今後の金融政策についてはまだ未知数であり、決めつけるべきではない

今後の金融政策についてはインフレが落ち着きを見せ始めたこともあり、幾分緩和方向への期待が市場では高まっているように思います。しかし、実際にはそれほどすぐに引き締め政策が変わる可能性は高くないのではないかと思います。実際、そのような発言をFRB内部からも聞こえており、あまり楽観的な憶測で行動するのは危険であると思っておいたほうがいいでしょう。

今後の金融政策については未知数

昨日は今後の金融政策について、FRB内部でも賛否が別れていることを示唆するようなものがありました。

米連邦準備理事会(FRB)当局者が7日、追加利上げに関する賛否を説明したことで、9月19─20日に開かれる次回会合での政策決定の核となる討議の輪郭がおぼろげながらも明らかになった。

ニューヨーク連銀のウィリアムズ総裁は、金利の低下が来年始まる可能性があると指摘。FRBのボウマン理事は、インフレ率をFRBが目標とする2%に引き下げるためには追加利上げが必要になる公算が大きいと述べた。

ウィリアムズ総裁は米紙ニューヨーク・タイムズ(NYT)のインタビューで「基調的なインフレ率が低下する環境に移行しつつあると考えている」とし、「ターミナルレート(政策金利の最終到達点)と想定される地点にかなり近づいていると考えている」と述べた。

その上で、ニューヨーク連銀が開発したインフレ指標によると、物価上昇ペースは年末までに年率2.5%程度まで鈍化し、FRBが目標とする2%に手が届く範囲に収まる可能性があると指摘。インフレ率が低下し続ければ、インフレ調整後の「実質」金利が上昇しないように来年の利下げが適切になる可能性があると述べた。インタビューは2日に行われ、内容は7日に公表された。

ボウマン理事は7日にアトランタで開催された「フェド・リッスンズ」で、インフレが高水準にとどまる中でも経済成長が続いていることを踏まえると、追加利上げが実施される可能性が高いとの考えを表明。

7月の会合で利上げを支持した理由として、インフレ率が高すぎる水準にあり、雇用の伸びなどから経済が「緩やかな」ペースで拡大し続けていると示されていたことを挙げ、「インフレ率を目標まで引き下げるために、追加利上げが必要になる公算が大きい」と述べた。

その上で、インフレ率は依然として目標の2%を大幅に上回っており、労働市場が引き締まった状態は続いていると指摘。「さらなる利上げが必要か、また、どの程度の期間にわたり十分に制約的な水準に金利を維持すべきかについて検討する際、インフレ率が一貫して有意な下降基調にあるかどうかを見極めたい」と語った。

FRBは7月25─26日の会合で0.25%ポイントの利上げを決定。最新の金利・経済見通しでは年内にあと1回の利上げが行われるとの見通しが示されている。ただ、このところの経済指標でインフレは予想より速いペースで鈍化。アナリストの間では、FRBに有利に働く「ディスインフレ」が進む可能性があるとの見方も出ている。

引用:ロイターより

このように今後の金融政策については緩和方向へ進むのか引き続き引き締めで行くのかというのは今のところなんとも言えないというのが正直なところでしょう。FRB内部でもタカ派とハト派が活発な議論を交わしているようで、まだ結論は出ていないものと見られます。しかし、市場ではすでに緩和方向への期待がかなり織り込まれているように感じられます。物価も落ち着きを見せ始め、雇用統計などは以前ほどの強さは見られていません。そういう意味では仕方のない部分もあるのかもしれませんが、あまり軽率な行動は取らないほうがいいでしょう。特に雇用に関しては緩んできたとはいえ、賃金については未だ強さを維持しています。そういう意味ではあまり緩和方向へとFRBが舵を切るというのはちょっと考えづらいのかなと感じます。

勝手な思い込みはすつべきではない

市場では正直、緩和への期待感が強すぎるような気がします。これまでもずっとそうでしたが、市場は勝手に自分たちの思い込みで期待感を作り、勝手に失望して市場を混乱に陥れるということを繰り返してきました。今回もそのような結論になる可能性が高いと言わざるを得ないでしょう。実際、FRBが金融政策を大きく変更するかどうかは全くわかりません。今回の記事を見てもわかるように、まだ全く方向性が定まっていないことは明らかです。なのに市場だけが勝手に思い込みで突き進みすぎているような気がします。9月のFOMCまではまだ時間はありますす、それまでに結論はどうとでも変わることになるでしょう。そういう意味ではあまり早急に結論を出すべきではないですし、楽観的な思い込みで行動するのは非常に危険であると認識すべきです。

まとめ

今日は今後の金融政策について考えてきました。次回のFOMCでどのような結論が出されるかは全く持って未知数であると言っていいでしょう。しかし、市場はやや先走りし過ぎな感じがします。そういう意味ではこの先、やや失望から大きく株価が下げる可能性も十分にありえるのだろうと思います。勝手に思い込んで勝手に失望するというもの非常に迷惑な話だと思いますが、仕方のないことです。懸命な投資家であればこのような憶測で振り回されることのないようにしたいものです。