来年いっぱい金利は高止まりしそうな雰囲気。

悪化する経済と依然強い雇用との間で、FRBの金融政策がどのようになるのかというのは非常に気になるところです。FRBは12月のFOMC以降はやや引き締めの加減を緩めるのではないかという観測も出ていましたが、最近の強い労働市場の状況や物価の動向などを見ると、想定通りに緩和政策は行われないのではないかという観測も出てきています。仮にそうなれば市場の失望を買い、マーケットも大きく動くことになるでしょう。実際、多くのマーケット関係者は来年度も厳しい金融政策は維持されるとみているようです。そういうわけで今日は来年度の金融政策の行方について考えていきます。

金利は来年いっぱい高止まり

ブルームバーグの調査では多くのエコノミストが来年度いっぱい、FRBは金利をピークの水準に据え置き、強い引き締め政策を維持していくものと考えていることがわかりました。一時、インフレはピークを迎え、ようやくその出口が見えてきたかに思えた米国経済ですが、その道のりはやはり厳しそうです。

米連邦公開市場委員会(FOMC)は利上げを停止した後も、2023年末までは金利をピーク水準に据え置くだろうと、ブルームバーグの調査に答えたエコノミストらが予想した。同年後半の利下げを見込んでいる市場は失望させられることになる。

  FOMCは14日に政策決定と経済予測を発表する。政策金利についてエコノミストは0.5ポイントの利上げを予想。その後2回の会合ではそれぞれ0.25ポイント引き上げるとも予想している。

  FOMCメンバーの予測中央値は政策金利が23年に4.9%でピークを打つとしている。この水準はフェデラルファンド(FF)金利の誘導目標4.75-5%のレンジに相当する。9月の予測では4.6%のピークを示していた。

  ピークの金利水準は投資家も4.9%前後を想定しているが、23年下期に0.5ポイントの利下げを織り込んでいる。

  エコノミスト調査では24年6月までに政策金利が4%に引き下げられ、年末までに3.5%になるとの予想が示された。

  来週発表される最新のFOMC予測は、9月予測よりも弱い成長と若干高い失業率を示す可能性が高い。23年の成長率見通しを0.8%(9月予測は1.2%)に引き下げ、失業率は4.6%と予想する公算。11月の失業率は3.7%だった。

  この調査はエコノミスト44人を対象に2-7日にかけて行われた。12月のFOMC会合は13、14両日。

引用:Bloombergより

このように多くのエコノミストは来年の金利について高止まりを予想しています。現在の市場では最近の経済指標の結果により来年後半には金利は下がっていくものという予測をしていたように思います。しかし、強い労働市場やいまだに健在なインフレによってその観測というのはかなり修正されてきています。そのため、今週行われるFOMCにてどのような議論が行われ、発言がなされるかということに非常に注目が集まるところです。もし来年度の見通しについて、引き続き強い引き締めを継続するような発言がされればマーケットは大きく下げる可能性もあります。そしてその可能性というのはやや高くなったのかなという印象です。

ソフトランディングはますます難しくなる

やはりインフレを抑制するというのは楽な仕事ではないということです。これだけ歴史的に見ても強力なインフレを前にそんなに簡単には終わるわけはないといったところでしょう。特に依然として堅調な労働市場がどうにかならない限り、物価の落ち着きというのはなかなか起こらないのではないかという印象です。雇用が安定していればどうしたって物価の下落というのは起きづらくなります。そのため何とか労働市場を落ち着かせたいところですが、あまり厳しくしすぎると今度は急激に雇用が悪化してしまい、経済に大ダメージを与えることになります。多くの識者がそのことを心配しており、まさにその通りになりそうな状況です。FRBはまだソフトランディングは可能としていますが、時間がたつにつれてそれはかなりの難しい仕事となってきています。この金利水準で本当にインフレは抑制できるのか、インフレが高止まりしてしまわないか、引き締めすぎて経済を殺してしまわないか。心配事は尽きない年越しとなりそうです。

まとめ

今日は来年の金利動向について考えてきました。やはり想定通りには事は進みそうもありません。最悪インフレが長く米国経済に居座るという状況もあり得ますし、引き締めすぎて景気後退という可能性も十分にあるでしょう。時間がたつにつれてソフトランディングの可能性は本当に少なくなってきた感があります。何とかしてこの状況を乗り切ってほしいところですが、いろいろと不確実要素が多すぎて何とも言えないといったところです。いずれにせよ来年いっぱいはあまり期待はしない方がいいのかもしれません。