含み損を活用した有効な税金対策

今年も残すところあと一月半となりました。というわけで今年も税金対策も兼ねてポートフォリオの整理をしました。少し早い気もしますがふるさと納税の上限額を早く確定しないと、慌ただしい年末になってしまいそうなのでこのタイミングで行います。ふるさと納税は収めた税金によってお得に利用できる上限額が変わってきます。会社からもらう給与はだいたいわかっているので、あとは投資による利益がわかれば、いくらまでふるさと納税ができるのかが決まります。そしてもう一つ重要な理由は、購入後にあまり株価が上昇しなかったり、思うような成果を挙げられなかった株の損失を確定することにより確定利益を減少させ、税金を減額させることです。そうすれば失敗した投資を解消でき、税金を合法的に減らすことができるのです。おそらくこの方法で合法的に節税している人も多いと思いますが、非常に大切なことなのでここで共有していきたいと思います。

税金は利益にのみ掛けられる

当然の話ですが、税金は利益にのみかかります。ここで重要なのは含み益には税金はかからないということです。持っている株の含み益が100万円だろうと1000万円だろうと税金は取られません。あくまで確定利益のみなので株式投資の場合、配当金や売却益などが対象となります。そして、取引ごとにかかるのではなく、一年間の合計利益にかかります。ある取引で100万円の利益が出たとしても、別の取引で100万円の損失があれば、プラスマイナス0で税金は発生しません。なのでもし、今年の配当と売却益の確定利益がプラスであった場合は税金を支払う必要が出てきます。

税金を合法的に下げる方法

計算の結果、今年は利益が出るとなったとき、税金を支払わなければなりません。ですが、なるべくなら税金は少なくしたいものです。脱税はいけませんが、節税はきちんとした国民の権利ですから全く問題はありません。使えるものはどんどん使いましょう。今回行なうのは含み損がある持ち株の損失を確定し、合計利益を下げる方法です。これは持っている株式のうち、含み損がある株を売却し損失を確定させます。そうすると当然この取引では損をしてしまいます。しかし、先程も述べましたが株の税金というのは売買ごとにかかるのではなく、一年間のすべての取引の合計利益にかかってきます。なので、含み損のある株を売却し、損失を確定することにより一年間の合計の利益を減らすことができるのです。そして後日、同じ株を同じ数量買い戻せば、元の状態に戻すことができます。しかし、損失は確定しているので、利益は減ったままポートフォリオは変化してない状態を保てます。そうすることによって税金を合法的に減らすことができるのです。

結局は税金の先送り

合法的に税金を下げることができましたが、実は払うべき税金の先送りをしているだけで、払う税金が減っているわけではありません。例を上げると、100万円で買った株が80万円になった場合、そこで株を売却し20万円の損失を確定させ、その後80万円で株を買い戻します。そうすると新たに買い付け価格が80万円の状態で株を保有することとなります。その後、株が130万円になり、そこで売却した場合、利益は130万円-80万円=50万円となり、50万円分に税金がかかります。しかし、最初から売却せずに持っていた場合は130万円−100万円で利益は30万円となり、税金は30万円分にしかかかりません。つまり、この方法で損失を確定させると、後々利益が出た場合に税金が多く取られることになります。しかし、今は20万円分の税金を払わずに済みます。そういうわけで合法的に税金を減らすことはできても最終的には支払うべき税金を先送りしているに過ぎないのです。

キャッシュ・フローの改善にはなる

それでは意味ないのかと言われればそうではありません。健全なキャッシュフローを考えた場合、支払うものは極力先送りしたほうがいいです。例えば同じ100万円を払うという行為を今やるのか、一年後にやるのかでは全く意味が違います。今支払ってしまえばそれで終わってしまいますが、一年後に払うのであればこの一年間、100万円を使ってなにか利益を上げることができるかもしれません。その結果10万円の利益が得られれば、それはすぐに100万円払ってしまったときには得られなかったお金が手に入ったことになります。なので、健全なキャッシュフローを考えたとき、支払うお金は極力あとに回すべきなのです。株式投資の場合も、今年払う必要がないのであれば、もう一年そのお金を運用できるのですから、絶対そのほうが言いに決まっています。

失敗した投資をリカバリーできる

それと、損失の繰越は失敗した投資を相殺することにもなるので非常に有効です。誰だって失敗しないことはありません。ウォーレンバフェットだって失敗します。なので、我々素人は特に失敗が尽きものです。そういう投資に失敗した株の有効な処分方法としても損失の繰越は非常に有効です。そうすることにより税金を抑えつつ、また新たな有望株への投資ができるからです。

配当控除はつかえない

損失の繰越は非常に有効な節税手段のように見えますが、大きなデメリットもあります。配当控除が使えないということです。配当控除を適用されるためには配当の課税方式を総合課税にする必要があります。しかし、損失の繰越をするためには課税方式は分離課税でなければなりません。したがって、配当控除の適用を受けつつ損失の繰越はできないということになります。なので、どちらを選択したほうがメリットが大きいのかを各自で判断して申告をする必要があります。ちなみに配当控除は外国株やREITの分配金は適用されません。主に日本株からの配当に配当控除は適用されるので、日本株の比率が高い人は特に注意が必要でしょう。

まとめ

今日は損失の繰越について見ていきました。損失を繰り越すということは健全なキャッシュフローを保つためにも非常に有効な手段です。あくまで支払うものを先送りしているだけなので、そこは注意が必要ですが検討する価値は十分にあると思います。キャッシュフローを健全に保つためには出ていくお金は可能な限り遅らせ、入ってくるお金は可能な限り早くすることです。これは非常に重要な考え方です。そのことはいつも意識するようにしましょう。一応手数料分は損をしていることになるのですが、今はネット証券のおかげで十分手数料も安くなっているので大きな問題にはならないでしょう。合法的に節税できる手段はいくつかありますので、有効活用できるようにしていきたいものです。