バンクOZKが四半期配当の増配を発表

2021年10月1日、バンクOZKは取締役会が普通株1株あたり0.29ドルの定期的な四半期配当を承認したと発表しました。これは前四半期の0.285ドルから0.005ドルの増加となります。昨日の投稿で2021年9月は増配を凍結した企業が多いことを嘆いてしまいましたが、すぐさまこのような良いニュースを聞けてほっとしているところです。というわけで今日はバンクOZKについて見ていきたいと思います。

事業内容

バンクOzk(Bank Ozk)(旧名:Bank of the Ozarks Inc)は小売業および商業銀行業務を提供する州法銀行である。【事業内容】預金サービスには、小切手、貯蓄、マネーマーケット、定期預金、個人退職勘定が含まれる。融資サービスには、不動産、消費者、商業、工業および農業用貸付およびリースサービスが含まれる。また、住宅ローン貸付、卸売りロックボックスサービスを含む企業、個人および非営利団体のための財務管理サービス、リモート入金キャプチャサービス、財務計画、マネー管理、保管管理サービス、企業信託サービスを含む企業、個人および非営利団体のための信託と資産管理サービス、不動産鑑定、自動現金支払機(ATM)、電話バンキング、デビットカード、ギフトカード、金庫などのオンラインおよびモバイルバンキングサービスを提供する。

引用:investing.comより

バンクOZKは日本でいうところの地方銀行のようです。1903年にアーカンソー州のコミュニティバンクから始まり、主に米国南東部を基盤としています。地方銀行ということもあり、時価総額も低く、あまり注目されていないかもしれません。しかし、「Best Bank in the South, Money Magazine 2020」、「 Forbes America’s Best Banks 2019, 2020, 2021」、「Forbes The World’s Best Banks 2019, 2020, 2021」など数多くの表彰を受けています。また、近年アメリカで13回、資産規模で全国トップのパフォーマンスを誇る銀行として評価されてもいます。このように、小さいながらも非常に素晴らしい事業を行っている銀行ということでしょう。

通期業績推移

引用:マネックス証券 マーケットスカウターより

順調に伸びてきていましたが、2018年ごろから伸びが止まってきてます。減少しているわけではないので直ちに問題があるというわけではないでしょうが、今後については若干の不安が残ります。

株価の推移

引用:マネックス証券 マーケットスカウターより

株価についてはおおむね横ばいという感じでしょうか。2017年くらいに高値を付けた後は下降を続け、新型コロナウィルスの初期に底を打ったようです。今のところ上昇していますが、これから2017年の高値を超えられるかはよくわからない感じです。

セグメント構成

引用:マネックス証券 マーケットスカウターより

コミュニティバンクのみです。非常にわかりやすいですね。まさに地方銀行といった感じでしょうか。地域密着型なのでその地方の経済状態などに左右されやすいでしょう。米国や世界経済がよかったとしても、株価や業績がさえないということもあるかもしれません。そこは十分に注意しないといけないでしょう。

セグメント業績推移

引用:マネックス証券 マーケットスカウターより

コミュニティバンクしかないので先ほどの通期業績推移と同じです。やはり、収益が停滞していて、今後の業績に不安が出てきます。

年間配当履歴

引用:マネックス証券 マーケットスカウターより

年間配当は順調に伸びているようです。この配当は細かく見ていくと非常に面白いことが分かります。通常、配当が増えるのは特別配当など特殊要因を除き、年一回程度が普通です。しかし、バンクOZKは今回で過去45四半期連続増配となります。45年ではありません。45四半期です。つまり、一年で4回も増配していることになります。実際には一回の増配率はそこまで高くないのでたいしたことないと思うかもしれませんが、それでも年間に直すと相当な数字になります。例として、2017年から2021年までの配当は以下のようになっています。

  • 2021年10月1日 0.29
  • 2021年07月1日 0.285
  • 2021年04月1日 0.28
  • 2021年01月4日 0.2775
  • 2020年10月1日 0.275
  • 2020年07月1日 0.2725
  • 2020年04月1日 0.27
  • 2020年01月2日 0.26
  • 2019年10月1日 0.25
  • 2019年07月1日 0.24
  • 2019年04月1日 0.23
  • 2019年01月2日 0.22
  • 2018年10月1日 0.21
  • 2018年07月2日 0.20
  • 2018年04月2日 0.195
  • 2018年01月2日 0.19
  • 2017年10月2日 0.185
  • 2017年07月3日 0.18
  • 2017年04月3日 0.175
  • 2017年01月3日 0.17

参照:バンクOZKホームページより

小刻みに増配していてなかなか面白いです。このような企業は見たことがないのでびっくりしました。何か特別な理由があるのでしょうか?

配当利回り 配当性向

引用:マネックス証券 マーケットスカウターより

配当利回りはそれほど高くはありませんが、低くもないといった感じです。配当性向は20.7%と非常に低く、配当原資がすぐに尽きることはなさそうです。

PER

引用:マネックス証券 マーケットスカウターより

PERは10%程度で非常に低いです。ただ、銀行株は通常他の業種に比べてPERは低めに出るので全体と比べて低いといってもあまり参考になりません。過去と比べると大体平均的なので、割安というわけではないが、高くもないといった感じでしょうか。

貴族株指標

それではいつもの貴族株指標を見ていきましょう。

  • 増配年数 25年
  • 配当利回り 2.65%
  • 1年増配率 14.6%
  • 3年増配率 14.9%
  • 5年増配率 14.4%
  • 10年増配率 21.8%
  • 配当性向 28.01%
  • PER 10.56

参照:U.S.DividendChampions 2021/09/30より

増配年数25年ということで貴族株の仲間入りをしたばかりということです。これからもこの数字が伸びていくことを期待しましょう。先ほども述べましたが、配当利回り2.65%は可もなく不可もなくといった感じです。配当狙いの投資家にとっては若干不満があるでしょうか。増配率については申し分ないです。これだけ高い増配率を維持できるということは事業内容が素晴らしいことと、株主に対する配当還元を積極的に行う経営陣の姿勢の表れでしょう。実にすばらしいです。配当性向も28%と低く、この先も積極的な増配を期待できそうです。PERは低く、投資タイミングとしてはいいかもしれません。ただ、先ほども言ったように銀行株はPERが低くなる傾向があるので過去の推移と比較するのがいいでしょう。

まとめ

バンクOZKは毎四半期ごとに増配する非常に珍しい企業でした。45四半期も増配を続けるなんてなかなかできるものではありません。それを実行できるだけの高い収益基盤を持ち、配当で株主に還元しようという経営陣の姿勢には大変感心させられます。配当利回りは配当狙いの投資家としては若干物足りないような気がしますが、これだけ増配し続けていくのであれば、すぐに初期投資に見合うだけの配当利回りは達成できるのではないでしょうか。一つ不安があるとすれば、この数年は業績が伸びておらず、停滞していることです。配当性向も30%未満でまだまだ問題ないと思いますが、このまま収益が伸びないと、将来の株価は配当に影響が出てきてしまうかもしれません。そうなる前に業績がきちんと上がるよう経営陣には頑張ってもらいたいものです。