雇用コストも鈍化傾向。インフレは確実に収まっている。

米国のインフレは確実に落ち着いてきています。昨年第4四半期の雇用コストは市場予想を下回る結果となり、FRBによる金融引き締めの効果が現れてきたものと思われます。これにより本日行われているFOMCでは25bpでの利上げということがより確実となったと言っていいでしょう。そして、金融政策の変更がより意識されてくることが予想されます。

雇用コストは予想よりも鈍化している

昨日発表された昨年第4四半期の雇用コストは市場予想を下回り、金融引き締めの効果が確実に現れていることが確認されました。

米国では昨年10ー12月(第4四半期)、雇用コストの伸びが市場予想を下回った。インフレ鈍化の兆候が新たに示され、連邦公開市場委員会(FOMC)としては今週の会合で利上げ幅を縮小させる論拠が強まった格好だ。

  雇用コスト指数はこれで1%以上の上昇が6四半期連続となり、統計が始まった1996年以降の最長記録を更新した。

  他の複数の指標でも賃金の伸び鈍化が示されており、今回の雇用コスト指数もその傾向と合致する。ただそれでも、そうした面でのインフレ圧力が完全に沈静化したと金融当局が確信するにはまだ不十分だ。当局は任務完了からは程遠いとの姿勢を固持しており、高水準の金利を長期間維持する可能性がある。

  米連邦公開市場委員会(FOMC)は31日から会合を開催しており、市場では0.25ポイントへの利上げペース減速が見込まれている。FOMCは2月1日に政策決定を発表する。

  ブルームバーグ・エコノミクスのエコノミスト、アナ・ウォン氏は「第4四半期の雇用コスト指数の伸び鈍化は、コアサービス分野でのディスインフレ進行を示唆する。賃金の伸び減速により、金融当局は利上げペースを落とすべきとの確信を強めそうだ。だが、最低5%に引き上げることはやめないだろう」と指摘した。

  非軍人労働者の賃金・給与は第4四半期に1%上昇。諸手当は0.8%増えた。

引用:bloombergより

このように雇用コストも伸びが鈍化してきました。これはインフレ抑制を目指すFRBにとっては良いニュースと言えるでしょう。賃金の伸びが緩やかになってきたということは確実に引き締めの効果は出てきているということです。これまでの消費者物価の伸びなど様々な指標を見る限り、インフレは確実に収まってきていると言っていいでしょう。そういう意味では今後の金融政策にも影響を与えることになりそうです。

FRBが引き締めの手を緩めることはないだろう

今回の雇用コストのニュースは非常に良いものと言っていいでしょう。本日行われているFOMCでは25bpでの利上げが確実となっていますが、それを十分後押しする内容となっていると思います。そして市場もそれを素直に好感して上昇しています。そういう意味では金融政策の変更も期待しているのかなという感じです。しかし、流石にそこまではうまくは行かないのかなという印象です。これまでも述べてきましたが、FRBはインフレ抑制に対して非常に積極的になっています。そして依然としてインフレは高く健在です。そういう意味では市場が期待するほどの内容な今日のFOMCでは出てこないのではないかと思います。むしろ、そのような市場の空気を抑えるような発言が出てくるのかなと思います。なので今日株価が上昇したことはいいことですが、明日はやや厳しいものとなるのではないかと思っています。

まとめ

今日は雇用コストのニュースについて見てきました。インフレはあらゆる指標を見る限り鈍化していることはほぼ間違いないでしょう。しかし、経済が正常化するにはまだまだ時間がかかるということを忘れてはいけません。そしてFRBもその手を緩めることはまずないと思っておくべきです。おそらくはそのことに市場もそのうち気づくことになるでしょう。なので今はあまり過度な楽観論は持たないほうがいいと思います。