利下げの時期については結局の所データ次第

今後の金融政策については非常に不透明感が増してきていますが、それはおそらくはFRB関係者もそうなのだろうとは思います。金融政策をいわゆる正常な状態に戻したいという気持ちはあるとは思いますが、これ以上のインフレによるダメージは可能な限り避けたいというところでしょう。そういう意味では非常に慎重な道を選ぶのだろうとは思います。

まだまだ不透明

先週、サンフランシスコ連銀のデーリー総裁は以下のような発言をしています。

米サンフランシスコ連銀のデーリー総裁は、金融当局はインフレ鈍化においてこれまで目覚ましい成果を上げてきたとしつつ、物価安定という目標達成のためにはまだやるべき仕事があるとの見解を示した。

  総裁は16日、全米企業エコノミスト協会(NABE)で講演。事前に配布された原稿によれば、「この仕事をやり遂げる上では不屈の姿勢が必要だ」と言明。「辛抱強さを必要とする時期には、早急に行動したいという衝動を抑えるべきだ。また経済の展開に合わせて機敏に対応できるよう準備することも必要だ」と述べた。デーリー総裁は今年の連邦公開市場委員会(FOMC)で投票権を持つ。

  デーリー総裁は、当局が政策を設定する上で考慮すべき2つの相反するリスクを浮き彫りにした。インフレ鈍化における進展が減速する一方で、労働市場が突然急激に悪化することだ。

  「物価の安定は視野に入っている」としつつも、「まだやるべき仕事はある」と総裁は語った。

  デーリー総裁は、インフレ鈍化のさらなる進展を妨げ得る複数の要素について論じた。労働力人口と生産性はこれまでほど大きく増え続けない可能性がある一方、消費者需要は想定ほど減速しないかもしれないと、総裁は述べた。

  「供給力を上回る経済の勢いが継続しており、それが引き続きインフレ見通しにリスクとなっている」と総裁は指摘した。

  一方で、労働市場が腰折れする危険性はあると指摘。「雇用がこれほど力強く伸びている現状を踏まえれば、そうしたリスクは遠いことのように感じられる」としつつ、「歴史的に労働市場の転換がどの程度のスピードで起きてきたかを考えると、このリスクは念頭に置いておく必要がある」と語った。

引用:bloombergより

このようにデーリー総裁はこれまでの金融政策についてある程度の評価をしたものの、まだまだやるべきことはあるとし、引き続きインフレ抑制に注力していく姿勢を示しています。最近はインフレ鈍化の可能性を感じることができたと思いきや、まだまだ強い経済指標の発表があったりと、非常に判断の迷う展開が続いています。そういう中にあってもFRBとしてはまだまだ厳しい姿勢でインフレに対峙していくということなのかなと思います。実際、インフレは粘着性が高く、そう簡単には2%へと収束していかない可能性が高いと思われます。そういう意味でもこのような慎重姿勢というのはFRB内部でも多く存在しているような気がします。なのでこれからも非常に慎重な制作進行をしていくのだろうと思います。

利下げの可能性については不透明

最近の強い経済指標を受けて、利下げ観測を相次いで修正したマーケットですが、今後についてはさらなる修正が必要となる可能性もあるでしょう。これまでの経緯を見てみると、今回のようなマーケットの楽観的な観測というのは何回も修正されてきています。そういう意味では今回の修正も当然の結果なような気はしますし、これからもそうなる可能性が高いのだろうと思います。今の所、利下げについてはやや開始時期が後退していますが、実際にはデータが全てであり、その結果しだいで予想外に早くも遅くもなるということを改めて認識しておく必要があるでしょう。その上で今回のデーリー総裁の発言を見てもわかるように、FRBは非常に慎重に事を勧めているということであり、そう簡単には利下げを開始することはないのかなと感じています。それなりに多くの証拠が揃わない限り、利下げを推進する勢力というのは多くはならないのでしょう。そうならない限り、利下げにはならず、市場が期待するようなことにはならないのかなと感じています。

まとめ

今日はサンフランシスコ連銀のデーリー総裁の発言について見てきました。FRBは非常に慎重姿勢を崩しておらず、利下げの時期についてはまだまだ不透明感が強いです。経済指標についても様々であり、非常に判断に迷う展開が続いています。そういう意味ではまだまだ利下げの判断というのはしづらいのかなという印象です。やはりそれなりの確証がなければ利下げの決定は行えないでしょう。そういう意味ではまだまだ厳しい金融政策というのは続いていくのかなという印象です。