米国の個人消費支出は減少に転じる。まだまだ回復には時間がかかる。

米国経済はまだまだ回復の兆しは見せていません。先日発表された個人消費支出も今年初の減少となるなど厳しい状況は続いているようです。そう簡単には今の状況は変わることはないでしょうが、やはり経済状況が改善するには時間がかかりそうです。そういうわけで今日も現在の米国経済の状況についてみていきます。

5月の個人消費支出は減少に転じる

先日発表された5月の米国の個人消費支出は今年初めての減少となり、景気が弱くなってきていることを改めて確認させられるものとなりました。

5月の米個人消費支出(PCE)はインフレ調整後ベースで今年初の減少となり、前月も下方修正された。インフレ高進や米金融当局の利上げを背景に、景気の足取りが従来の想定よりも幾分か弱くなっていることが示唆された。米金融当局がインフレ目標の基準値としているPCE総合価格指数は前月比0.6%上昇。前年同月比では6.3%上昇、市場予想は6.4%上昇だった。コア価格指数は前月比0.3%上昇で、伸びは市場予想を下回った。前年比では4.7%上昇と、昨年11月以来の小幅な伸びにとどまった。消費は予想を下回ったが、需要は崩れていないことも示された。サービスへの需要は底堅く、以前より予想されてきた財からサービスへの消費需要の移行を浮き彫りにした。5月は国外旅行への支出が拡大した。ウェルズ・ファーゴのエコノミスト、ティム・クインラン、シャノン・シーリー両氏は統計発表後のリポートで「この日発表された月間ベースの消費に関する詳細は、今年1-5月の消費の状況がかなり弱く、4-6月(第2四半期)の成長が弱くなることを示している」と指摘した。貯蓄率は小幅上昇して5.4%と3カ月ぶり高水準となったが、なお2009年以来の低水準付近にとどまった。インフレ調整後の財の支出は1.6%減少と、今年に入って最大の落ち込み。特に自動車への支出が減った。一方、サービス支出は0.3%増。住宅関連や公益、ヘルスケアの分野が伸びた。賃金・給与は0.5%増。ただし、インフレ調整後の可処分所得は前月比0.1%減と、今年に入って3度目のマイナスとなった。

引用:Bloombergより

このように個人消費は想定よりも弱くなっているようです。やはりインフレの影響は消費の現場にも出てきているのでしょう。いくら労働市場が堅調であったとしてもこれだけインフレが上昇し、実質的な所得が減少しているようであれば消費は減少せざるを得ないというものです。ただ、消費はサービスへとシフトしていることは確実なようで、物への消費が減少するとともに消費の形が変わってきていることは意識しておくべきでしょう。特にこれからは夏の観光シーズンになります。そういう意味ではサービス関連株については多少はマシなのかもしれません。

失業保険申請件数は横ばい

新規の失業保険申請件数は今週もあまり変わっていないようです。

米労働省が30日発表した6月25日までの1週間の新規失業保険申請件数(季節調整済み)は前週比2000件減少し、23万1000件となった。市場予想は22万8000件だった。4週間移動平均は23万1750件と、前週の22万4500件から増加した。申請件数は3月に16万6000件と、約53年ぶりの低水準を付けた後は、足踏み状態が続いている。6月18日までの1週間の継続受給件数は前週比3000件減の132万8000件だった。

引用:ロイターより

市場予想よりは若干悪いものでしたが、そこまで気にするようなことでもないような気はします。これだけ経済状況が悪くなっても労働市場は底堅く、まだ大きく崩れる様子はありません。それはいいような気はしますが、インフレ抑制には失業率の上昇が不可欠という意見もあり、素直に喜んでいいのかどうか微妙なところです。

まとめ

今日も米国経済の現状についてみてきました。やはりここまで実質的な所得が減少し、物価上昇が続けば消費が落ち込むということは当たり前かもしれません。しかし、労働市場を見ても米国経済は非常に底堅く、一気に落ち込んでいくという感じには見えません。もちろん今後はどうなるかはわかりませんが、今のところはまだ大丈夫だろうといった感じです。ただ、先行きについてはあまり楽観できるような状態ではありませんし、警戒は怠らない方がいいでしょう。