来年の米S&P500指数は5000に到達する可能性があるようです。

マーケットでは依然として楽観的な空気が支配的です。利上げも終了し、今はいつ、そして何回の利下げが行われるかということに注目が集まっています。そしてそのような背景もあって、来年度の株価見通しも非常に強気なものも出てきています。

バンク・オブ・アメリカから発表された来年の株価予想

先日、バンク・オブ・アメリカから来年度の株価について非常に強気な予想が出てきていました。

米S&P500種株価指数は2024年に過去最高値を更新すると、バンク・オブ・アメリカ(BofA)のストラテジストらは予想した。米企業が金利上昇に適応し、マクロ経済の動揺を切り抜けているためだとしている。ウォール街では、こうした楽観的な予想が増えている。

  サビタ・スブラマニアン氏率いるBofAのチームは、21日付のリポートで、来年の米国株に対する強気姿勢について「米金融当局の利下げが予想されるからではなく、金融当局のこれまでの成果が理由だ」と説明。「市場は多大な地政学的ショックを既に吸収している」とし、「米国例外主義は健在だ」と付け加えた。

  S&P500種については、24年末までに終値ベースで過去最高値の5000に達すると予想。これは20日終値を10%上回る水準。来年は「ストックピッカーのパラダイス」になると、ストラテジストらは記した。

  ウォール街ではBofAと同様に明るい見方が広がっている。ゴールドマン・サックス・グループのデービッド・コスティン氏やソシエテ・ジェネラルのマニシュ・カブラ氏らは、来年S&P500種が最高値に迫ると予想。バークレイズのストラテジストらは、株式が債券をアウトパフォームすると見込んでいる。

  米経済は底堅さを維持しつつ、金融当局が近く利上げキャンペーンを終了するとの見方が強まる中、S&P500種は年初から18%上昇している。

  BofAのストラテジストは、楽観姿勢の理由として同行アナリスト調査を引き合いに出した。同調査では、経済が適温の「ゴルディロックス」環境になると示唆している。経済成長が減速しても、企業利益の伸びは加速し得ると、スブラマニアン氏は指摘した。

引用:bloombergより

このようにバンク・オブ・アメリカでは来年の株価はかなりの期待をしているようです。実際、ここまでとは行かなくとも楽観的な味方をしている市場関係者は多くいるような気がします。FRBの利上げ予想もすでに終了と見ているところが多く、景気後退懸念もあって金融政策は緩和方向への期待が高まっている感じがします。そういう意味でも今後もこのような予想というのは数多く出てくることでしょう。

何度も言いますが楽観論は禁物

現在の株式市場を見る限り、このような楽観的観測をしている市場関係者は非常に多いでしょう。FRBは今でも利上げ終了を言及することはなく、むしろ利上げの可能性について強調しているようには思いますが、市場はそのことは全く気にしていないという感じです。消費者物価が落ち着きだし、労働市場の悪化が顕著になってきたことを考えればそのような予想をすることは当然のような気もします。おそらくは景気も減速傾向になるでしょうし、緩和期待というのも徐々に高まってくるでしょう。しかし、現状でもインフレは目標とする2%にはまだまだ遠い状態です。しかも今回のインフレは非常に粘着性が高く、長期間に渡る引き締めでようやく減速傾向を示し始めた段階です。そういう意味でも今後、期待するほどインフレが減速しない可能性も十分にあり、その結果再び利上げが行われたり、想定以上の高金利が維持される可能性も十分に考えられるところです。そういう意味ではこのような楽観論を無視する必要はないとは思いますが、あまりそれに決めつけないようにしたほうがいいでしょう。

まとめ

今日はバンク・オブ・アメリカから発表された来年の株価予想について見てきました。今の市場をよく表しているような楽観的な観測であり、注意は必要かなという感じです。もちろんその可能性も十分にあるとは思いますが、今回のインフレはそんなに弱いものではなく、しつこく居座る可能性が高いことは頭に入れておくべきでしょう。なので慎重な行動が必要だと思います。