生産者物価指数は大きく鈍化。インフレは確実に、そしてゆっくりと収束に向かっている。

インフレの低下は着実に進んでいます。昨日発表された昨年12月の生産者物価は市場予想に反して以下を示しました。消費者物価の予想外の強さに、インフレの強さを改めて確認したところですが、インフレが低下傾向にあることは間違いないようです。そのため、早期の利下げ期待も再び高まってきた感があります。

生産者物価指数は大きく落ち込む

昨日発表された昨年12月の生産者物価指数は市場予想を下回る結果となり、インフレの落ち着きが着実に進んでいることが確認されました。

昨年12月の米生産者物価指数(PPI)は市場予想に反し、前月比で3カ月連続の低下となった。生産者レベルでのインフレ圧力緩和があらためて示され、市場では3月利下げの観測が強まった。

  食品とエネルギーを除くコアPPIは3カ月続けて前月比横ばい。前年同月比では1.8%上昇と、2020年12月以来の小幅な伸びにとどまった。

  エコノミストはPPIを注視しているが、特定の医療分野やポートフォリオ管理など、いくつかのカテゴリーが個人消費支出(PCE)価格指数の算出に使用されることが一因となっている。米金融当局はPCE価格指数をインフレ目標の基準にしている。

  ポートフォリオ管理と投資アドバイスの価格は共に上昇したが、医療カテゴリーは大部分の項目でほぼ変化がなかった。こうした数字は12月PCEの鈍化予想を補強するとみられる。同統計は、今年最初の米連邦公開市場委員会(FOMC)会合を数日後に控えた26日に発表される。

  11日に発表された12月の米消費者物価指数(CPI)統計では、総合指数が3カ月ぶりの大きな伸びとなり、インフレ退治の道のりの険しさが示唆されていた。イエメンの親イラン武装組織フーシ派の軍事拠点に対する米英軍の空爆を受けて原油価格が上昇するなど、地政学的な要因がインフレ抑制を鈍らせるリスクもある。

  それでも、2022年半ばをピークにインフレが鈍化傾向にあることは、米金融当局にとっては心強い材料だ。生産現場から店頭に至るまでの物価上昇圧力の緩和は、金融当局者が今年の利下げを見込んでいる論拠となっている。

  12月PPIでは、財の価格が0.4%低下。エネルギー価格低下が大きく寄与した。一方、サービスの価格は3カ月連続でほぼ横ばいとなった。

  変動の大きい食品とエネルギー、貿易サービスを除いたPPIは前月比0.2%上昇。市場予想と一致した。

引用:bloombergより

このように生産者物価は着実に鈍化してきています。先日は消費者物価の数値が予想外に強いものであったため、インフレの収束もまだまだ時間がかかるのかという感じでしたが、今回の結果を見る限り、その進行は着実に進んでいると言っていいでしょう。そのため一旦は後退した市場の緩和期待も再び高まってきているように思います。

インフレはゆっくりと落ち着いていくだろう

今回の結果を見る限り、インフレが確実に鈍化していることは間違いないでしょう。着実にインフレ収束へと向けて進んでいます。しかし、その歩みが市場の期待通りかどうかはわかりません。先日の消費者物価を見ればわかるとおり、急激にインフレが収束していくということはないでしょう。ゆっくりゆっくりとインフレは落ち着いていって、それに合わせて金融政策も緩和されていくものと思われます。そういう意味ではやはり早期の利下げ期待というのはやや期待先行なのかなという感じがします。先日の消費者物価と今回の生産者物価を見る限り、物価の落ち着きは確実に進んではいますが、その歩みというのは期待するほど早いということはないでしょう。

まとめ

今日は昨年12月の生産者物価指数について見てきました。インフレは確実に落ち着きを見せています。しかし、消費者物価の結果からもわかるように、そこまで急激な落ち着きということにはならないでしょう。ゆっくりと時間をかけて落ち着いていくものと思われます。そういう意味では市場の緩和期待というのはあまり実現しないのかなという感じがします。