債券市場では利下げをすでに折り込み始めている

市場はいつも楽観的に物事を見ています。そのことについてはいつも指摘していましたが、それは今も変わっていません。金融政策についても利上げ終了がようやく意識されてきたところですが、すでに利下げの可能性を期待するようになってきています。市場は今日も楽観的に動いていると思っていいでしょう。

債券市場では利下げを折り込み始める

市場は最近は楽観的に経済状態を見ることが多くなっていますが、金融政策についても引き続き楽観的に見ていることがわかりました。

米債券市場では、米金融当局が来年5月までに利下げに転じるとの観測が高まっている。

  米連邦公開市場委員会(FOMC)会合に連動するスワップ契約では、一連の経済データ発表前の段階で、現行の政策金利5.25%-5.5%から25ベーシスポイント(bp、1bp=0.01%)の利下げを織り込む水準となった。その後、7-9月(第3四半期)の米実質国内総生産(GDP)改定値が上方修正されたことで変動したが、5.08%前後を維持した。これは28日時点の実効フェデラルファンド(FF)金利を25bp下回る水準だ。米国債は上昇を維持し、期間短めの債券利回りは約6bp低下した。

  ナットウエスト・マーケッツの米金利ストラテジスト、ヤン・ネブルジ氏は「市場のナラティブが完全にシフトした」と指摘。「米連邦準備制度理事会(FRB)がもう十分やったというアプローチを採れば、それに逆らってFRBと戦おうとしてもあまり得るものはない」と述べた。

引用:bloombergより

このように債券市場ではすでに来年5月にも利下げを期待する動きとなっているようです。インフレは確実に落ち着きを見せていることは確かであり、そのためタカ派の識者でも利上げ停止の可能性を匂わせるようになってきました。しかし、それでもしばらくは金利を高く維持する可能性が高いということが今の所のFRBの考えのような気はします。

マーケットの楽観論は外れ続けている

しかし、マーケットではその先をゆく利下げを期待し始めているのです。実際、経済は労働市場が軟化し始め、消費も強いと言ってもこのままそれが続くとは限りません。その中で来年経済が減速する可能性も十分に考えられるでしょう。そうなれば当然利下げという選択肢も出てくるとは思いますが、現状ではそこまで期待するのは行き過ぎなのかなという感じです。FRB要人の発言を見る限り、引き締めの可能性を排除しているとは思えません。まだまだ警戒感を緩めてはおらず、状況によっては厳しい金融政策を実行するのに躊躇はないでしょう。しかし、落ち着きを見せていることも認めており、注意深く推移を見守っているというのが正しいのかなという感じです。そういう意味でもまだまだ利下げという選択肢はなかなか厳しいのかなという感じがします。

まとめ

今日はマーケットの楽観論について見てきました。市場は相変わらずの楽観論です。しかし、利上げの終了の可能性が出てきたという段階であり、利下げというのはまだまだ先であるということは理解しておいたほうがいいと思います。これまでも市場の楽観論は何度も期待はずれで終わっています。そのことは頭に入れておいたほうがいいと思います。