大量の個人投資家の参戦とAIバブルという株価大暴落の兆候

最近の株価は予想外に強い動きをしていると言っていいでしょう。やや後退はしましたが利下げ期待は依然として強く、市場を牽引するAIを始めとするIT関連株は引き続き強い動きを続けています。また、日本を見てみると新NISAの開始を理由に多くの個人が投資を始めており、株式市場の大量の資金が投入されていることも事実であり、マーケットが非常に活況を呈しています。しかし、当然ながらこのような順風満帆とも思えるような状態はいつまでも続くということはないでしょう。特に個人を含めた多くの初心者が投資市場に参加してきたというあたりは何やら怪しい雰囲気を醸し出しているような気がしてなりません。

スタグフレーションのリスク

先日、バンク・オブ・アメリカでは現在の米国株式市場の状況について注意を促すような投稿をしていました。

投資家はスタグフレーションのリスクを無視し、米国株に記録的な資金を注ぎ込んでいる。バンク・オブ・アメリカ(BofA)が指摘した。

  ストラテジストのマイケル・ハートネット氏がEPFRグローバルを引用したリポートによると、13日までの1週間には米国株ファンドに560億ドル(約8兆3000億円)が流入した。セクター別ではテクノロジー株への資金流入が68億ドルと最も多く、前週の記録的な流出から逆転した。

  マクロ経済は「ゴルディロックス」シナリオからスタグフレーションに移行しつつあると、ハートネット氏は指摘する。インフレ率は先進国市場や新興国市場で高くなっており、米国の労働市場には「ついに亀裂が入りつつある」という。

  ハートネット氏は「新たなスタグフレーションは金、コモディティー、暗号資産(仮想通貨)、現金のアウトパフォーム、イールドカーブの大幅なスティープ化、資源株とディフェンシブ銘柄への逆張りのバーベル戦略を意味する」と説明。今年に入って原油がナスダック100指数をアウトパフォームしていることを指摘した。

  米国株は今年、経済が金融引き締めによる打撃をほぼ回避し、連邦準備制度は近く利下げに踏み切るとの観測から上昇している。

  バークレイズのストラテジスト、エマニュエル・コー氏はリポートで、「投資家はソフトランディングのシナリオについて楽観的だ。ソフトランディングが実現すれば、リスク資産に投入できる資金はまだたくさんある」と指摘した。

引用:bloombergより

このようにバンク・オブ・アメリカでは現在の米国株式市場のあまりにも楽観的すぎる動きに対して警戒感を示しています。一時期よりは危機的状況は脱したように思える米国経済ですが、未だインフレは強く、まだまだ落ち着く様子はありません。企業業績にに対しても非常に不透明感が増してきており、今後の展開というのは非常に危うい状況であることは間違いないでしょう。今のところはAIバブルと言っていいかわかりませんが、AIに対する過剰なまでの期待感から株価は上昇し、現在の状況を作り出していると言っていいのかもしれません。いずれにせよ、未だ危機は過ぎ去っておらず、にもかかわらず人々はそのことを忘れ、やや楽観的になりすぎているようなところがあるのかもしれません。

危険な兆候は日に日に膨らんでいる

実際、どの程度のリスクがあるかはわかりませんが、まだまだ油断ができないことは事実ですし、いつものごとくマーケットは楽観的に物事を見ているということは変わりないというところです。今年は大統領選挙も控えてますし、今後の情勢等はどうなるか全くの未知数です。そういう意味では今後、予想外のしっぺ返しが北としても何ら不思議ではないでしょう。特に今はAI関連株など一部の業界群にやや偏って株式市場は成り立っているような感じです。これをバブルと呼ぶかどうかはなんとも言えませんが、その可能性は十分に考えて置かなければならないでしょう。また、日本において新NISAにともない個人の投資家が非常に多く参戦してきているという事実も見逃すことはできません。このようないわゆる素人と呼ばれる人たちが大量に市場に参加するということは過去にも何度もあったことですが、その後起きることというのは明るいものではなく、大抵は市場の大暴落の始まりであったということはよくある話です。そういう意味では今起きていることを総合すると、今後そう遠くない時期に株式市場の大転換が起きるかのせいも十分あるのかなという感じです。

まとめ

今日は今後の株式市場の行方について考えてきました。現状の株式市場や取り巻く環境を見てみると、やや危うい状況にはなってきているのかなという感じです。市場を牽引するのはごくごく一部の企業の急上昇であり、多くの初心者が退去して参加してきているという状況は過去を振り返るとあまり良い状況ではなかったことは事実です。そういう意味では中短期的にはやや厳しい状況となったとしてもおかしくはないでしょう。ただ、懸命な個人投資家であれば、そのようなときでもコツコツと資金を積み上げていき、再び来るであろう上昇局面に備えるべきだと思っています。そういう意味では何が起きてもどうなろうともやることは変わりません。原理原則を貫き、積み立てを続けていくのみです。