経済見通しの相次ぐ上方修正

今年の金融政策については想定したよりも軟化傾向にあると見られており、株価予想も従来よりも強気な見方に修正してくるところが多くなってきています。最近もフィッチやウェルズファーゴなども見通しを変更してきており、利下げを織り込んだ強気な見通しが増えてきているようです。

相次ぐ上方修正

昨日は格付け会社のフィッチが今年の米国経済の見通しを上方修正していました。

格付け会社フィッチのエコノミストは10日、米経済について、力強さの兆しが出ているため年内の景気後退(リセション)はもはや予測していないとの見解を示した。

フィッチのチーフ・エコノミスト、ブライアン・コールトン氏は、米連邦準備理事会(FRB)は年内に3回の利下げを実施する公算が大きいとの見方を示した。

また、フィッチの米州ソブリン格付け部門責任者、シェリー・シェティー氏は今年も米国の高水準の財政赤字が続くと予想。政治的二極化を理由に財政赤字削減への実質的な転換は起こりそうにないとし、今後の一般政府債務の「顕著な増加」は米国の債務格付けにとってマイナスになるとした。

フィッチは昨年8月、向こう3年間に予想される財政悪化に加え、一般政府債務が高水準で増加していると指摘し、米国の外貨建て長期債格付けを「AAA」から「AAプラス」に引き下げた。

引用:ロイターより

このようにフィッチでは今年予想される利下げを背景に経済予想を上方修正しているようです。昨年末より始まったFRBのハト派転換により、この流れは加速してきています。インフレもようやく落ち着きを見せ始め、長かった厳しい金融政策も5日は転換するだろうという予想はありましたが、想定以上にFRBが緩和に積極的な姿勢が確認されたことにより、想定よりも早い緩和というのも折り込み始めてきています。このような動きはフィッチだけではありません。昨日はウェルズファーゴでも株価予想の上方修正が行われました。

 ウェルズ・ファーゴ・インベストメント・インスティテュート(WFII)は、経済見通しの改善と年内の利下げ期待を理由に、S&P総合500種(.SPX)の2024年末の目標レンジ予想を従来の4600─4800から4800─5000に引き上げた。

9日付メモで、米連邦準備理事会(FRB)は24年半ばまでに「控えめな」金利緩和を開始し、年内に3回の利下げを行い、フェデラル・ファンド(FF)金利の誘導目標レンジは4.50─4.75%になるとした。

また、今年の米経済成長率予想を従来の0.7%から1.3%に引き上げた。「24年通年の成長ペースはやや強まる」とし、米経済は「U字」よりも平坦な道筋をたどるとした。

このほか、原油価格が底打ちし今年は上昇するとの見方を背景に世界のエネルギーセクターに対する判断を「中立」から「好ましい」に引き上げた一方、金融セクターは「現在の景気減速の影響を受ける可能性が高い」とし、「中立」から「好ましくない」に格下げした。

引用:ロイターより

このようにウェルズファーゴでも今年年末の株価予想を上方修正しています。このような動きはもう珍しくもなくなったような気はしますが、これだけ相次いで株価見通しの上方修正が続くということは投資家の心理もかなり改善されるのではないかという感じです。

油断はできないがこの流れはもう変わりそうもない

年末からの数週間で、このような動きはもう何度目だろうという感じがします。それだけパウエル議長の発言やFRBの行動はマーケットに明るい兆しを与えたと言っていいでしょう。もちろんこの流れが確定したわけではありませんので、予想外に引き締めが行われることもあるでしょう。その可能性についても排除すべきではないという意見も出てはいますし、状況によってそのような政策変更は躊躇なくやってくると思われます。しかし、現状その可能性はかなり低いと言っていいのだろうという感じです。一応油断はしないほうがいいですが、少しは希望を持ってもいいようになったのかなという感じです。

まとめ

今日は相次ぐ経済見通しの上方修正について見てきました。この動きはもう止まることはないのかもしれません。非常に喜ばしいことですが、油断はしないほうがいいでしょう。何かあれば政策変更も十分にありえるからです。しかし、よほどのことがなければそのようなことはないのかなという感じです。