10月の求人件数は大きく落ち込む

米国の労働市場の軟化が進んでいます。10月の求人件数は大幅に低下し、2021年3月以来の低水準となったようです。インフレの落ち着きとともに、経済にもやや暗い影を落としつつあることが確認された形です。

10月の求人件数は大きく悪化

昨日発表された10月の求人件数は非常に低調なものとなりました。

10月の米求人件数は2021年3月以来の低水準となり、労働市場が冷え込みつつあることを示唆した。

  採用はわずかに減少し、レイオフはほぼ変わらずだった。

  求人件数はブルームバーグが実施したエコノミスト調査の全予想を下回った。減少は広範なセクターにわたり、ヘルスケアや金融、宿泊・食品サービスで目立った。

  自発的離職者の割合である離職率は4カ月連続で2.3%と、2021年1月以来の低水準が続いた。離職率の低下は、労働者が別の仕事を見つける自信が薄れている現状や、転職の際の賃金上昇幅が小さくなっていることを示している。

  失業者1人に対する求人件数は1.3件と、2021年半ば以来の水準に低下した。この数字は労働市場の逼迫(ひっぱく)を依然示しているものの、過去1年間で大幅に低下している。ピークの2022年には2件に達していた。

  この調査は回答率が低いことから、信頼性を疑問視するエコノミストもいる。

引用:bloombergより

このように米国の労働市場は軟化が止まりません。インフレの落ち着きを示すとともに、労働市場の低調さが顕著になってきました。インフレ抑制という意味では労働市場のある程度の軟化というのは悪いことではありません。そういう意味ではこの程度で収まってくれれば問題はないでしょう。問題は今後どうなるかということです。今後、労働市場が一気に悪化してくれば大きく経済にも悪影響を与えることになるでしょう。逆にここでなんとか踏みとどまれば、インフレがどんどん落ち着きを見せ始め、経済がそれほど失速しないというソフトランディングが実現できるということになるでしょう。そういう意味では今後の経済指標はその先の米国経済を占う上で非常に重要なものとなるかもしれません。

ソフトランディングか景気失速か

今回の結果を受けて、労働市場の軟化はほぼ確実なものとなったのかなという感じです。もちろん今週は雇用統計の発表もありますし、正確な判断はそれを待ってしたいところですが、労働市場が以前ほどの力強さを見せるということはなかなか考えづらいのかなという感じがします。そういう意味では今後は労働市場の軟化がどの程度のものになるのかというのが商店になるような気がします。もし、労働市場が想定以上の悪化を示せばFRBの目指すソフトランディングがかなり厳しくなるでしょう。反対に、労働市場がある程度の強さを残し続ければ経済の大失速というのはあまり考えられず、経済を保ちつつインフレを抑制するという目標を達成できるでしょう。そういう意味では今後の労働市場の結果というのは非常に注目されることになり、金曜日の雇用統計は重要なものとなるでしょう。

まとめ

今日は米国の求人件数について見てきました。労働市場の軟化はほぼ確定的と言っていいでしょう。問題はこれがどの程度のものになるかということになってきたように思います。労働市場の出来次第でソフトランディングの可能性も景気失速の可能性も十分に考えられるため、今後も非常に注意を払うべきであろうと思います。