市場からの緩和期待が高まる

インフレの落ち着きが確認され始めたことにより、今後は金融緩和がいつ行われるかについて議論がかわされることが多くなってきたように思います。早ければ春頃には利下げが行われるのではないかという期待も高まっていますが、実際はどうなるかはわかりません。そんな中で、専門家の間では早期の利下げを行わなければハードランディングの可能性すらあるとの意見が出されるようになってきました。

市場の緩和期待

FRBによる利下げがいつ行われるかという議論は活発に行われていますが、それが遅れることによってハードランディングに陥る可能性があることを指摘する声があります。

JPモルガン・インベストメント・マネジメントのポートフォリオマネジャー、プリヤ・ミスラ氏によると、米連邦公開市場委員会(FOMC)が利下げに踏み切らず、現在の景気抑制的な政策を続ければ、米経済はハードランディングに陥るリスクがある。

  ミスラ氏は12日、ブルームバーグテレビジョンで「ソフトランディングを達成する唯一の方法は、FOMCが利下げを開始したら、利下げだけでなく量的引き締め(QT)も含めて政策を正常化し始めることだ」と語った。

  さらに、消費者は打たれ強いものの、10年物実質金利が1%を超えると、借り換えが厳しくなり、景気に抑制的に働くと述べた。

  ミスラ氏は「FOMCが利下げを急がなければ、それこそ事態を減速させ、織り込まれているよりもかなり大幅な利下げを最終的に余儀なくされるだろう」と話した。

  3月に最初の利下げを見込む市場については、「少し楽観的過ぎる」かもしれないとしながらも、政策金利を引き下げても3.25%前後までだと織り込むのは、ソフトランディングのシナリオでも高過ぎるようだと指摘。「ソフトランディングでも10年債利回りは低下する可能性が高い」と述べた。

引用:bloombergより

このようにミスラ氏はソフトランディング達成のためにも躊躇なく利下げを行うべきとの考えを示しています。3月の段階での利下げについては流石に難しいと考えているようですが、それでも利下げを急がなければ実体経済に与えるダメージは想像を超えるものになると考えているようです。実際、金利が非常に高く据え置かれていることのデメリットは確実に経済に悪影響を与えています。住宅ローン金利の高止まりは不動産市場を過度に冷やすことになるでしょう。消費についても同様であり、今のところはなんとかなってはいますが、景気後退懸念が日々膨らんできていることを考えると、そのような指摘が出ることも当然なのかなという感じがします。

FRBの手腕には期待したい

つい最近までは利下げなどもってのほかで、引き締めを継続すべきという意見が非常に多かったような気がしますが、ようやくこのような緩和を望む声も大きくなってきたような感じがします。実際、米国経済はかなり危うい状態であると言っていいでしょう。個人消費や労働市場は予想外に強さを見せてはいますが、これがいつまで続くかはわかりません。経済成長率も低下傾向が続いており、そろそろ限界が近いのかもしれません。そういう意味では適切な時期に金利を下げ、経済を活性化させることは大切でしょう。しかし、時期をあやまれば再びインフレを引き起こす可能性もあるために、その判断は慎重に行われるのではないかと思います。現在のパウエル議長を始めとしたFRBはデータを重視し、その結果によって躊躇なく結論を変えることをためらわないでしょう。そういう意味ではうまくコントロールしてくれるのではないかと期待しています。事実、これまでの異常なインフレのコントロールは想像以上にうまく行っていると思います。そういう意味では今後もFRBの手腕に期待したいところです。

まとめ

今日は今後の金融政策について考えてきました。このような金利引き下げを望む声が大きくなってきたということはそれだけ事態がうまく進んできたということの証でしょう。とりあえず今のところは順調と言っていいのではないでしょうか。このことを考えるとFRBは今後も慎重かつ適切に行動してくれるのではないかと期待します。