日銀が異次元緩和政策の終了を決定。それでも為替市場は大きく変わることはないだろう

日銀が大規模な金融政策の解除を決定し、ようやく日本も金融政策のいわゆる正常化へと舵を切った形です。そのため、為替市場では円高へと動くと思われていましたが、結果としては円は150円を超えて円安が進行し、想定していたほどには円高にはなっていないようです。やはりマーケットというのは一筋縄では行かないなという感じが改めてしているところです。

異次元緩和が終了

昨日の日銀の決定により、日本でもようやく維持源の金融緩和政策というものが終了することとなりました。

19日のニューヨーク外国為替市場で、円はドルに対して一時、前日比1.2%安の1ドル=150円96銭まで下落した。日本銀行は同日の金融政策決定会合でマイナス金利政策を含む大規模緩和策の解除を決定したが、円に対する売り圧力が続いている。

  円が対ドルで前回151円台に下落したのは、昨年11月16日。11月13日には2023年の最安値である151円91銭を付けた。

  日銀の植田和男総裁は、物価の動向次第では追加利上げの可能性もあり得ることを示唆した上で、経済を支えるために緩和的な環境を維持することが重要との見解を示した。

  円安傾向の継続は、少なくとも外国為替市場では、日本の金利と他の国・地域の金利の相対的な比較が重視されていることを示唆する。

  ノムラ・インターナショナルの通貨ストラテジスト、宮入祐輔氏(ロンドン在勤)は「将来の利上げについて、植田総裁から明確なシグナルは得られなかった」と指摘。その点では「ハト派的な利上げ」とみることもできると語った。

  宮入氏は、トレーダーの関心が20日の米連邦公開市場委員会(FOMC)政策発表に移る中、円は短期的に一段と下げる可能性があるとみている。

  インベスコ・アセット・マネジメント(シンガポール)のストラテジスト、デービッド・チャオ氏は顧客向けリポートで「日銀のハト派的な声明は国債購入の継続と相まって、米金融当局がいつ利下げを開始するかが明らかになるまで円が対ドルで弱いままであることを意味する可能性がある」と記した。

引用:bloombergより

このように植田日銀総裁はこれまで行われてきた大規模な金融政策を終了し、金融政策の転換を図ることを発表しました。これにより日本も長らく続いてきた異次元緩和という段階は終了することとなりました。しかし、直ちに利上げや引き締めが行われるということはなく、緩和政策はこれからも続けるということのようです。つまり、これまでのような究極的な緩和政策は終了するが、現実的な緩和政策は続けるということであり、いきなり金利を引き上げたり引き締めを行うということではないようです。そういう意味もあって、市場ではそこまで大きな円買いの動きはありませんでした。むしろハト派よりということで、さらなる円売りの要因とすらなった形です。そういう意味ではまだまだ円が強くなることはなさそうな感じです。

そんなに急には変わらない

今回の決定についても市場としては織り込み済みであったということもあるでしょう。すでに日銀が金融政策を変更するであろうことは予測されていましたし、その範疇であったということと、まだまだ緩和政策は継続するということでそこまで円買いの動きにはならなかったようです。そういう意味ではまだまだドル円は円安の流れが継続するということになるのかもしれません。米国では未だインフレが強く、金融政策が緩められる気配はありません。日本もようやく究極的な緩和政策は終わったとはいえ、まだまだ引き締めに移行できるということでもないでしょう。実際、春闘では予想外に強い賃上げが実施されており、そのことが今回の政策変更の要因の一つでもあるとは思いますが、今後もその動きが続くとは限りません。正直日本ではその勢いにすでに陰りが見え始めており、本当に今後日銀が金利を引き上げられるのかはかなりの疑問があると言っていいでしょう。そういう意味では為替市場もそこまで劇的な変化はないのかなという感じがします。

まとめ

今日は日銀の金融政策決定を受けた動きと今後について考えてきました。やや早かったなという感じはしますが、想定内の動きであり、そこまで大きなサプライズはなかったと言っていいのだろうと思います。今後については日米ともそう簡単に金融政策を変更できる状況ではなく、しばらくはこの状態が続くのではないかという感じがします。