インフレ期待が上昇。FRBにとっては頭の痛い問題。

物価の安定を目指すFRBにとってあまりよくないニュースが発表されました。米ミシガン大学による消費者マインドの調査によりインフレ期待はまた上昇をしていることがわかりました。最近は原油価格の下落などにより落ち着いてきていたインフレ期待ですが、ここへ来てまた不穏な動きを見せるようになりました。これはFRBにとっては頭の痛い問題となるかもしれません。そういうわけで今日は先日発表されたインフレ期待についてみていきます。

インフレ期待が上昇

米ミシガン大学は先日、10月の消費者マインドの速報値を発表しました。その結果として、インフレ期待はやや上昇していることがわかりました。

10月の米ミシガン大学消費者マインド指数の速報値では、1年先のインフレ期待が7カ月ぶりに上昇したほか、5-10年先のインフレ期待も小幅ながら上昇した。インフレ期待の抑制を目指す米金融当局にとって憂慮すべき展開となる可能性がある。

  今夏にガソリンの店頭価格が落ち着きを見せたことも背景に、ここ数カ月は消費者のセンチメントが改善し、インフレ期待も低下していた。だが物価は再び上昇傾向となっている。

  ミシガン大消費者調査ディレクターのジョアン・シュー氏は発表文で「世界的に物価と経済、金融市場の将来的な軌道を巡る不確実性が続いていることから、消費者には険しい道が待っていると示唆される」と指摘した。

  ブルームバーグ・エコノミクスのエコノミスト、アナ・ウォン氏は「家計のインフレ期待がエネルギー価格に極めて敏感なことを踏まえると、今後ガソリン価格が上昇する中で長期インフレ期待の指数は悪化する公算が大きい」と分析。「指数の悪化が続けば、米金融当局は12月に利上げペースを落とせなくなる可能性がある」と述べた。

  自動車や家電製品といった耐久財の購入環境に関する消費者意識を示す指数は、約1年ぶり高水準。これについてシュー氏は、供給面での制約が緩和したことが背景にあると説明した。

  現況指数は65.3に上昇し、半年ぶり高水準。一方で期待指数は56.2に低下。期待指数が低下するのは7月以来。

引用:Bloombergより

このようにインフレ期待はやや上昇傾向にあるようです。これはインフレ抑制を目指すFRBにとっては頭の痛い問題でしょう。依然高い物価上昇は強力な引き締めをFRBに要求するものです。しかし、景気の先行きについても楽観できるものではなく、状況によっては利下げを求められることも出てくるでしょう。しかし、それではインフレは抑制することができなくなり、いつまでも居座ってしまうことになります。そういう意味でもFRBは早くこのインフレをある程度コントロールできる状態にして、柔軟な金融政策を実行できるようにしたいはずです。しかし、これらの指標を見る限り、なかなか難しいのかもしれません。記事にもある通り、今は原油価格が比較的落ち着いているのにもかかわらずこの状態となっています。おそらくは今後原油価格も上昇してくることになるでしょう。そうなればますます物価上昇圧力は高まることになり、FRBにとっては非常に厳しい状況になると思われます。

明るい未来が全く想像できない

今後の金融政策については本当に難しい状況になったなという感じです。インフレは依然高いままですし、先行きについても今回の指標でもある通り、全く落ち着く気配がありません。しかし、景気後退の足音は着実に近づいてきており、そのためにも可能な限り早く金利を引き上げて柔軟な対応をできるようにしたいところです。ですが、あまりに急激に利上げをすれば当然ながらその悪影響により景気も悪化することになるでしょうし、遅すぎても今度はインフレがより強固なものとなってしまいます。そういう意味では本当に困難な状況になったなという印象です。

まとめ

今日は10月のインフレ期待についてみてきました。本当に難しい状況が日々進行しているような気がします。FRBはいまだソフトランディングは可能としていますが、果たして本当なのでしょうか?さすがにもう難しいのではないかと個人的には感じています。米国がこんな状況であり、日本や欧州も問題山積です。そして中国も現在はかなり景気が減速してきており、誰も経済を引っ張るエンジンとなれない状況です。そういう意味では本当にこれから大変な時代になるのではないかという感じがしています。