労働市場もようやく変化の兆しが見えてきたか?

経済の先行きの不透明感を増す中、強い労働市場が消費者の心理を支えてきましたが、その流れにもようやく変化が訪れるかもしれません。先週申請された新規失業保険申請件数は増加に転じ、ようやく労働市場がなんかし始めた可能性が出てきました。もちろんこの結果のみでどうこう言えるものではありませんが、堅調だった労働市場もついに息切れした可能性を視野に入れておく必要があるということです。

労働市場がようやく軟化?

米国経済を支える強い労働市場が久しぶりに弱い側面を見せる結果が出てきました。

先週の米新規失業保険申請件数は3週間ぶりに増加に転じた。依然として堅調な労働市場での若干の軟化が示唆された。

  失業保険申請件数は増加したものの、米金融当局の約1年に及ぶ利上げサイクル後でも労働市場がなお力強いことを今回の統計は示した。失業率は依然として歴史的低水準にあり、雇用創出も引き続き堅調に推移している。

  ただエコノミストらは、ハイテク、金融、メディア業界などでの人員削減の動きがいずれ失業保険申請件数に反映されると予想。最近の銀行危機が失業保険申請件数にどう影響するかはまだ定かではないが、米経済には今後数週間から数カ月で何らかの緊張が示されるとみられる。

  変動の少ない失業保険申請の4週移動平均は19万8250件と、2カ月ぶりの高水準。

  季節調整前ベースでは約1万1000件増加して22万3913件。州別ではミシガン、マサチューセッツ、カリフォルニアでの増加が目立った。

引用:bloombergより

このように先週は労働市場において若干のなんかを示すサインが出てきたようです。しかし、これだけで何かが決定したということではありません。依然として労働市場がタイトであるということには代わりありませんし、来週にはまた引き締まった労働市場に戻る可能性も十分にあります。そういう意味ではあまりこの結果を真に受けないほうがいいでしょう。ただ、その時というのは必ず訪れます。当然ですが、永遠に労働市場がタイトであり続けるということはありえません。特にIT企業を中心に人員整理の動きが活発に続いています。そういう意味では今回、仮に労働市場に悪化が一時的なものであったとしても、いつかは流れが変わってくるのです。そのことは常に頭に入れておいたほうがいいでしょう。

まだまだ油断はできない

ようやく労働市場にも景気後退の気配が出てきたのかなという印象ですが、まだなんとも言えないというのが正直なところでしょう。これだけでどうこう言えるというものでもありません。しかし、これだけインフレが進み、企業業績も悪化してくればいつかはこのようなことが起こるのは当然です。今回はたまたま労働市場の力強さが長続きしているだけであり、永遠になんかしないなんてことはないということは覚えておく必要があります。そういう意味ではようやくその時が来たのかなと感じています。なので今後発表される雇用統計などの経済指標にて今回の結果を後押しするようなものが出てくれば、労働市場の悪化が始まり、インフレもようやく収束に向かっていくのだろうと思います。そしてそれをFRBがうまくコントロールし、ソフトランディングできるのかということに注目が集まってくることでしょう。

まとめ

今日は先週の新規失業保険申請件数について見てきました。ようやく労働市場にも軟化の兆しが出てきました。インフレが依然として高く、金融不安もくすぶる中、FRBにとってはある意味朗報になるのかなという印象です。もし労働市場の逼迫が和らいできたのであればインフレも徐々に落ち着いてくるでしょうし、金融政策もより柔軟にできるようになると思われます。そういう意味ではなんとかその様な良い流れが続いてくれればいいなと感じます。