10月の生産者物価も消費者物価同様、減速傾向を確認

米異国のインフレは確実に減速してきているようです。先日発表された生産者物価も消費者物価の値と同様に市場予想を下回る減速を示し、インフレが確実に鈍化してきていることを示しました。これによりFRBの金融政策の行方にも影響が出てくるのかもしれません。というわけで今日は先日発表された生産者物価についてみていきたいと思います。

10月の生産者物価も消費者物価同様に市場予想を下回る

先日発表された10月の生産者物価市場予想を下回る結果となり、インフレが確実に鈍化してきている可能性が示唆されました。

10月の米生産者物価指数(PPI)は前年比での伸びが市場の予想以上に鈍化した。インフレ圧力が緩和し始めている兆候が新たに示された。

  先週発表された10月の消費者物価指数(CPI)でも伸びは予想を下回り、急速な物価上昇ペースがようやく鈍化し始めている兆候として市場では前向きに捉えられていた。

  米総合PPIは3月に前年比11.7%上昇でピークを付けた後、伸びが鈍化。サプライチェーンの改善や需要減速、多くの商品の値下がりが背景にある。10月は食品とエネルギーを除いたベースで財の価格が低下。サービス価格は2020年以来初のマイナスとなった。

  物価指標を注視している米金融当局が近く利上げペースを減速させると、市場は予想している。ただ、当局者らはインフレ退治の姿勢を崩してはいない。 

  これまでに多くの企業が投入・労働コストの大部分を消費者に転嫁してきているが、一部企業は最近、景気の先行き不透明感を背景に一段と積極的な値上げに消極的な姿勢を示している。 

  10月は財の価格が前月比0.6%上昇。食品とエネルギーの値上がりを反映した。サービス価格は0.1%低下。貿易や輸送、倉庫などでコストが下がった。

  食品とエネルギー、貿易サービスを除くPPIは前月比0.2%上昇。前年比では5.4%上昇と、2021年5月以来の低い伸びだった。

  ブルームバーグ・エコノミクスのエコノミスト、イライザ・ウィンガー氏は「10月のPPI統計では、財とサービスの最終需要で価格上昇ペースが減速した。これは、特に財のセクターで需給要素のバランスが改善しつつあることを示唆している」と分析した。

  生産過程における比較的早い段階での物価を反映する中間財のコストは低下。食品とエネルギーを除いたベースでは、中間財は0.8%低下と、新型コロナウイルスのパンデミック(世界的な大流行)が始まって以降で最大の値下がりとなった。

引用:Bloombergより

このように米国の物価は確実に鈍化傾向に入ってきています。先日発表された消費者物価の値と合わせて考えてみても、物価上昇の勢いは緩やかになってきているといっていいのかなと思います。

インフレも確実に減速してきているかな?

今回の発表を受けてインフレは確実にピークを迎えつつあるのだろうという印象です。もちろんそれを断言するのにはやや早いとは思いますが、それを期待させるような数値が相次いで発表されているため、市場でもその期待は高まってきています。もし、この傾向が続くのであれば確実にインフレは鈍化していき、FRBが目指すソフトランディングも可能になってくるかもしれません。そういう意味では非常に良いニュースであるといっていいでしょう。

まだ楽観論は禁物

ただ、今回の発表をもって安心するわけにはいきません。いくら鈍化の傾向があるといっても依然高い上昇を示していることには変わりありません。FRBが目指すのは安定した2%のインフレです。現在は鈍化してきているとはいえ生産者物価は8%台、消費者物価は7%台と依然として高すぎる数字です。これが確実に減少し、2%にある程度近づいてこない限り安心はできないでしょう。このまま上昇もせず下落もせず、高い値で停滞してしまう可能性も十分にあるのです。そういう意味ではまだまだ油断できませんし、実際FRB関係者からもよい兆候だという話は出てきますが、まだまだ引き締めは必要だという認識が多く出てきています。そういう意味でもよい傾向ではありますが、まだどのような終着点を迎えるのかは未知数といったところです。

まとめ

今日は10月の生産者物価の数値についてみてきました。この数値を見る限りはインフレは確実に収まってきていると思われます。しかし、依然高い水準であることには変わりなく、金融政策も大幅な変更ということはまだないのかなという印象です。景気もかなり危なくなって吐きていますが、雇用はいまだに安定をしており、金融政策の変更という選択の可能性は低いような気がします。そういう意味でも今後もあまり過度な楽観論は避けた方がいいでしょう。