米国民の心理は依然厳しい状況に置かれており、回復には時間がかかるだろう

消費者物価の鈍化を受けて、経済正常化への期待は高まってきてはいますが、依然として厳しい状況には変わりありません。国民の心理としても以前大きな変化はなく、まだまだ正常化への道は険しいといわざるを得ない状況です。先週発表されたミシガン大学消費者調査によると、依然としてインフレ期待は上昇し、マインドは低下傾向にあることがわかりました。これだけ長期にわたり居座ったインフレを退治するというのは本当に大変だなという印象です。というわけで今日はミシガン大学消費者調査についてみていきます。

消費者マインドは低下が続く

先週発表されたミシガン大学の消費者調査によって米国民のマインドというのは依然低調であり、先行きはまだまだ不透明感が強いことが確認されました。

米消費者のインフレ期待は11月に入り、短期と長期の両方において上昇した。一方で、借り入れコスト上昇を背景に消費者マインド指数は4カ月ぶりの水準に低下した。

  ミシガン大消費者調査ディレクターのジョアン・シュー氏は発表文で「インフレ期待を巡る不透明感の継続は、この先もなおそのような定着があり得ることを示唆している」と解説した。

  高金利と根強いインフレで消費者は支出を切り詰める必要性を感じており、耐久財の購入環境に関する指数は低下した。同指数は前月に改善していた。

  11月の現況指数は57.8と、前月の65.6から低下。期待指数は52.7と、これも前月の56.2から下げた。

  「株式と住宅の市場変動が続いていることで高所得者層の見通しは暗くなっており、これがこうした消費者の支出に今後響くだろう」とシュー氏は指摘。「全般的なセンチメントは依然低く、こうした要素は今後数四半期におけるリセッション(景気後退)リスクを浮き彫りにする」と続けた。

引用:Bloombergより

このように、米国ではインフレの長期化に伴い、消費者のマインドは依然低下しています。低所得者はもちろんですが、高所得者にとっても先行きは暗くなっており、今後の消費や経済状況に大きな影響を与えることが懸念される状態です。10月の消費者物価が落ち着いてきたことにより今後はこの動きにも変化は出てくるのかなとは思いますが、その効果が出てくるのはまだまだ先になるでしょう。そういう意味でも米国経済の先行きというのは非常に不透明だといわざるを得ません。

先行きは依然不透明

マーケットでは消費者物価の鈍化を受けて明るい兆しが出てきた感はありますが、実態はまだまだ厳しい状況であることが確認できました。今後、インフレの鈍化が確実なものとなり、金融政策も落ち着きを取り戻して来れば消費者心理も改善してくると思われますが、それには非常に時間がかかるため、厳しい状況は続くものと思われます。そういう意味でもFRBには金融政策での後押しを期待したいところですが、まだ何とも言えないといったところだと思います。消費者物価の鈍化により、その期待は高まってはいますが、まだ何も決定したことはありません。むしろFRBはインフレ抑制に注力しており、少々の景気後退では今の政策を変更するということはないでしょう。そういう意味では非常に不透明な状況が今後も続く可能性は高いといっていいと思います。

まとめ

今日はミシガン大学の消費者調査についてみていきました。米国民の心理はかなり冷え込んできているといっていいでしょう。ここまでインフレが進み、実質賃金も減少しているのであれば当然といえば当然かもしれません。そういう意味では本当に厳しい状況が続くなという印象です。そして来年もその状況は続いていくでしょう。マーケットはその動きを先取りするのでもしかしたら来年は多少上昇することはあるかもしれませんが、実体経済が回復するには相当な時間がかかるのではないかという印象です。本当にあと一年以上米国民が持ちこたえられるのかというのは非常に心配になるところですが、致し方無いところです。何とか頑張ってもらうしかありません。我々も、いちいち右往左往するのではなく、しっかりと地に足を付けて投資を続けていくのみです。