円安ドル高が進行中だが、そう遠くない時期に反転する可能性は覚えておいたほうがいい

為替市場では円安ドル高が進み、再び為替に注目が集まる展開となってきています。日本では円が安くなっていることに注目されがちですが、世界的に見れば円が安くなっているというよりもドルが強すぎると言った印象です。失速すると見られていた米国経済が意外と力強く、想定よりも金融政策が緩まないと言った観測により、ドルがなかなか弱くならないというのが一因だろうと思われます。

ドル高が進行

最近は為替市場でドルの力強さが再び目立つようになってきました。

8日の米金融市場では、ドルが上昇。ブルームバーグ・ドル・スポット指数は週間ベースで8週連続高となり、2005年以来最長の連騰を記録した。米政策金利が高水準で維持されるとの見方が背景にある。

  米家計の純資産が4-6月(第2四半期)に増加し、過去最高水準となったことが示され、米国債利回りが上昇したこともドルへの追い風になった。対円では1ドル=147円台後半に戻した。投機的な買いにも支えられた。

  こうした買いの動きから、ドルの相対力指数(RSI、期間14日)は70を上回った。これは多くのトレーダーが買われ過ぎとみる指標の一つとされる。

  ミラー・タバクのチーフ市場ストラテジスト、マット・メイリー氏は「ドルはかなり買われ過ぎ、選好され過ぎている」と指摘。「従って、下落の機は熟しつつある。ドルに対するセンチメントは極端な水準に達しており、少なくとも目先はドルをさらに押し上げる買い手が増える余地はない。短期のトレーダーはドルのロングポジションに慎重であるべきだ」と述べた。

  ブラックロックのシニア投資ストラテジスト、ローラ・クーパー氏は「最近見られたドルの上昇は、われわれの予想を超えていた」とブルームバーグテレビジョンで指摘。「その持続可能性には疑問がある。連邦公開市場委員会(FOMC)が『タカ派的な据え置き』を示唆すると見込まれることが主な要因だ」と話した。

  FHNファイナンシャルのウィル・コンペノーリ氏は、市場は来年4-6月(第2四半期)の米利下げ開始を見込んでいるが、足元の米金融当局者発言で示唆されているようにターミナルレートでの据え置きが長期化すれば、この先1年のドル高を支えるだろうと指摘。「反面、それは輸入物価の低下につながり、ディスインフレ圧力に寄与する」と付け加えた。

引用:bloombergより

このようにドルは為替市場において非常に強い通貨となっています。以前もこのような状態になっていましたが、インフレの落ち着きとともにその流れは解消に向かっていました。しかし、予想よりも米国経済は強く、インフレも高止まりしているため、金融政策が想定よりも厳しい状態が維持されるとの観測が強くなってきています。そのためドルは為替市場にて多くの通貨に対して強くなってきており、その傾向は全く変わる気配がありません。

いつか必ず反転する

ドルのここまでの強さというのはおそらくあまり想定されていなかったのではないかと思います。少なくとも数ヶ月前には年後半になればインフレも落ち着き、経済も失速するだろうから金融政策も緩和へと進むと見られていました。そのためドルは安くなることが予想され、その動きを先取りしたドル安が進行していました。しかし、それほどインフレも落ち着かないし、経済も失速しないという状況になっています。そうなれば当然ながら金融政策を緩める理由はどこにもありません。なので再び為替がドル高へと動くということでしょう。一つの予想外の事態が起こるとそれが連鎖的にあらゆる分野へと波及するという事態が起こっているようです。そして今後については正直良くわからないと言ったところでしょう。FRBは今の所、年内にあと一回の利上げを想定しているように思えます。しかし、それも全て今後のデータ次第です。そういう意味ではまだ決定的なことは言えませんが、記事にもある通り、金融政策の変更リスクは日に日に高まっていると見ておいたほうがいいでしょう。当然ながらこの状態が永遠に続くということはありません。5日の段階で経済は失速し、インフレも落ち着きを見せるでしょう。そうなれば金融政策も変更され、為替も大きくドル安に動くはずです。その認識は常に持っておくべきだと思います。

まとめ

今日は為替市場の動きについて見てきました。予想外に強い米国経済によって、予想外にドル高が進んでいるというのが現状です。しかし、この状態は遅かれ早かれ解消されるはずです。特に今後はFRBは緩和方向へと舵を切る見込みですし、日銀も緩和政策を少なくとも強化することはないでしょう。そういう意味では大きく円高ドル安に動く可能姿勢というのは小さくないと思っておいたほうがいいでしょう。