インフレは確実に鈍化しています。昨日発表された7月の消費者物価は引き続き鈍化傾向にあることが確認され、インフレは確実に落ち着きを見せてきていることが確認できました。とはいえ、未だ高水準であることには間違いなく、油断はできませんが、それでも良い兆候であることは間違いないでしょう。
消費者物価は確実に落ち着いてきている
昨日発表された7月の消費者物価指数は前月に引き続き低い伸びとなり、インフレが確実に落ち着いてきていることを確認する内容でした。
7月の米消費者物価指数(CPI)は、食品とエネルギーを除くコア指数が前月比0.2%上昇と、6月に続き低い伸びにとどまった。米金融当局がリセッション(景気後退)を引き起こさずにインフレを沈静化させられるとの期待を一段と強める内容となった。
エコノミストらは、基調的なインフレを見る上では総合指数よりもコア指数の方が適していると考えている。
コア指数は前年同月比4.7%上昇と引き続き高い伸びが続いているが、昨年9月に6.6%でピークを付けて以降、ほぼ毎月鈍化してきている。
今回のCPIを受け、米連邦公開市場委員会(FOMC)が9月会合で政策金利を据え置く可能性が高まりそうだ。ただ同会合までにまだいくつか重要指標の発表が予定されており、当局者らはそれらも含めて検討することになる。
総合CPIでは上昇全体の90%余りを住居関連のコストが占めた。中古車価格は2カ月連続で低下し、航空運賃も前月に続いて大きく値下がりした。
ただ生活必需品のコストは上昇。食品は今年初め以来の大幅な値上がりとなり、公共料金やガソリン価格も上昇している。自動車保険は前年同月比で1976年以来の高い伸びとなった。
ブルームバーグの算出によれば、住宅とエネルギーを除いたサービス価格は前月比0.2%上昇と、6月から伸びが加速。前年同月比では4.1%上昇(6月は4%上昇)となった。パウエル米連邦準備制度理事会(FRB)議長をはじめとする金融当局者は、インフレの軌道を精査する上でこの指数に注目しているが、金融当局は別の指標からインフレ軌道を算出している。2%のインフレ目標達成に関して当局が注視する個人消費支出(PCE)価格指数が月内に発表される。
サービス分野の最大項目で総合CPIの約3分の1を占める住居費は、前月に続き0.4%上昇。コアインフレが持続的に低下傾向をたどるには、住居費の伸び鈍化が極めて重要となる。
ブルームバーグ・エコノミクスのエコノミスト、アナ・ウォン、スチュアート・ポール両氏は「7月のCPIは、コアインフレの伸びが金融当局の2%目標と整合するペースであることを2カ月連続で示した。われわれは、FOMCが年内金利を据え置くと見込んでいる」と分析した。
CPIと別に発表された統計によれば、インフレ調整後の実質平均時給は7月に前月比0.3%増、前年同月比では1.1%増となった。
引用:bloombergより
このように米国のインフレは確実に落ち着いてきています。このことはFRBにとって非常に朗報であると言っていいでしょう。もちろんまだ油断はできませんが、金融政策に対する選択肢は確実に増えてきており、今後予想される景気後退に対しても十分対応できる可能性は出てきたのだろうと思います。そういう意味でも米国経済は思っているほど悪いことはないのだろうという感じはします。
いつもどおりのマーケットは楽観論
今回の結果を受けて、市場ではすでに9月の利上げは見送りという予想を折り込みだしています。多くの専門家もそのような発言をしており、株や債券も敏感に反応しています。そういう意味ではおそらくはそのとおりになるのかなとは思いますが、まだ決定までは時間があります。あまり先走らないほうがいいのは間違いないでしょう。実際、FRB関係者からは今回の結果を称賛しつつも、まだ警戒感を解いてはおらず、引き続き事態を注視していく旨の発言をする人もいます。そういう意味ではまだ9月に利上げが行われる可能性も思っているほど低くはないように思います。いつものことですが市場は最近は特に楽観的に者を見過ぎな傾向があるようです。そういう意味では市場の利上げ見送りという観測はあまり鵜呑みにしないほうがいいでしょう。
まとめ
今日は7月の消費者物価について見てきました。物価の落ち着きは非常に良いニュースであり、インフレとの戦いも着実に収束に向かっていることを確認できるものでした。しかし、それがいつになるかはまだわからず、そうかんたんではないことも確かです。また、市場に蔓延する楽観論も幾分行き過ぎのような気もします。そういう意味ではあまり希望的観測で行動するのは良くないのかなと感じます。