インフレの落ち着きが意識されるようになり、利上げが終了したとの観測は市場を席巻していますが、FRB関係者からは慎重な発言が相次いでいます。市場の楽観論とは裏腹に厳しい見方をしている人は特に金融当局には多い印象があります。
FRBは慎重姿勢を崩していない
リッチモンド連銀総裁のバーキン氏はインタビューにて以下のような発言をしています。
米リッチモンド連銀のバーキン総裁は20日、物価の伸びが減速しつつも景気は拡大していることが米経済指標では示唆されるが、こうした進展は金融当局がインフレに関して勝利宣言するには十分ではないとの考えを示した。
バーキン氏はFOXビジネスとのインタビューで、「米経済は依然として成長している。失業率はまだ3.9%で、インフレは落ち着きつつあるようだ。これらは全て良いことだ」と発言。「しかし、仕事は終わっていない。従って、仕事を成し遂げるまで続けなくてはならない。どこに着地するか見極めることになる」と述べた。
同総裁は今月、インフレをさらに引き下げるには一定の景気減速が必要になると指摘。先週には、インフレ鈍化でこの数カ月に「実質的な進展」が見られるとしながらも、2%の目標に向けた明確な軌道にあるとは確信していないと話していた。
同氏はこの日、インフレを当局目標に戻すことに自身は注力していると改めて表明。「インフレは頑強だと私はみている。それはより高くより長くの論拠になる」と語った。
バーキン氏は来年の連邦公開市場委員会(FOMC)で議決権を有する。
引用:bloombergより
このようにバーキン総裁は現在の状況を歓迎しつつも慎重な姿勢を崩していません。物価の伸びが鈍化し、インフレが落ち着いてきたことは認めていますが、これで全てが終わったとは見ていないということでしょう。落ち着いてきたとはいえインフレ率は依然として高水準です。これが目標とする2%へと向かうには相当の時間が必要でしょう。そういう意味ではまだまだインフレとの戦いは道半ばということです。その上で本当にインフレがこのまま落ち着きを見せるのか、はたまた再加速するのかの判断は慎重に行うということでしょう。
全てはデータ次第
金融当局としてはこのような発言になるのはまあ当然かなという感じです。仮にも売上は必要ないと思っていたとしても万が一インフレが再加速するようなことになれば当然ながら引き締めをする必要が出てきます。そうなるとまた矛盾した行動を取らざるを得なくなるのでそのようなことのないように慎重に言葉を選んでいるのでしょう。そういう意味では当たり前といえば当たり前です。無責任な市場とは異なる結論になるのはしょうがないのかなと感じます。実際、インフレはまだ依然として高く、これで利上げは終了とはなかなか言いづらいのは理解できます。これまでも同じようにしてインフレがここまで高くなったということを考えれば、今回はより慎重な行動を取るというのはある意味必然と言っていいのだろうと思います。いずれにせよ、今後のことはすべてデータ次第です。今後も引き続き落ち着いたデータが出てくるのであれば利上げは行われないでしょうし、強いものが相次いで出てくれば引き締めが行われるでしょう。
まとめ
今日はバーキン総裁の発言について見てきました。FRBは市場が考えているよりも慎重です。当然といえば当然ですが、あまり市場の楽観論は真に受けないほうがいいと思います。全てはデータ次第です。今のところは金利の引きアガはないように思いますが、それも決定されたことではないことを認識しておいたほうがいいでしょう。