2月の生産者物価指数は予想外に弱いものとなり、金融政策の変更の可能性はさらに高まる

SVB破綻のニュースによって金融システムの話題が大きくなってきましたが、依然としてインフレも健在であり、無視できるものではありません。そのためFRBの舵取りは非常に難しくなってきていますが、インフレがもしかしたら少しは落ち着いてきたかもしれません。先日発表された2月の生産者物価指数は市場予想を大きく下回る結果となり、予想外に物価は落ち着いてきたことを示しました。先日の消費者物価は未だ強い結果を示していただけにやや予想外な感じはしますが、もしかしたらインフレも少しずつ落ち着いてきているのかもしれません。

2月の生産者物価指数は予想外に鈍化した

昨日発表された2月の生産者物価指数は市場予想を大きく下回る結果となりました。

2月の米生産者物価指数(PPI)は市場の予想外に低下した。数十年ぶりの高インフレが続く米経済の一部で物価圧力が和らぎつつあることが示唆された。

  総合PPIは財とサービス両方の価格下落を反映した。財価格下落の80%余りは鶏卵のコスト低下に起因し得ると、労働省労働統計局(BLS)は説明した。サービス価格の抑制には機械や自動車が寄与した。

  前日に発表された2月の米消費者物価指数(CPI)では力強い労働市場に支えられ、根強いインフレが広範に及んでいることが示されていた。今回のPPIは前年同月比ベースの上昇率が著しく低下。サプライチェーンの改善やコモディティー価格の下落が背景にある。

  ヘルスケアなどPPIカテゴリーのいくつかは、米金融当局が重視する個人消費支出(PCE)価格指数の算出に使用される。ヘルスケアのうち、病院の外来診療コストは伸びが加速した。

  振れの大きい食品とエネルギー、貿易サービスを除くPPIは前月比0.2%上昇。前月は0.5%上昇(速報値0.6%上昇)に下方修正された。

  食品価格は3カ月連続で低下。鶏卵が36.1%下げたことを反映した。エネルギー価格は小幅に下げた。

引用:bloombergより

このように企業間取引においては物価はやや落ち着いてきたようです。もちろんこの数値だけを見て判断はできませんが、物価の落ち着きを示す結果であることは変わりなく、よい兆候といっていいでしょう。今後、消費者物価などの各種インフレ指標も落ち着きを見せてくればようやくインフレも鈍化してきたと言えるかもしれません。現在、SVB破綻に伴う金融システム不安が経済を席巻しています。特に銀行株を中心に株価は大きく下げており、マーケットは混乱状態です。そういう意味ではこれまで想定していたような強い引き締めは行いづらくなっていただけに、生産者物価の落ち着きというのは非常にありがたいものでしょう。

FRBの政策変更はほぼ確実かな

今回の結果というのは正直予想外といった感じです。ここまで強い指標が多かっただけに今回も強いものが出てくるのだろうと思っていました。しかし、結果としてはFRBにとって朗報であり、金融政策の変更もしやすくなったのではないかという印象です。現在の金融システム不安は非常に大きな影響を与え始めています。今の所政府によって迅速な支援が発表されたため大きな混乱は落ち着いてきたように思いますが、根本的なシステムの問題は何も解決しておらず、事態は長期化することになるでしょう。そういう意味ではしばらく不安定な状態は継続すると思っています。いずれにせよ今回の金融不安と生産者物価の結果は今後の金融政策を変更させるのに十分なものです。そういう意味ではややシナリオ修正の必要が出てきたのだろうと思います。

まとめ

今日は2月の生産者物価指数について見てきました。予想外に弱かった物価ですが、現在の厳しい状況を考えると非常に嬉しいサプライズだと思います。生産者物価が弱くなくとも金融政策はややゆるくなると思われていたところに物価の落ち着きが見られたということで、今後の金融政策の変更はほぼ間違いないのかなと感じています。しかし、経済状況はさらに悪化しており、株価にとってはいいニュースだとあまり喜んでいられないというのが正直なところです。今年は次から次へと悪いニュースばかりが出てきています。おそらくはしばらくこの流れは続いていくのでしょう。投資家としては非常に辛い未来が待っているような気がしますが、辛抱強く明るい未来が来るまで耐えるのみです。