ナショナル・フュエル・ガスの投資判断について

ナショナル・フュエル・ガスは現在、連続増配年数51年を誇る企業です。いわゆる配当王と呼ばれるものに分類されます。これを見てもわかるように非常に長きに渡り、安定した配当を株主に還元してきた企業です。最近は化石燃料を敬遠する動きから天然ガスの需要が伸びています。そういう意味でも同社はこれからのエネルギー供給に関わる企業として非常に注目されています。そういうわけで、ナショナル・フュエル・ガスについてみていきたいと思います。

事業内容

ナショナル・フュエル・ガス(National Fuel Gas Company)は、主に天然ガスの生産、収集、輸送、流通、販売を行うエネルギー持株会社である。【事業内容】探鉱と生産、パイプラインと保管、収集とユーティリティの4つの事業セグメントで事業を展開する。ニューヨーク州西部とペンシルベニア州を中心に資産を持ち、マーセラス頁岩盆地からの天然ガスの生産と輸送を行う統合事業を運営する。また、主にカリフォルニアで石油埋蔵量を開発・生産する。探鉱と生産セグメントは、Seneca Resources CorporationとNFG Midstream Covington, LLCによって実施される。ペンシルベニア州法人であるNational Fuel Gas Supply Corporationとニューヨーク州法人であるEmpire Pipeline, Inc.は、パイプラインと保管セグメント事業を行う。

引用:investing.comより 

ナショナル・フュエル・ガスは非常に特色のある企業で、単一のカテゴリーとして表現するには少し無理があります。通常、ガスユーティリティとして分類されますが、同社は天然ガスサプライチェーンに垂直統合されており、ガスユーティリティセグメントに加えて、上流の探査と生産、中流の輸送と貯蔵のセグメントを運営しています。上流では主にMarcellusおよびUticaシェール地域から石油と天然ガスを生産しています。その生産量は前年比43%もの増加をしています。中流ではアパラチア地域でパイプラインと貯蔵施設を運営しています。同社はNorthern Access、Empire North、FM100パイプラインなどの注目すべきプロジェクトでパイプラインシステムを拡張しており、この地域でのガス生産を他の市場に輸出することができます。この中流セグメントは、連結収益の約20〜25%を占めています。ナショナル・フュエル・ガスは、ニューヨーク州西部とペンシルベニア州北西部でガス事業を運営しています。これはかなり安定していますが、成長率の低いビジネスです。最近、同社は、安全性を向上させ、温室効果ガスの排出を削減するために、鋳造および錬鉄のパイプラインをより近代的な材料に置き換える作業を行っています。同社のユーティリティセグメントは現在、連結収益の約20%を占めています。

通期業績推移

引用:マネックス証券 銘柄スカウターより

業績はおおむね横ばいから若干の下落という感じでしょうか。比較的大きな上下動を繰り返しながら、同じような範囲で動いているという感じです。比較的公益性の高い事業なので、大きな収益の上昇などは見込めないのかもしれません。その代わり、大きく減少することもないと思いますので、安定志向の人にはいいと思われます。

株価の推移

引用:マネックス証券 銘柄スカウターより

こちらもおおむね横ばいという感です。コロナウィルスパンデミックの影響で下落して以降はずいぶん持ち直してきてはいますが、ここから上昇できるのかがポイントとなりそうです。過去を見ると、あまり大きな株価上昇は期待できないかもしれません。

セグメント構成

引用:マネックス証券 銘柄スカウターより

天然ガスの探索、貯蔵、生産など、幅広く事業を行っていることがよくわかります。どれも大きな収益を占めていて、比較的バランスの良い構成だと思います。

セグメント業績推移

引用:マネックス証券 銘柄スカウターより

多少の上下動はありますが、どれもおおむね横ばいという感じです。やはり、安定はしていますが、大きな収益の増加というのは見込めないかもしれません。

年間配当履歴

引用:マネックス証券 銘柄スカウターより

配当はきれいな右肩上がりのグラフを描いています。あまり大きな上げ幅ではありませんが、着実に配当は増やしてきているようです。

配当利回り 配当性向

引用:マネックス証券 銘柄スカウターより

配当利回りはやや高めな感じです。このくらいの配当があり、今後も増配が続くと仮定すれば、配当狙いの保有も考える価値はありそうです。配当性向は131.6%とかなり高めです。利益以上の配当を出しているので非常に危険です。今後の配当については大いに懸念が残ります。

PER

引用:マネックス証券 銘柄スカウターより

PERは42.8倍と過去と比較しても、かなり高いです。最大値よりはだいぶ低く落ち着いてきましたが、それでも随分と高めです。投資するタイミングとしては少し考えた方がいいかもしれません。

貴族株指標

  • 増配年数 51年
  • 配当利回り 3.47%
  • 1年増配率 2.33%
  • 3年増配率 2.38%
  • 5年増配率 2.44%
  • 10年増配率 2.61%
  • 配当性向 128.17%
  • PER 36.99

参照:U.S.DividendChampions 2021/09/30より

連続増配年数51年はとても立派な数字です。いわゆる配当王と呼ばれるグループに所属します。これだけ長い間、配当を増配し続けるというのは並大抵のことではありません。これだけ見ても、とても安定した事業を行っていることがよくわかります。配当利回りは3.47%と非常に安定した企業であるにもかかわらず、やや高めの配当となっています。すごく高いというわけではないですが、毎年増配をしていくと仮定すれば、初期投資としては十分な利回りだと思います。増配率は安定して2.4%前後推移しています。あまり伸び率は良くはないようです。天然ガス需要はこれから大きな伸びが予想されますので、今後は配当も大きく増えていくかもしれませんが、あまり期待はできないかもしれません。配当性向は128.17%と100%を超えています。これは非常に危険な数字です。2割以上オーバーしていますから、これからの配当はもしかしたら危ないかもしれません。PERもかなり高く、36.99となっています。投資するタイミングとしてはあまりいいとはいえないでしょう。

まとめ

今日はナショナル・フュエル・ガスについてみていきました。非常に安定感のある、優良企業だとは思いますが、今後についてはやや不安が残る感じがします。特に配当性向とPERについてはかなり危険な領域に入っていて、今すぐ投資をするというのは控えたほうがいいような気がします。ただ、天然ガス需要は間違いなく伸びていくでしょうし、今後も社会にとって不可欠な事業を行っているので、状況が改善すれば、投資対象として十分検討に値する企業だと思います。これからも、投資環境が整うまでしっかり監視していきたいと思います。