FOMC議事録では利下げに対して非常に慎重な意見が多数を占める。

今後の金融政策については非常に不透明感が増してきています。インフレ鈍化の兆候から利下げ期待が高まったかと思えば、意外にも堅調な経済指標によってその期待は大きく削がれた形です。そういう意味で今後の金融政策がどうなるかが非常に気になるところですが、FRBはまだまだ利下げへの確信を高めてはいないように思います。

利下げに対して非常に慎重

昨日公開された1月開催のFOMC議事録では参加者の多くが利下げに対して懸念を示しており、まだまだその時期ではないと考えていることがわかりました。

米連邦公開市場委員会(FOMC)が1月30-31日に開いた会合では、大部分の当局者が時期尚早な利下げに懸念を表明し、高金利を過度に長く維持するよりもリスクが大きいとの考えを示唆していた。2月21日に公表された議事要旨で明らかになった。

  また当局者は依然としてインフレの道筋を注視しており、一部の当局者は2%の目標に向けた進展が停滞しかねないとの懸念を示した。今回の議事要旨からは、インフレが確実に鈍化していることを示す一段の証拠を確認したいと金融当局者が考えていることが裏付けられた。

  政策金利はピークに到達した可能性が高いとの認識で当局者は一致しているが、利下げ開始のタイミングについては不透明なままだった。

  議事要旨は「大部分の参加者は政策スタンスを時期尚早に緩和するリスクを指摘し、インフレ率が2%まで持続的に低下しているかを見極める上で、今後入手するデータを注意深く評価することの重要性を強調した」と記した。

  また利下げを長く待ち過ぎることによる経済へのリスクを指摘した当局者は「2人」だけだったと指摘。

  「参加者は景気抑制的な金融政策スタンスをどれくらいの期間維持する必要があるのかに関連して不確実性を強調した」としている。

  議事要旨では、一部の当局者がバランスシートの縮小ペースを緩めることが適切かもしれないと述べていたことも明らかになった。

  市場にとって重要な流動性手段である翌日物リバースレポ(RRP)ファシリティーの応札額が減少していることを背景に、多くの参加者は3月のFOMC会合でバランスシートについて詳細な議論を行うべきであり、それがランオフ(償還に伴う保有証券減少)のペース減速に関する「最終的な決定」の指針になるとの見解を示した。

  議事要旨は「一部の参加者は、準備金の潤沢な水準に関する推定値が不透明であることを踏まえ、ランオフのペースを緩めることはその水準への円滑な移行の一助となり得る、あるいは委員会がバランスシートのランオフをより長く継続できるとの考えを示した」と指摘した。

引用:bloombergより

このようにFRBでは現状、利下げを行うには早すぎると考えている人が多いということがわかりました。インフレが鈍化してきていることは確実ですが、それをより確かなものとするためにもより多くの証拠を欲しているような感じです。実際、多くの関係者の発言からもまだまだ証拠が足りないというような発言は多く聞きます。そして経済指標も未だ底堅いということを考えてみても、利下げへの決断はまだまだ先なのだろうという感じがします。

そう簡単には利下げは行われないのだろう

今回の議事録を見ても、まだまだ利下げは行われないのだろうなという感じがします。マーケットでは早期の利下げを期待するところも多くありましたが、今はかなりその勢いは後退しています。その中でもよりFRB関係者はそれを厳しく評価しているようにも思います。おそらくは少々のインフレ鈍化程度では利下げには踏み切らないでしょう。多くの経済指標を評価し、どこからどう見てもインフレの再加速の可能性がほぼなくなるという段階になるまでその決断はしないのではないかと思われます。実際、過去には利下げを行ったあとにすぐに利上げを行ったという事例もあります。そのように判断を間違えば再び物価上昇を招く恐れもあるため、相当に慎重な判断をするのは間違いないのかなと思います。だからこそのこれほどの慎重な発言が多くあったのだでしょう。そういう意味でもまだまだインフレとの戦いは続きます。おそらくは我々が思っているよりも長くそれは続くのではないかという感じがしてきています。

まとめ

今日は1月のFOMC議事録について見てきました。概ね参加者は利下げに対しては否定的です。インフレの対処は一歩間違えば再び大きな物価上昇を招く恐れもあり、慎重な判断をしていくものと思われ、そういう意味ではそう簡単には利下げという判断にはならないのかなという感じがします。そういう意味ではあまり過度な利下げ期待というのは持たないほうがいいのでしょう。