1月のPCEも引き続き強さを見せ、引き締め継続をするFRBを正当化する。

金融政策の不透明感はしばらく続きそうです。昨日発表された1月のPCEは大幅な伸びを示し、辛抱強く引き締めをするFRBの行動を正当化する内容でした。中身を見れば強弱を含んだものとなっており、判断が難しいところですが、少なくとも早期利下げなど現状の制作変更を迫るような内容ではなかったのかなという感じです。

1月のPCEも底堅さを残す

昨日発表された1月のPCEは非常に大きな伸びを示しました。

1月の米個人消費支出(PCE)統計によると、連邦準備制度理事会(FRB)が基調的なインフレを判断する上で重視するPCEコア価格指数は、前月比での伸びがここ1年近くで最大となった。利下げ開始に対する金融当局者の辛抱強いアプローチが裏付けられた。

  インフレ調整後の実質PCEは前月比0.1%減と、5カ月ぶりに減少。ホリデーシーズンの反動が出たもようだ。個人消費を支える実質可処分所得は、ほぼ横ばいだった。

  金融当局者らは、インフレが持続的に鈍化しているといえるだけの確信はまだ得ていないと繰り返し発言しており、今回のPCE統計は短期的にそうした認識を補強しそうだ。当局者は利下げ開始は時期尚早だと強調しているほか、政策を判断する上で今後入手するデータを引き続き注視していくと説明している。

  コア価格指数は6カ月間の年率ベースで1月に2.5%上昇と、当局のインフレ目標である2%を上回った。その前の2カ月は2%を下回っていた。

  金融当局は住宅とエネルギーを除いたサービス業のインフレに特に注目している。同ベースの価格指数は前月比0.6%上昇と、2022年3月以来の大幅な伸び率となった。ポートフォリオ運用のコストが3年ぶりの大きな伸びとなったほか、宿泊費も上昇した。

  次回の米連邦公開市場委員会(FOMC)会合は3月19、20日に開かれる。よって今回のデータは、同会合前に当局者が入手できる最後のPCE統計となる。パウエルFRB議長をはじめとする金融当局者らは3月会合での利下げを事実上排除しており、市場では6月が利下げ開始時期になるとの見方が強まっている。

  なおも堅調な労働市場がこれまでのところ個人消費を支えているが、高い借り入れコストと求人の減少、根強いインフレが消費に重くのしかかりつつある。

  1月の実質PCEは、財への支出が1年余りで最大の落ち込みとなったことが響いた。特に自動車の購入は21年半ば以来の大幅な減少だった。

  サービス分野の支出は増加が続いた。住宅関連や光熱費が大きく増えたほか、金融サービスと医療も伸びた。一方で娯楽への支出は減少。外食とホテル宿泊への支出はわずかな伸びにとどまった。

  ブルームバーグ・エコノミクスのアナ・ウォン、エステル・オウ両氏はリポートで、「多くの一時的要素が影響しているようだ。季節的要因やポートフォリオ運用コストが価格指数に影響したほか、生活費調整(COLA)が所得の伸びを押し上げた。また支出面では天候がマイナスに影響した」と分析した。

  賃金・給与は0.4%増。インフレ調整前の所得は1年ぶりの大きな伸びとなった。1月のCOLAを受けて公的年金の支給額が増加したことを反映している。貯蓄率はわずかに上昇した。

引用:bloombergより

このように1月も個人消費の勢いはとどまるところはありません。内容を見てみれば弱い部分もありますが、FRBは金融政策を急激に変化しなければならないというものではなく、これまで通りインフレ抑制のための制作を実行することが正しいのだろうという内容です。そういう意味でこれまでの慎重姿勢を十分に正当化する内容だったのかなという感じがします。

利下げ時期は早まることはないでしょう

何度も言いますが、今回のインフレは非常に粘着性が高いです。そういう意味でインフレ鈍化には非常に長期間に渡る時間と労力が必要となるでしょう。今回の結果もそれを裏付けるものであり、まだまだインフレとの戦いは続いていくものと見られます。市場では6月での利下げを見込んでおり、今回の結果を持ってその可能性をやや上方修正したようです。実際、そこまで確実とは思えませんが、これまで3月には利下げなどと言ってきた市場を考えると、随分現実的な予想となってきたように思います。利下げがどの段階で起こるかはわかりません。今の所、市場は6月を予想していますが、それが当たるかどうかはわかりません。むしろこれまでのことを考えれば外れる可能性が高いとは思いますし、何度も行っていますが、非常に粘着性が高いインフレのことを考えればその時期というのは多少後方へとずれるのではないかという感じがします。

まとめ

今日は1月のPCEについて見てきました。インフレはやはりそう簡単には落ち着きそうもありません。徐々に鈍化していることは事実ですが、市場が期待するほどの動きを見せることはないでしょう。そういう意味では今の所、夏頃の利下げ期待というのは当たるかもしれませんが、やや後ろへとずれ込む可能性のほうが高いのかなという感じがします。