金融政策は利下げのあともペースはそこまで上がらない可能性が高い

今後予想される金融政策の転換ですが、それは非常に緩やかなものとなるのかもしれません。アトランタ連銀のボステイック総裁は今後、利下げが行われたとしてもそのペースについては非常に緩やかなものになる可能性について言及し、今後の金融政策は非常に慎重に勧めていく可能性について指摘しました。過去には市場はかなりのペースでの利下げを期待していましたが、その可能性というのは更に小さくなったのかなという感じです。

利下げペースは早くない

今後の金融政策について、アトランタ連銀のボステイック総裁は以下のように言及しています。

アトランタ連銀のボスティック総裁は、最初の米利下げ後には、政策シフトが経済に及ぼす影響を見極めるため、その次の会合で利下げを休止するとの見通しを示した。同総裁は今年7-9月(第3四半期)に利下げを始めるのが適切だとこれまでに主張している。

  ボスティック総裁は同連銀ウェブサイトに4日掲載した別の文章で、企業が過度に高揚しているとし、政策金利引き下げ後に新たな需要が爆発的に生まれ、それが物価上昇圧力を高めることを懸念していると指摘。記者団に対し、それが利下げを急がない別の理由かもしれないと説明した。

  総裁は、利下げが「連続したものになることは恐らくないだろう」とし、「不確実性を考えると、行動を起こした後に市場参加者や企業幹部、および家計がそれにどう反応するかを見ることがある程度望ましいのではないかと思う」と述べた。

  米連邦準備制度理事会(FRB)のバランスシート圧縮については、量的引き締め(QT)のペースを段階的に落とすテーパリングを急いで始めるのではなく、当面は現行ペースを続ける方が良いとの立場を示した。

  「QTに関しては、現在のペースをできるだけ長期にわたって続けられればと考えている」と語った。

  ボスティック総裁は、企業が支出と投資を活発化させることでインフレ圧力が高まる可能性があるとし、それは利下げが最初に示唆された時点で起きるかもしれないと指摘。

  「蓄積されていて表面化した高揚、と私が呼ぶこの脅威が新たな上方向へのリスクで、向こう数カ月、精査が必要だと考える」と述べた。

引用:bloombergより

ボステイック総裁はこのように述べ、今後利下げを行ったあとはその効果を確認するために一旦、利下げは停止するだろうとの見解を述べています。これまでFRBは利下げを行う時期については非常に慎重な姿勢を貫いています。インフレが確実に鈍化し、落ち着きが確認できるまでは利下げには踏み切らないだろうという観測は市場にも多く出ていました。そして今回、ボステイック総裁の発言によってその姿勢というのは利下げが開始されたあとも継続するだろうことが確認できた形です。そういう意味でも今後の金融政策は非常に慎重に進められていくのだろうという感じです。

考えている以上にゆっくりとしたペースで金融政策は変更されるのであろう

利下げの開始時期についての議論はこれまで多くありましたが、利下げ後の展開についてはあまり多く話されなかったのではないかという感じがします。そして今回、その一つの答えが判明したということで、今後の金融政策に対するヒントというのもより明確になったのだろうと思います。FRBはこれまでかなり慎重な姿勢でインフレに対処してきていました。そのため利下げの開始時期も市場が考えるよりもかなり後方へとずれてきた感じがあります。実際、インフレは非常に強固であったためにその判断は正しかったと言っていいでしょう。そして今後行われるであろう利下げが実行されたあとも非常に慎重に見極めを行う考え出ることをすでに認めているということで、相当慎重な姿勢をしているなという印象があります。それだけ今回のインフレは厳しいものであり、万が一にも失敗は許されないというFRBの姿勢なんだろうと思います。そういう意味では今後、予想外に厳しい金融政策が継続される可能性というのはやや高まったのかなという印象です。市場が期待するような緩和政策というのはやや厳しくなったのかなと思います。そういう意味では利下げがいつかは行われるでしょうが、その時期というのは遅くなる可能性が高いでしょうし、そのペースもひじょうにゆっくりとしたものになるのだろうという感じがします。

まとめ

今日はボステイック総裁の発言について見てきました。今後の金融政策はやはりそこまで劇的に転換するということはなさそうです。FRBは非常に慎重に事を進めるつもりであり、我々が考えているよりも金融政策はゆっくりと変更されていくのでしょう。そういう意味ではあまり緩和期待というのは高くしないほうがいいのだろうと思います。