9月のPMIは小幅に減少。企業活動は相変わらずの低調。

米国の企業活動は日に日にその活動が鈍化してきているようです。昨日発表された9月のPMIでは米国の企業活動が更に低下し、未だ景気回復には程遠い現状を明らかにしました。インフレや高金利などであっても予想外に強さを見せる米国経済ですが、その現状というのは非常に脆いものなのかもしれません。

9月のPMIは更に減少

昨日発表されたS&Pグローバルによる9月の総合購買担当者指数(PMI)速報値は小幅に減少し、未だ米国の企業活動は低調であることが確認されています。

S&Pグローバルが22日発表した米国の製造業・サービス業を合わせた9月の総合購買担当者指数(PMI)速報値は前月から小幅低下し、企業活動が足踏みしていることを示した。サービス部門で需要が一段と鈍化した。

  製造業PMIは縮小ペースが緩やかになったが、サービス業PMIは縮小圏にさらに近づいた。新規受注と事業活動の見通しがいずれも今年最悪の水準に落ち込んだ。

  S&Pグローバル・マーケット・インテリジェンスのプリンシパル・エコノミスト、シャーン・ジョーンズ氏は発表文で、「9月のPMIデータにより、利上げやインフレ高止まりの影響を受ける米経済の需要動向を巡る懸念が強まった」と指摘した。

  一方で、雇用の伸びは加速した。人員を採用しやすくなっており、一部では従業員が定着するようなったと企業は報告している。

  「人材難の緩和に伴う雇用の押し上げは持続できない可能性がある。余剰能力が急増しつつある兆候や、労働量をこれまで支えてきた受注残が減少しつつあることが理由だ」とジョーンズ氏は話した。

  仕入れ価格は上昇ペースが加速した。賃金増加に加え、借り入れコストや燃料価格の上昇を反映した。一方で需要の弱含みや購買力の低下を背景に、消費者への価格転嫁は難しい可能性も今回の統計は示唆した。

  需要鈍化を反映し、受注残は2020年5月以来の速いペースで縮小。製造業の在庫は過去2年弱で2番目に速いペースで圧縮が進んだ。

引用:bloombergより

このように米国経済はまだまだ強さを見せるような状態にはなっていません。特にサービス業では厳しい状態のようで、さらなる縮小傾向が明らかとなっています。インフレによる仕入れ価格の高騰や、労働コストなど、企業を取り巻く環境は厳しさを増しており、なかなか事業拡大というわけには行かないのだろうと想像できます。現状を維持するのに精一杯というところなのでしょう。そういう意味では米国経済が力強く回復するのはまだまだ先になりそうです。

もう長くは持たないのだろう

雇用環境などを見ると米国経済は想像以上に強さを見せているなと感じますが、実際の企業活動の方はかなり厳しくなってきていると思います。よくこれだけ悪化しているのに労働市場が維持できているなと感心するところです。しかし、この傾向が続けば当然ながら企業側も雇用を維持するということは難しくなってくるでしょう。そうなれば労働市場にも変化が出てきて、経済は一気に悪化するという可能性も捨てきれないのかなという感じがします。この予想は以前より囁かれてはいましたが、今のところはなんとか保っているというところです。しかし、これだけ日々経済が悪化してくるということになれば労働環境も悪化する可能性というのも捨てきれないというところです。当初予想されていたような失業率の悪化などが起こり、経済が急減速するリスクというのもまだまだ小さくはないのだろうと感じます。

まとめ

今日は9月のPMIについて見てきました。米国経済はまだまだ不調の中から抜け出せていません。その中でもなんとか好調な労働市場等の要因で持ちこたえているというのが現状でしょう。しかし、それがいつまで持つのかわかりません。予想外に強い労働市場によってなんとか持ちこたえてはいますが、それが尽きるのも時間の問題です。なんとか労働市場が持ちこたえている間にインフレを抑制し、景気が回復することを望みますが、インフレとの戦いはさらなる長期化の予想が出ているなどなかなか厳しいのが現実なのだろうと感じます。