インフレ期待は低下するも先行きは依然として不透明

消費者は今後のインフレについてはやや期待感を持った姿勢でいるようです。昨日発表された9月の消費者調査によって今後のインフレ期待はやや鈍化していることがわかりました。米国の消費者は今後インフレは落ち着くと見ているようで、FRBにとってもこれは良いニュースであると言っていいでしょう。しかし、実体経済は依然として厳しく、先行きに全く不安材料がなくなったというわけではありません。

インフレ期待は低下

昨日発表された9月の消費者調査により、今後のインフレ期待はやや低下していることがわかりました。

米ミシガン大学が発表した9月の消費者調査(速報値)で、1年先のインフレ期待が2021年3月以来の水準に低下した。

  インフレ期待の低下は米金融当局者を安堵(あんど)させるとともに、来週の連邦公開市場委員会(FOMC)会合では金利が据え置かれるとの見方を強めるとみられる。

  ただ、消費者マインド指数は67.7と、前月の69.5から低下。ブルームバーグがまとめたエコノミスト予想中央値の69.0も下回った。消費者は生活水準の低下だけでなく、食料品やガソリンの価格に対する言及も増やしている。

  インフレ期待は低下しているものの、物価圧力緩和への道のりは険しく、多くの消費者が家計のやりくりに苦労している。賃金上昇率はようやくインフレ率を上回り始めたが、所得の増加ペースは減速しつつあり、消費者の購買力も弱まりつつある。

  消費者が特に敏感なガソリン価格は7月に上がり始め、その後も高止まり傾向にある。今週に入って発表された8月の米消費者物価指数(CPI)統計でも、総合指数の上昇分のうち半分以上をガソリンが占めた。

 消費者センチメントが前月から低下した背景には、インフレや経済に関するネガティブなニュースを耳にする機会が増えたことがある。ただ調査では、物価の伸びが減速傾向にあるとの確信を消費者が強めていることも示された。

  ミシガン大の消費者調査ディレクター、ジョアン・シュー氏は「調査全体を通じ、消費者はインフレ鈍化が止まっていることに注目している」と発表文で指摘。その上で「全般的なインフレの減速は再開すると見込んでいる」と分析した。

  現況指数は3カ月ぶりの水準に低下。期待指数は上昇した。

引用:bloombergより

このように米国の消費者のインフレ期待は低下傾向にあります。物価の伸びが一時期のような力強さがなくなり、心理的にもかなり好転しているものと見られます。実質賃金もインフレ率を上回る状態が続いており、状況は悪くはないのでしょう。しかし、そのペースは鈍化しており、日々伝えられる悪いニュースなどにより消費者の心理は必ずしも明るくはないようです。そのあたりが消費行動に同影響されるのかが気になるところではあります。

まだまだ不安は拭えない

インフレの落ち着きを歓迎しつつも不安感は拭えないと言ったところでしょうか。物価の落ち着きは着実に進んでおり、日々の生活でも実感しているのであろうことが確認できます。しかし、賃金上昇のペースが落ちてきたり、生活必需品であるガソリン価格が高騰しているなど消費者マインドを好転されるものばかりではないことがよくわかります。そういう意味ではやはりまだまだ先行きは不安定と言っていいのではないかと思います。賃金上昇が鈍化しているとはいえ、雇用は十分安定しており、そこまで急減速ということにはならないと思いますが、順調な成長軌道に乗るにはまだまだ時間がかかりそうです。

まとめ

今日は9月の消費者調査について見てきました。消費者はインフレの落ち着きを確実に感じており、そういう意味では非常に良い状況であると言っていいでしょう。しかし、先行きはまだまだ不透明であり、予断は許さないと言ったところです。