米国の消費者は先行きに対する不安感を増大させている

米国の消費者は未来についてやや悲観的な見方をしているようです。昨日発表された消費者信頼感指数によると、現状については楽観的である一方、先行きに対しては悲観的になっている米国消費者の姿というものが明らかとなってきました。今後、インフレはそこまで加速するとは思っていないようですが、自分たちの生活がより明るくなるとは見ていないようです。

先行きに対する不安感

昨日発表された消費者信頼感指数は先行きに対してやや懸念が残る形となっています。

米消費者信頼感指数は3月、前月からほぼ変わらずとなった。消費者は、現状については楽観している一方、先行きについては悲観的な見方をやや強めている。

 期待指数は73.8に低下し、昨年10月以来の低水準。現況指数は151に上昇した。

  調査への回答からは、消費者はインフレが再加速するとは予想していないほか、リセッション(景気後退)のリスクもあまりないとみていることがうかがえる。先に発表されたミシガン大学消費者マインド指数も前月からほぼ変化がなかった。消費者は、景気見通しをより明確に捉える上で大統領選の結果を待ちたい考えだ。

  コンファレンスボードのチーフエコノミスト、デイナ・ピーターソン氏は発表文で「消費者は、数カ月前よりも米国の政治環境に対する懸念を強めている」と指摘。「過去半年間、信頼感は横ばい状態にあり、所得別、年齢層別ともに上昇傾向も低下傾向も明確には見られていない」と述べた。

  今年に入り2カ月連続で強めのインフレデータが発表されたものの、消費者はあまり懸念していないようだ。1年後のインフレ期待は、4年ぶり低水準付近を維持した。

  労働市場に対してはなお明るい見方を示している。雇用は「十分にある」との回答比率は昨年7月以来の高水準に上昇。「職を得るのは困難」との回答は約1年ぶり水準に低下した。

  「雇用が十分」との回答と「職を得るのは困難」との回答の差は8カ月ぶり高水準に上昇。エコノミストは労働市場の強さを判断する指標として、この差に注目している。

  ただ6カ月先については、回答者は事業環境や所得、労働市場の見通しに関して総じて悲観的な見方を強めた。また家計についても楽観がやや弱まった。

引用:bloombergより

このように米国の消費者は現状に満足しつつも、未来に対してはやや悲観的な見方をしているようです。特に今年は大統領選挙を控えているということもあり、そのことが大きく影響しているのでしょう。現状、米国経済は考えられているよりも良い状態であると思われます。インフレの懸念は残るものの、雇用環境は安定しており、株価も堅調です。そういう意味では思っているほど悪くはないということで、現状に対してはそこまで悲観的になっていないということでしょう。しかし、将来的には非常に不透明感が大きく、とても楽観的になれないというのが正直なところなのかなという感じです。

この状況はしばらく続く

米国経済は思っているほどには悪くはありません。少なくとも現状はそう悪くはないでしょう。そういう意味ではそこまで悲観的になっていないということはよくわかります。しかし、先行きに対してはやはり不安が残るというのは気持ちがわかるような気はします。大統領選挙については非常に不透明感が強く、特にトランプ氏が大統領になった場合の影響というのは本当に未知数であり、どうなるのかわからないということからもとても前向きにはなれないでしょう。そして経済についても今のところは思っているほど悪くはありません。特にAI関連は非常に好調であり、かなりの恩恵を受けているのは間違いないところです。しかし、それが永遠に続くことはなく、いつかは収束することになるでしょう。そしてインフレについても予想外にしぶとく居座っており、いつまでこの引き締めが続くのかは全く予想できないというのが正直なところです。そういう意味では先行きに対して何ら明るいものを描けないというのが正直なところでしょう。そういう意味では非常に不安定な状況が続くというのは間違いないのかなという感じです。

まとめ

今日は現在の消費者心理について見てきました。米国の消費者は想像以上に未来に対して不安感を抱いているように思います。それは大統領選挙をはじめ多くの要因から来ているため、そう簡単には払拭されることはないでしょう。少なくとも大統領選挙が終わる11月までは続くことは確実であり、その後も結局はどちらの候補が勝とうとも不安感が払拭されることはないのだろうと感じます。そういう意味ではこのような状況は変わることはないのかなと思います。