。もちろん以前のように力強い上昇をするということはないとは思いますが、目標とする2%へと向かう道のりはそんなに簡単ではありません。時間はゆっくりゆっくりと進んでいくことになるでしょう。そういう意味では金融緩和もそんなに早くは実行されないでしょうし、利下げの回数もそこまで多くはないかもしれません。今のところは3回程度を予想する声が多いような気がしますが、それ以下になる可能性も十分にあると思います。

まとめ

今日は12月の消費者物価の結果について見てきました。インフレはマーケットが期待するほど鈍化はしていません。そういう意味では早期の緩和期待というのは裏切られた形となったのかなという気がします。今はまだマーケットの楽観的な期待感を大きく織り込んだ形となっているため、今後は思っているよりも株価の動きも鈍くなる可能性もあります。大きくリセッションのようなことにはならないとは思いますが、期待するほどの上昇はないのかもしれません。