金融政策に対する意見対立が生まれてきている可能性

金融政策の行方については誰もが気になるところだと思いますが、今後はこれまでのようにかんたんに予想することは難しくなるのかもしれません。昨日発表された公定歩合議事要旨によると、7月の段階では金利の据え置きを支持していた連銀がいくつか存在していたことがわかりました。これまではある程度金融政策に対しては全く同じとは行かなくとも、それなりに一致したところはあったように思いますが、そろそろ意見が分かれるような状況になってきたのかもしれません。

金利の据え置きを支持

昨日公表された公定歩合議事要旨によると、7月の段階で公定歩合の据え置きを支持していたところがあったようです。

計12の米地区連銀のうち2つの連銀の理事会が7月に公定歩合の据え置きを支持していたことが、連邦準備制度理事会(FRB)が22日に発表した公定歩合議事要旨で示された。他の連銀の理事会は0.25ポイントの引き上げを支持していた。

  それによれば、ニューヨーク連銀とアトランタ連銀の理事会が据え置きを支持した。一方、連邦公開市場委員会(FOMC)は7月25、26両日に開いた会合で、フェデラルファンドFF)金利の誘導目標レンジを5.25-5.5%と、22年ぶりの高水準に引き上げることを全員一致で決めた。

  各地区連銀理事会の要請は連銀総裁がそうした立場を支持していたことを必ずしも意味しないが、連銀総裁の見解が連銀理事会のものと合致することはしばしばある。

  今回明らかになった公定歩合に関する要請は、今月16日に発表された7月のFOMC会合議事要旨で詳述された当局内の見解の相違をあらためて裏付けることとなった。

  FOMC議事要旨では、インフレが鈍化しない可能性があり、追加利上げが必要になるかもしれないと当局者が総じて懸念を抱いていたことが示された一方、FOMC内が完全には一枚岩ではなくなりつつあることも浮き彫りとなった。

引用:bloombergより

このようにニューヨークとアトランタ連銀は7月の段階ですでに、金利の据え置きを支持していたことがわかりました。前回のFOMCでは25bpでの利上げが行われたことは事実ですが、それは多くの関係者の一致した意見ではなかったようです。FOMCの時点でも金利を据え置くべきという意見は少し出ていたので特別驚くようなことではないと思いますが、このように金融政策に対して徐々に意見の対立が起こるようになってきたことは事実でしょう。それだけ状況が変わってきたということであり、それ事態は良いことだと思います。問題はここからうまくコントロールし、インフレを抑制しながら経済成長を実現できるのかというところです。異なる意見をうまくまとめることができなければ、順調に来ているインフレ抑制が突如として失敗に終わるということにもなりかねません。そういう意味ではパウエル議長の手腕が問われるところです。

インフレの落ち着きが意見の対立を生む

インフレが落ち着いてきたということで、少しずつ意見の対立が生まれてきているようです。インフレが落ち着いてきたということは事実ですが、目標とする2%の物価水準にはまだまだ遠く離れています。そういう意味では引き締めの手を緩めることはできないところですが、経済状況も悪くはありませんが絶好調ということもありません。そういう意味では非常にバランスを取るのが難しくなってきていると言えるのは間違いないでしょう。状況が良くなってきたことが逆に意見の対立を生み出したと言っていいのかもしれません。

まとめ

今日は金融政策に対する意見対立について見てきました。状況が好転してきているということは非常に喜ばしいことですが、それ故に意見がまとまりづらくなってきているようにも思います。今のところそれほど大きな問題にはなっていませんが、今後状況が難しくなってくるに連れその意見の違いというものが大きな障害になってくることもありそうです。そういう意味ではパウエル議長にはしっかりとFRBをまとめてもらいたいと願うばかりです。