利下げも利上げもしばらく起こりそうもない

市場が期待する利下げはやはり大きく後退するようです。FRBのボウマン理事は昨日の講演で、金利水準について現状を維持し、インフレが低下することを辛抱強く待つべきとの姿勢を示しました。利下げについてはリスクが大きく、早期の行うべきではないとし、やはり利下げの実行にはまだまだ時間がかかりそうだという感じがします。

金融政策は現状維持

昨日、FRBのボウマン理事は講演にて以下のような発言をしています。

米連邦準備制度理事会(FRB)のボウマン理事は、金利が現行水準で維持された状態でインフレ率はさらに低下し続けるとの見通しをあらためて示した。ただし、利下げを開始するには時期尚早だと述べた。

  ボウマン氏は27日、フロリダ銀行協会で講演。政策の適切な道筋を見極めるため、今後のデータを注意深く検証していくと表明した。地政学的紛争の影響波及や金融環境の緩和、労働市場の逼迫(ひっぱく)継続など、インフレ圧力に拍車をかけかねない複数のリスクを指摘した。発言内容は講演原稿に基づく。

  「インフレ率が当局の2%目標に向かって持続的に低下していることが今後のデータで引き続き示唆されれば、金融政策が過度に抑制的にならないよう政策金利を徐々に引き下げるのがいずれ適切になるだろう」とボウマン氏。「私の見解では、まだその地点には達していない」と語った。

引用:bloombergより

このようにボウマン理事は金融政策について現状維持を支持し、インフレが確実に鈍化するのを待つべきであるとの姿勢を示しました。市場が期待する利下げについてはリスクが大きく、早期に実施すべきではないとの見解を示しています。そして一部で懸念されている再利上げについても否定的な見解を述べており、現状を維持し、インフレが落ち着くのを辛抱強く待つのが望ましいとの姿勢を明確にしました。

利下げも利上げもしばらく難しい

今回の発言については特別新しいものはないような気はしますが、改めてFRBが現状をどのような認識をし、今後の金融政策についての考えを改めて示したような気がします。結論から言うと現状維持であり、利下げも利上げもないというところだと思います。どちらにしてもリスクが大きく、行うべきではないということでしょう。インフレは非常に粘着性が高く、落ち着くまでは時間はかかるとは思いますが、現状を維持し、辛抱強く待っていれば自然と落ち着いていくとの見方だと思います。そしてそれはおそらくはそれが一番確実な方法なのかなという感じがします。利上げも利下げも経済状況によっては当然ながら起こる可能性はないとは言えませんが、少なくとも今の状況を考えれば下手に動くことなく、じっと待っているのが一番安全で確実な方法なように思います。実際、インフレは非常に粘着性が高く、なかなか落ち着くようには見えませんが、ゆっくりとゆっくりと減速していることは事実でしょう。であれば、それが時間がかかるとも目標とする水準に到達するまで待っていればいいのだろうという気はします。いずれにせよ、しばらくは金融政策は現状維持のままで進みそうです。そして、5日は利下げが実施されるでしょうけど、それはおそらくは想定よりも遅くなる可能性のほうが高いのだろうと思います。

まとめ

今日はボウマン理事の発言をもとに、今後の金融政策について考えて来ました。しばらくは現状維持が続くのだろうというのが正直なところです。おそらくは利下げも利上げもよほどのことがない限り当分ないというのが今の所の結論のような気がします。市場が期待する利下げも、一部で懸念される利上げもなかなか難しいのかなというのが実感です。そういう意味ではしばらく辛抱の時間が続きそうです。