労働市場は引き続きタイトである

先週の今頃は大幅に上昇した失業保険申請件数によって労働市場もついに変化の兆しを見せたかと思いましたが、やはりそれは間違いだったようです。先週申請された新規失業保険申請件数は前週より大幅に減少し、改めて労働市場がタイトであることが確認されました。先週確認された大幅な失業保険申請はやはり一時的なものだったようです。

新失業保険申請件数は大幅に減少

昨日発表された先週一週間での新規失業保険申請件数は前週よりも大幅に減少することとなりました。

米国では先週、失業保険の新規申請が昨年7月以来の大幅な減少となり、急増した前週から反転した。特にニューヨーク州での減少が目立った。

  季節調整前のベースでは、申請件数は21万7444件に減少した。前の週にニューヨーク州で急増したのは、学校の休みが関係した可能性がある。同じく前週に急増したカリフォルニア州では悪天候が影響したと考えられる。

  今回のデータからは力強い雇用創出と大量の求人、低失業率といった極端にタイトな労働市場が浮かび上がる。しかしながら賃金の伸びを示す指標の複数で減速が示唆され、総じてインフレのペースに追いついていないため、今後支出を抑え始める可能性がある。メタ・プラットフォームズなど企業のレイオフも相次いでいる。

  ブルームバーグ・エコノミクスのエコノミスト、イライザ・ウィンガー氏は「先週の申請件数は20万件を割り込んだが、今後はレイオフがハイテクや金融からその他のセクターに広がり、なお急増が予想される。今年の業況悪化に備える企業は多く、リセッション(景気後退)リスクが高まるにつれレイオフの発表も増えるだろう」と述べた。

  変動の少ない失業保険申請の4週移動平均は19万6500件に若干減少した。

引用:bloombergより

このように米国の労働市場は相変わらずタイトなようです。先週は予想外に悪化した数値によって労働市場もようやく変化してきたかと思われましたが、それも一瞬の出来事だったようです。内容を見ると天候や時節柄によって起こったことのようで、大きな流れというのは全く変化していないようです。そういう意味では引き続きインフレ圧力は強く、米国経済を苦しめるものとして意識され続けることになるでしょう。しかしながら、企業業績は着実に悪化しています。ハイテク関連を中心に人員整理は続いていますし、最近発生した銀行不安によって金融機関でも同じようなことは起こってくる可能性は十分にありえることでしょう。そういう意味では今後もこのようなタイトな労働市場が続いていくという可能性は非常に低いのではないかなという感じです。

物事は大局的に見ることが大切

物事を判断するときは大局的に見て判断しなければならないという良い例です。先週一週間だけ見ると労働市場は悪化したように見えましたが、それは全くの偽物でした。このようにデータというものは正しく判断しなければ間違った結果になってしまうという良い事象だったのではないかと思います。そういう意味では出てくる数値の一つ一つに一喜一憂するというのはあまり良くありません。大局的に全体を俯瞰することが大事たということが改めてよくわかる出来事だったと思います。そして労働市場についてですが相変わらずタイトであることには違いありません。しかし、経済状況は日々厳しくなってきていますし、金融不安もいつ収束するかわからない状況です。そういう意味では今後急激に労働市場が悪化する可能性も十分にあるでしょう。そういう意味では全く先行きが見えづらい状況なのかなと思います。

まとめ

今日は新規失業保険申請件数について見てきました。やはり労働市場の逼迫感は継続中ということのようです。しかし、これがこのまま続くとはとても思えません。いつかの段階でこの流れも変化することになるでしょう。そしてそれが急激な悪化を伴い、リセッションに突入する可能性というのはますます高くなっているように思います。ただでさえ難しい舵取りを要求されていた中に、金融システムの不安までもあわさってカオスな状態となっています。そういう意味では先行きの不透明感はマスばかりです。