利上げの可能性について指摘する声が多くなってきている

先日は金融政策について利下げどころか利上げの可能性すらあるのではないかという意見について紹介しましたが、その流れというのはだんだん大きくなっているようです。もちろんその可能性が第一選択ということではありませんが、あまり無視できるものではなくなってきているような感じがします。そういう意味では今後の展開の予想が非常に難しくなってきたのかなという感じがします。

利上げの可能性について指摘する声が大きくなってきている

最近は今後の金融政策について利下げより盛り上げの可能性を指摘する声も大きくなってきています。

米経済を連邦準備制度がどうかじ取りするのかと、投資家は考えを巡らせ始めている。着実な利下げの進行がほぼ確実な様子だったがわずか数週間で様変わりし、いまや利上げが必要になるのではないかとの議論すら浮上している。

  数週間前には、パウエル米連邦準備制度理事会(FRB)議長が3月利下げの可能性は低いと強く警告するほど、市場には利下げ観測が広がっていた。しかし3週間もたたないうちに、トレーダーは3月利下げの可能性を排除したばかりでなく、5月もあり得なさそうだとの見方になり、6月利下げへの確信さえ揺らいでいることを、スワップ市場が示している。

  最近話題になっているのは、次の動きは利下げではないのではないかという議論だ。サマーズ元米財務長官は16日、多くの市場参加者が既に考えていたことを口にした。 次の動きが利上げになる「可能性はそれなりにある」と発言した。

  利上げ再開が難しいとしても、FRBウォッチャーの間には、1990年代後半のように利下げを短期間実施し、その後で利上げに転じるという見方もある。

  BMOグローバル・アセット・マネジメントの債券・短期金融市場責任者、アール・デービス氏は「可能性のある、起こりそうなシナリオはたくさんある」と語った。同氏は2024年の利下げ幅を75ベーシスポイント(bp、1bp=0.01%)とみているが、「それを確度が高いと言うのは非常に難しい」と述べた。

  ここ数週間に追加利上げの可能性を公に示唆した当局者はいない。パウエル議長は1月31日、「政策金利は今回の引き締めサイクルにおけるピークを付けた可能性が高い」と発言。16日には、中道派とみられるサンフランシスコ連銀のデーリー総裁が、年内の75bp利下げは「合理的な基本予想」だと述べた。

  同時に、連邦公開市場委員会(FOMC)は中期的な政策枠組みに関して、過去に時折示してきたような「フォワードガイダンス」を提示していない。今月は変動の大きい経済データで米国債、先物、スワップ市場が乱高下した。

  先週は、消費者物価指数(CPI)と生産者物価指数(PPI)が予想を上回ったため、米国債利回りが急上昇。CPIのサービス価格は、過去約2年で最大の伸びとなった。1月の雇用者数も予想を上回ったが、同月の小売売上高は低迷し、景気が長期的な潜在成長率を上回るペースで拡大し続けているとの見方に疑問を投げ掛けた。

  2年物、3年物、5年物米国債の利回りはいずれも先週、昨年12月初旬以来の高水準を記録した。

  ゴールドマン・サックス・アセット・マネジメントのマルチセクター債券投資責任者、リンゼー・ロスナー氏は、「インフレとの闘いの最後の数ヤードは平たんではないだろう」と語った。

  ロスナー氏は、利上げのリスクがあるというサマーズ氏の見解には同意するものの、インフレを確実に抑えるためには「現在の金利水準を長く維持する方が理にかなっている」と論じた。

  ハーバード大学教授でブルームバーグテレビジョンに定期的に出演するサマーズ氏は、米連邦準備制度の次の行動が利上げになる可能性はおそらく15%だと示唆した。ジュピター・アセット・マネジメントで絶対収益追求型マクロファンドを運用するマーク・ナッシュ氏は、その確率を20%としている。

  ブルームバーグ・インテリジェンス(BI)による短期金利オプションの分析によると、13日に発表されたCPIを受けて、トレーダーは今後1年の間に利上げが実施される幾らかの可能性を織り込み始めた。

  シティグループのストラテジストは、連邦準備制度の緩和サイクルがごく短期間にとどまり、その後すぐに利上げに踏み切るリスクに対しては、さらにヘッジを強化すべきだと言う。同行のエコノミストは米国の利下げ開始を6月と予想しているが、今後数年間は1990年代後半に起きたような展開が繰り返される可能性があるとみている。

  1998年、米金融当局はロシアの債務不履行とヘッジファンド、ロング・ターム・キャピタル・マネジメントの事実上の破綻に起因する金融危機をかわそうと3回連続で利下げを行ったが、99年6月にはインフレ圧力を抑制するため利上げサイクルを開始した。

  パシフィック・インベストメント・マネジメント(PIMCO)のエコノミスト、ティファニー・ワイルディング氏は、不安定な国内経済データのほかに、国際的な要因もあると指摘する。紅海での紛争や、干ばつによるパナマ運河の通航障害などが海運運賃を上昇させるリスクを挙げ、それら全てが「停止と起動を繰り返す緩和」につながる可能性があると述べた。「リスクがあり、予測は非常に難しい」という。

  BMOのデービス氏は24年の金利市場について「両方向に極めて大きなボラティリティーがあるだろう」との見解を示した。

引用:bloombergより

このように今後の金融政策について利上げの可能性について指摘する声が出てきています。ただ、記事にもあるように、利上げが確定的ということではなく、その可能性はまだまだ小さいと言っていいでしょう。もちろんその可能性について疑問を呈する声も多くあり、そうなるかどうかはわかりません。ただ、そういう意見が出てくるということ事態が金融政策を取り巻く閑居が変わってきたということなのだろうと思います。そういう意味では今後の金融政策がどのようなものになるのかということを予想することが難しくなってきたのかなという感じがします。

その可能性はないこともないけど確定的なことは何もない

利上げの可能性の話については本当に最近はよく聞くようになってきました。もちろんそうなる可能性は小さいとは思いますが、流石に最近の強い経済指標の結果を見ると、そう考えることも仕方ないのかなという感じがします。しかし、利上げということになれば経済に与えるダメージも大きくなるでしょうし、そう簡単には実行に移せないのかなという感じがします。そういう意味ではおそらくは金利を高く維持して、インフレが落ち着くのを辛抱強く待つのが第一巻かなと思います。FRB関係者からもまだ利上げの可能性については指摘する声はありません。そういう意味ではややその可能性について大きく捉えられすぎているのかなという感じがします。

まとめ

今日は今後の金融政策について見てきました。流石に利上げということになるにはまだまだハードルが高いのかなという感じがします。もちろんその可能性がないこともないですが、そうなるにはよほどの経済の強さやインフレの上昇がない限りないのかなという感じがします。ただ、本当に今後の展開については見通せなくなってきていることは確かなような気がするので気をつけていきたいところです。