クロロックスはなぜ株価が下落しているのか。

クロロックスは連続増配年数44年の非常に優秀な企業です。消費者向けの日用品をあつかう企業で、不況時にも強く、安定した業績を期待できる企業でもあります。しかし、最近は株価の調子が悪く、高値から30%以上も下落しています。その原因はなにか。そして、クロロックスは今後に期待できるのかを考えてみます。

事業内容

ザ・クロロックス(The Clorox Company)は消費者製品と専門製品の製造・販売業者である。【事業内容】同社は大口小売店、電子商取引チャネル、卸売販売業者および医療供給業者を通じて製品を販売する。同社は、クリーニング事業、家庭事業、ライフスタイル事業、国際事業の4つの事業を通じて運営する。クリーニング事業は米国で販売されるランドリー、ホームケア、プロフェッショナル向け製品で構成される。家庭事業は米国で販売される木炭、猫用リターおよびビニール袋、ラップ、コンテナ製品で構成される。ライフスタイル事業は米国で販売される食品、水ろ過システムおよびフィルター、天然パーソナルケア製品で構成される。国際事業は米国外で販売される製品で構成される。同社は漂白剤およびクリーニング製品、Pine-Solクリーナー、Liquid-Plumr詰まり除去剤およびKingsfordチャコール等の製品を販売する。

引用:investing.comより

クロロックスは漂白剤やゴミ袋など、日常生活で使う商品を扱う会社です。その他にも木炭や浄水器、ドレッシングなども扱っていて、生活に必要な商品を幅広く扱っています。そして、それら商品は競争の少ない中規模の消費者向けカテゴリーに当たるもので、多くのブランドを保有しています。一時期はP&Gに買収されたこともありますが、独占禁止法違反ということで、やむなく売却されることになったようです。

通期業績推移

引用:マネックス証券 銘柄スカウターより

売上高は緩やかではありますが、上昇傾向を続けています。昨年は新型コロナウィルスの影響もあり、漂白剤や除菌シートの売上が急増し、業績はかなり良かったようです。生活必需品を扱っているということもあり、大きな業績上昇を期待はできないかもしれませんが、暴落もしづらいので、安定的な業績は期待してもいいとも思います。

株価の推移

引用:マネックス証券 銘柄スカウターより

株価は順調に右肩上がりを描いてきましたが、最近は大きく落ち込んでいます。これは昨年の売上が非常に良かったこともあり、今年は去年に比べて業績は大きく落ち込む見込みです。会社側も利益が20%以上減少すると予想しています。市場が予想していたよりも悪くなりそうということで、投資家から失望売りを受けています。2年前と比べると、業績は上昇しており、会社側は強気の姿勢を見せていますが、市場からはまだまだ信頼を取り戻せていないということでしょう。最近の資源価格の高騰も、業績圧迫要因として意識されているようです。

セグメント構成

引用:マネックス証券 銘柄スカウターより

4つに別れていますが、どれも生活関連商品です。どの分野も景気の良し悪しで消費を控えるようなものではありませんから、安定感は期待できそうです。

セグメント業績推移

引用:マネックス証券 銘柄スカウターより

この一年はどの分野も業績は上昇しています。しかし、問題はこのあとでしょう。少なくとも次の期は大きく業績は落ちることは間違いないでしょう。なので、その後の業績が問題となります。そこでも大きく落ち込むようだと、株価や配当にも影響は出てくるでしょう。

年間配当履歴

引用:マネックス証券 銘柄スカウターより

配当は右肩上がりの非常にきれいなグラフを描いています。とても理想的です。このグラフだけを見れば非常に期待を持てますが、業績予想のこともあり、油断はできません。

配当利回り 配当性向

引用:マネックス証券 銘柄スカウターより

配当利回りは、すごく高いというわけではありませんが、市場平均よりは高めです。安定した業績を期待できることを考えれば、まずまずの数字ではないでしょうか。長期保有を前提に考えれば十分な数字だと思います。配当性向はやや高いです。去年は良かったのにもかかわらずこの数字なので、今後は少し心配です。もしかしたら、来年以降は上昇幅が小さくなるか、最悪凍結ということもあるかもしれません。

PER

引用:マネックス証券 銘柄スカウターより

PERも最近は若干高めで推移しています。安定株なので、投資家からの評価はそれなりにあるのでしょう。しかし、高めのPERに加えて、今後は業績が思わしくないという予想があることを考えると、投資するタイミングとしてはあまり良くはないように思います。

貴族株指標

  • 増配年数 44年
  • 配当利回り 2.80%
  • 1年増配率 7.43%
  • 3年増配率 9.78%
  • 5年増配率 7.52%
  • 10年増配率 7.53%
  • 配当性向 83.75%
  • PER 29.89

参照:U.S.DividendChampions 2021/09/30より

増配年数44年は非常に立派な数字です。これだけ長い期間、増配をし続けるということは並大抵のことではないです。安定した事業と、株主還元に対する会社の姿勢は非常に評価できるところです。配当利回りはやや高めです。いわゆるディフェンシブ銘柄と呼ばれるような企業にしては高いような気はします。それだけ今後の業績に疑問を持っている投資家が多いのかもしれません。増配率は安定して8%前後をキープしていて、非常に優秀だと思います。生活必需品セクターというのは非常に成熟した分野なので、大きく業績を伸ばすというのは、なかなか難しいと思われます。なので、この数字は十分頑張っていると思います。配当性向はやや高めです。そろそろなんとかしないと、配当に影響が出てきそうな感じです。しかし、今後の業績は厳しい予想なので、もしかすると現状維持や減配となるかもしれません。そこは注意が必要でしょう。PERも高く、投資するタイミングとしては適切ではないような気がします。

まとめ

今日はクロロックスについて見てきました。過去の数字だけを見ると非常に優秀な企業で、行っている事業についても、安定した収益を見込めるので、投資対象としてはとても魅力的にみえます。しかし、今後は去年の反動もあり、収益が落ち込む可能性がかなり高いです。そのために、最近は株価が冴えない動きをしているのでしょう。配当性向が高く、増配も停止する可能性はかなりあるかもしれません。PERも高めなので、投資するにはかなり慎重な判断が必要でしょう。しかし、取り扱っている製品に問題があるわけではないですし、事業内容も非常に安定しているので、大暴落を起こすという心配はないと思います。ここ2〜3年位はもしかしたら低迷するかもしれませんが、長期的に見れば安定した配当と、株価上昇を期待できると思います。そういう意味では、株価が下がっている今はチャンスかもしれません。PERが高いので、慎重な判断は必要ですが、今後の動きには注目です。