米国のGDPは2四半期連続の減少。リセッション入りが決定。

28日に注目されていた米国の4-6月期のGDPが発表されました。おそらくは多くの人が予想していたと思われますが、2四半期連続の減少となり、いわゆるリセッション入りということになりました。改めて米国経済の減速が明らかとなり、今後の金融政策等にも影響を与えていくこととなるでしょう。そういうわけで今日は先日発表されたGDPについてみていきたいと思います。

GDPは2四半期連続の減少

28日に発表された4-6月期の米国のGDPは0.9%減となり、前期に続いての減少となりました。これにより2四半期連続のGDP減少ということが確定し、いわゆるリセッションに米国経済が突入したこととなります。

  • 4-6月の実質国内総生産(GDP)速報値は前期比年率0.9%減
  • ブルームバーグ調査のエコノミスト予想中央値は0.4%増
  • 1-3月(第1四半期)は1.6%減

引用:Bloombergより

やはりインフレの影響というのは深刻なようで、個人消費や住宅市場などは大きく落ち込んだ形となります。GDPが減少し、景気後退が確実となったことでFRBの政策もより難しいものとなるでしょう。インフレを抑制するという観点から見れば金利を上げ、金融を引き締めたいところですが、それをすれば経済は確実に弱くなります。ただでさえGDPがこれだけ落ち込んできたところで金融を引き締めればさらに経済は悪化することになるでしょう。そういう意味では9月のFOMCではこれまでよりも引き締めは緩める可能性が出てきたのかなという印象です。ただ、何度も言いますがインフレは非常に深刻な事態であり、そのためにはより引き締めを強めたいというのがFRBの本音でしょう。なのでこの矛盾する政策をどのようにまとめていくのかというのは非常に困難なことだろうなと思います。

市場は発表を好感

GDP発表を受けて株式市場は続伸し、為替市場ではドルが売られる展開となりました。

28日の米株式相場は続伸。4-6月(第2四半期)の米国内総生産(GDP)統計を受けてリセッション(景気後退)を巡る懸念が強まり、大幅な米利上げ観測が後退する中、上昇に弾みがついた。米国債利回りは低下。ドル・円相場は下落し、134円台前半で推移した。S&P500種株価指数は前日比1.2%高の4072.43と、7週間ぶり高値。ディフェンシブ銘柄が上げを主導した。ダウ工業株30種平均は332.04ドル(1%)高の32529.63ドル。ナスダック総合指数は1.1%上昇。

引用:Bloombergより

とりあえず市場はGDPの内容を受けて金融緩和が若干緩んでくるとみているようです。確かに最近は弱い経済指標も続いていましたし、リセッション入りが確実視された現在、FRBが強い引き締め政策には出づらいと思うのは当然のところかなと思います。

今後の金融政策はまだ何も確定していない

ただ、実際のところはどうなるのかはわからないといったところです。今回の発表を受けてイエレン財務長官は次のような発言をしました。

イエレン米財務長官は2四半期連続でマイナスとなった米国内総生産(GDP)について、経済がリセッション(景気後退)に陥っていることを証明するものではないと述べた。本当の意味でのリセッションとは「広範囲に及ぶ経済の弱まり」だとイエレン氏は28日の記者会見で説明。「現在そういう状況は見られない」と述べた。この日発表された4-6月(第2四半期)実質GDP速報値に言及した発言。現在の米国では雇用創出と力強い家計、個人消費の増加と企業の成長がみられるとイエレン氏は指摘。第2四半期に雇用者数が110万人増加したことを挙げ、過去のリセッション局面の最初の3カ月に平均24万人の雇用が失われたのとは極めて対照的だと述べた。イエレン氏はインフレ率が依然として高すぎ、これを下げることが政府の最優先事項だと強調。消費者物価の伸びは「近いうちに低下する可能性が高い」と述べた。

引用:Bloombergより

このようにイエレン長官は述べ、現在の米国経済はリセッション入りしているわけではなく、まだまだ力強さを残していると述べています。確かに雇用や個人消費を見ればいまだに強さを見せているのも確かであり、過去のリセッションの時とは若干違うというのはその通りだと思います。なので今は経済よりもインフレ抑制の方が重要だといっているのでしょう。もし、この認識がFRB内で大勢ということであれば今回のGDPを受けて金融政策が緩むという確率は低くなりそうです。他の関係者がどのように考えているのかわかりませんので何とも言えませんが、まだこの先の金融政策がどうなるかについては確定的なことは言えないということでしょう。

まとめ

今日は先日発表されたGDPについてみてきました。リセッション入りというのは予想通りなので驚きはありません。それを好感して株式市場が上昇したというのはまあそうなのだろうとは思いますが、若干早とちりなような気もしなくもありません。イエレン財務長官の発言にもある通り、まだインフレは収まる気配は全くなく、経済指標についても弱くはなってきてはいるが、まだまだ力強さもあるといっていいのかなと思います。なので引き締めが緩むと確定できるものでもないような気はしています。まだ9月までは時間がたっぷりと残っています。おそらくその間もいろいろな憶測によって株式市場は乱高下していくことでしょう。