インフレ期待は上昇。FRBは慎重な姿勢を崩さないだろう。

米国の消費者はインフレについてまだまだ慎重な見方をしているようです。昨日発表されたニューヨーク連銀の調査では消費者が今後のインフレ期待についてやや強めの見方をしていることがわかりました。前回調査よりも上昇しており、インフレに対する警戒感が強くなってきていることがわかります。このような結果だけを見ると、FRBの慎重姿勢を支持するものとなるでしょう。

インフレ期待は上昇

昨日発表されたニューヨーク連銀の調査によると、消費者の長期のインフレ期待は上昇していることが確認されました。

米消費者の3年先インフレ期待が2月に上昇した。ニューヨーク連銀の調査で明らかになったもので、5年先については、さらに急ピッチでの上昇となった。

  同連銀が11日発表したデータによれば、3年先のインフレ期待(中央値)は2.7%と、記録的な低水準となった1月から上昇に転じた。5年先のインフレ期待は2.9%で、6カ月ぶりの高水準となった。1年先については3%で前月と変わらず。

  米金融当局者は、利下げに踏み切る前にインフレ率が2%目標に向かって持続的に低下している証拠をより多く目にしたいと主張している。今回のデータは当局者のそうした見解を補強する。市場では現在、6月に利下げが開始されるとの見方が優勢となっている。

  1年先の医療費の見通しは急低下し、2020年9月以来の低水準。家賃の見通しは0.3ポイント低下して6.1%と、過去3年余りでの最低水準となった。一方、ガソリン価格の見通しはわずかに上昇した。

  1年先に失業率が上昇するとの見方は少なくなった。それでも職を失うことへの懸念の強まりや、失業した場合に新たな仕事を見つけることへの自信が乏しくなっている様子が調査では示された。

引用:bloombergより

このように消費者は今後の物価見通しについて、やや厳しい見方をするようになってきているようです。これがどこまで現状を正確に捉えているかはわかりませんが、少なくとも消費者は実感として物価の安定というのを実感できてはいないのだろうと思います。そういう意味ではFRBが未だ慎重姿勢を貫いていることは十分正当化されるのではないかと思います。今後もあらゆる経済指標にてインフレの評価がされてくるとは思いますが、少なくとも現状ではインフレが確実に落ち着いているとは言えないというのが正直なところではないかと思います。

利下げはまだまだ先

何度も言いますが、今回のインフレは非常に粘着性が高く、おちつくまでは相当な時間がかかるでしょう。今回の結果についてもそれをさらに強固なものとする内容だったと思います。インフレは未だ健在です。一時期のような強力なものではなくなったことは事実ですが、少なくとも目標とする2%へと順調に向かっているということはないのかなという感じです。おそらくは今後もこのように強弱の混在した経済指標が相次ぎ、FRBは引き続き慎重姿勢を貫き通すということが続くのではないかという感じがします。そしてそれが夏になるか秋になるのか、年を越してしまうのかはわかりませんが、あらゆる経済指標でインフレの鈍化が確認できればようやく利下げということになるのかなという感じです。そういう意味でも金融政策の転換というのはまだまだ先の話となることでしょう。

まとめ

今日は現在のインフレ期待について見てきました。消費者の実感としてはまだまだ物価の安定というのは実感できていないのだろうとうことがわかるものだったような気がします。少なくとも利下げの判断を早めるようなものではないでしょう。そういう意味でも引き続きFRBは慎重な姿勢を崩すことはないのだろうと思います。