モルガンスタンレー、ゴールドマン・サックスが市場の楽観論を指摘する

今後の株式市場についてはマーケットは非常に楽観的になっています。利上げはすでに終了し、利下げがいつになるのかということが大きな関心ごとになっていますが、それが本当に実現するかはわかりません。むしろその楽観論はやや危ないような気はします。そしてそのような危険性について指摘する声も出てきていました。

モルガンスタンレー、ゴールドマン・サックスともに株式市場の楽観論を指摘

昨日は現在の市場の楽観論について、やや危険視する声が上がっていました。

米経済が2024年にハードランディングを回避するとともに、米利上げは終了したとの期待から、今こそ株式に投資する時だと多くのアナリストは確信している。JPモルガン・チェースの世界株式チーフストラテジスト、ドゥブラフコ・ラコスブハス氏はその1人ではない。

  ラコスブハス氏はサンパウロでの先週のインタビューで、「市場は事実上ある種のソフトランディングを織り込みつつあり、多くが『ゴルディロックス』を予想している。これは過度に過熱も冷え込みもしない、両方の最も良い部分が発揮されるシナリオだ」と指摘。「それは非現実的だ」と語った。

  むしろ、同氏は2024年に株式が危険にさらされると想定。景気減速で企業利益が圧迫され、価格決定力の低下で利益率が脅かされると見込んでいる。これに高いバリュエーションや混み合ったポジショニング、低いボラティリティーを加味すると、株式にとっては「非常に脆弱(ぜいじゃく)」な環境が整うと続けた。

  金利上昇が投資家にとって最大の懸念となってきたが、利下げ観測は成長鈍化予想に基づいていると、ラコスブハス氏は分析。金利とインフレ率は需要減速を要因に低下してきたと論じ、「来年のかなり高い業績予想は全て、下方修正されるリスクがある」と付け加えた。

  同氏は来年に景気が不安定になるとみて、公益セクターなどディフェンシブ銘柄の買いを推奨。リセッションのヘッジに役立つ機会が台頭しているという。ソフトランディングが実現しても、同セクターはそれなりのリターンを生むはずだと述べた。

引用:bloombergより

このようにモルガンスタンレーでは現在の株式市場についてやや楽観的すぎると見ているようです。そのためリスクが高い銘柄への投資はやめて、公益セクターなどディフェンシブ銘柄への投資を推奨しています。

このような動きというのはモルガンスタンレーだけではありません。ゴールドマン・サックスでも現在の株式市場の動きを警告しています。

米金融政策当局が来年どの程度利下げするかについて、金融市場は楽観的になり過ぎており、この見方と反対に賭ければオプショントレーダーは利益を得られるチャンスがあると、ゴールドマン・サックスが指摘した。

  プラビーン・コラパティ氏らゴールドマンのストラテジストが1日まとめたリポートによれば、金利スワップ市場で向こう12カ月間に織り込まれている利下げ幅は現段階でおよそ1.25ポイント。来年6月までに約0.5ポイントの利下げが想定されている。この利下げ見通しは、米国経済が既にリセッション(景気後退)の瀬戸際にあることを示唆しているだけでなく、来年中に1回の0.25ポイント利下げを見込むゴールドマンの基本シナリオよりもかなり積極的だ。

  コラパティ氏は「近い将来におけるリセッションの現実的な可能性を考慮せずに市場が利下げを織り込める規模の限界に近づきつつある」と指摘した。

  ゴールドマンのストラテジストは、一部の利下げ期待と反対に賭けるべく、担保付翌日物調達金利(SOFR)2024年6月限(行使価格95.25)のコールオプションの売りを推奨。同オプションの行使期限は同年6月14日。米連邦公開市場委員会(FOMC)の6月会合の2日後だ。

  コラパティ氏らは「現在織り込まれている緩和の規模や早期の実施時期は、行き過ぎている可能性が高い」と分析した。

引用:bloombergより

このようにモルガンスタンレーだけではなく、ゴールドマン・サックスでも現在の株式市場は行き過ぎと見ているようです。いつもはモルガンスタンレーが悲観的なことを述べ、ゴールドマン・サックスが楽観的な味方をするということが多いような気はしますが、現在は両者ともやや悲観的となっています。そういう意味では非常に印象的な状況であるかなという感じがします。

まだまだ楽観的になるには早い

やはり今の市場の楽観論というのはやや行き過ぎということでしょう。そのあたりについては結構指摘する声も以前から出ていましたが、とうとうモルガンスタンレーとゴールドマン・サックスの両者からもその危険性を指摘する声が出てくるようになってしまいました。最近は株式市場も堅調な動きを見せることが多くなってきましたが、インフレはまだまだ収束までは時間がかかります。そして景気の先行きについても非常に悲観的な味方も多くなってきているのが現実です。そういう意味ではこのような指摘が出てくるのも当然かなという感じがします。

まとめ

今日は今後の株式市場についての悲観的な論調について見てきました。正直、現在のマーケットは楽観的すぎるような気はします。今後の展開はそこまで楽観的な展開にはならないのかなというのが個人的な感想であり、同様な感覚でモルガンスタンレーやゴールドマン・サックスもいたということは安心材料にはなったというところです。何れにせよ今後の展開はまだまだどうなるかわかりません。楽観的な展開になる可能性もあるとは思いますが、その可能性はそう高くはないだろうことを覚えておいたほうがいいでしょう。