2021年9月の米国貴族株の動き

本日は毎月恒例の「Dividend Champions」が配信されました。「Dividend Champions」は米国の株式市場に上場している株式の中でも貴族株と呼ばれる銘柄をまとめたものです。David Fish氏によって発行され、現在はJustin Law氏によってアップデートが続けられています。日本の証券会社でできるスクリーニング機能では、割安銘柄や高配当銘柄などは簡単にできますが、貴族株となるとはなかなかうまく検索できないのが現状です。たとえばSBI証券では一部、貴族株を検索することができますが、本当にごく一部のみしかできません。そういう意味でも、この「Dividend Champions」は貴族株投資家にとっては非常にありがたい存在です。というわけで、今日は「Dividend Champions」2021年9月30日版をもとに現在の米国貴族株について見ていきたいと思います。

Dividend Championsとは

Dividend Championsは2007年にDavid Fish氏によって発行され、現在、Justin Law氏によってアップデートが続けられている月刊誌です。米国市場に上場しているすべての株式を対象としていて、配当を一貫して毎年増配している銘柄を掲載しています。その増配している年数に応じて「Champions(25年以上)」、「Contenders (10年以上24年以下)」、「Challengers (5年以上9年以下)」の3つのカテゴリーに分類されています。

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銘柄の入れ替え

追加 1銘柄

  • Challengers ConocoPhillips (COP)

削除 20銘柄

買収 4銘柄
  • Core-Mark Holding Company (CORE)
  • W. R. Grace & Co. (GRA)
  • Mackinac Financial Corporation (MFNC) 
  • QTS Realty Trust (QTS)
配当の凍結 16銘柄
  • The Andersons, Inc. (ANDE), 
  • CVB Financial Corp. (CVBF), 
  • Douglas Emmett, Inc. (DEI), 
  • Encompass Health Corporation (EHC), 
  • First Midwest Bancorp, Inc. (FMBI), 
  • Huntington Bancshares Incorporated (HBAN), 
  • Hewlett Packard Enterprise Company (HPE),
  • Iron Mountain Incorporated (IRM),
  • Kennedy-Wilson Holdings, Inc. (KW), 
  • Lyons Bancorp Inc. (LYBC), 
  • National HealthCare Corporation (NHC), 
  • Northern Trust Corporation (NTRS),
  • Parke Bancorp, Inc. (PKBK), 
  • AT&T Inc. (T), 
  • United Bankshares, Inc. (UBSI),
  • VSE Corporation (VSEC)

参照:Dividend Champions 2021/09/30より

追加は1銘柄のみで凍結が16銘柄と貴族株投資家としては非常に寂しい結果となりました。去年から新型コロナウィルスによるパンデミックによって経済活動はかなり制限を受けていました。なので、ある程度予想できた結果ではあります。しかし、現実を突きつけられ、非常に残念な気持ちになったところです。特にAT&Tとユナイテッド・バンクシェアーズはそれぞれ36年、45年と非常に長期間にわたり増配を続けていた企業だけに何とかならなかったのだろうかと思ってしまいました。特にAT&Tは配当利回りが7%以上もあり、配当狙いで保有していた人も多いの思うので、本当に残念です。

それでは、唯一追加されたコノコフィリップス(COP)について簡単に触れてみたいと思います。

コノコフィリップス (ConocoPhillips)は、は独立する探査・生産会社である。【事業内容】原油、ビチューメン、天然ガス、液化天然ガス(LNG)および天然ガス液を探査・生産・輸送・販売する。アラスカ、ロウアー48、カナダ、ヨーロッパと北アフリカ、アジア太平洋と中東、およびその他の国際の6つの事業セグメントを通じて事業を展開する。アラスカ事業は、原油、天然ガス液、天然ガス、LNGを探査・生産・輸送・販売する。ロウアー48事業は、米国ロウアー48州とメキシコ湾に位置する事業で構成される。カナダ事業は、アルバータ州北東部のアサバスカ地域でのオイルサンド開発で構成される。ヨーロッパと北アフリカ事業は、ノルウェーとリビアでの操業・探査活動で構成される。アジア太平洋と中東事業は、中国、インドネシア、マレーシア、およびオーストラリアで探査・生産を行う。

引用:investing.comより

これを見るとコノコフィリップスはエネルギー関連企業のようです。エネルギー関連株は比較的高配当の銘柄多いので、少し期待してしまいます。一応、貴族株の指標も見ておきましょう。

  • 増配年数 5年
  • 配当利回り 2.72%
  • 1年増配率 26.6%
  • 3年増配率 16.8%
  • 5年増配率 10.5%
  • 10年増配率 2.4%
  • 配当性向 158.62%
  • PER 58.42

参照:Dividend Champions 2021/09/30より

近年の増配率の増加は素晴らしいです。配当利回りは普通といった感じでしょうか。特別魅力的という感じはしません。しかし、PERが高すぎるような気がします。配当性向もちょっと高くて将来的に心配になります。ただ、エネルギー関連株のPERと配当性向は比較的高いものも多い気がするのででこのくらいは問題ないのかもしれません。しかし、個人的にはちょっと不安になります。とりあえず、投資対象となるまではあと20年ほどかかるので、あまり気にする必要はないかもしれません。

増配銘柄

  • Accenture plc(ACN)
  • American Tower Corporation (REIT)(AMT)
  • Artesian Resources Corporation(ARTNA)
  • Atrion Corporation(ATRI)
  • Brady Corporation(BRC)
  • Casey’s General Stores, Inc.(CASY)
  • Capital Southwest(CSWC)
  • Citizens Financial Services, Inc.(CZFS)
  • Farmers Bankshares, Inc.(FBVA)
  • First Farmers Financial Corporation(FFMR)
  • Fifth Third Bancorp(FITB)
  • The First of Long Island Corporation(FLIC)
  • Farmers & Merchants Bancorp, Inc.(FMAO)
  • Great Southern Bancorp, Inc.(GSBC)
  • Horizon Bancorp, Inc.(HBNC)
  • Innovative Industrial Properties, Inc.(IIPR)
  • Ingredion Incorporated(INGR)
  • JPMorgan Chase & Co.(JPM)
  • Kilroy Realty Corporation(KRC)
  • Lockheed Martin Corporation(LMT)
  • Logitech International S.A.(LOGI)
  • McDonald’s Corporation(MCD)
  • MGM Growth Properties LLC(MGP)
  • Microsoft Corporation(MSFT)
  • New Jersey Resources Corporation(NJR)
  • Realty Income Corporation(O)
  • OGE Energy Corp.(OGE)
  • Philip Morris International Inc.(PM)
  • Riverview Bancorp, Inc.(RVSB)
  • Starbucks Corporation(SBUX)
  • STORE Capital Corporation(STOR)
  • TTEC Holdings, Inc.(TTEC)
  • Texas Instruments Incorporated(TXN)
  • Trinity Bank, N.A.(TYBT)
  • U.S. Bancorp (USB)
  • Verizon Communications Inc. (VZ)
  • W. P. Carey Inc.(WPC)

参照:Dividend Champions 2021/09/30より

この中で貴族株は

  • Artesian Resources Corporation(ARTNA) 29年
  • Brady Corporation(BRC) 36年
  • First Farmers Financial Corporation(FFMR) 31年
  • The First of Long Island Corporation(FLIC) 26年
  • McDonald’s Corporation(MCD) 46年
  • New Jersey Resources Corporation(NJR) 26年
  • Realty Income Corporation(O) 28年

以上7つです。しかし、Realty Income Corporation(O)は以前の投稿でも述べたように、海外REITのため、直接売買はできません。それと、First Farmers Financial Corporation(FFMR)もSBI証券、楽天証券、マネックス証券で取り扱いがありません。なので売買するのは海外の証券会社を使うしかないように思います。よって取り引きするハードルは少し高くなるでしょう。

まとめ

今日は「Dividend Champions」をもとに、現在の米国市場における貴族株の現状を簡単に述べてきました。追加銘柄に比べ削除銘柄が非常に多く、貴族株投資家としては非常に厳しい時期だと感じました。もちらん、貴族株はまだまだたくさんありますから、直ちにどうなるということはありませんが、この傾向が続くと、投資方針を変更せざるを得なくなるので何とか各企業には頑張ってほしいものです。まあ、沢山ありすぎると銘柄選定が大変になるので、あまりよくな企業が淘汰されたのだと思って前向きに考えようと思います。